最先端のテクノロジーが作り出す風景林信行氏オススメの展示イベント(2/5 ページ)

» 2014年03月18日 18時41分 公開
[林信行,ITmedia]

東京の夜景を背景に最上級のメディア表現を堪能――MEDIA AMBITION TOKYO

2月25日まで公開されていた「Ophelia has a Dream」

 最先端のアート、映像、音楽、パフォーマンスが集まるテクノロジーアートのショーケース、Media Ambition Tokyoは六本木ヒルズ52階、展望台「TOKYO CITY VIEW」と青山にあるレクサスが手がけた話題のスペース「INTERSECT BY LEXUS」の2つの会場を用いて、2月7日から開催されているイベントだ。3月30日で終了する。毎日午後11時まで開催しており、平日の夜、会社帰りに気分をリフレッシュできるイベントとしても話題を呼んでいる。

 午後11時までオープンしている六本木ヒルズ会場(入場料1500円)には、RHIZOMATIKS(ライゾマティクス)やチームラボ、WOW、IMG SRC、高木正勝、渋谷慶一郎など名だたるクリエイターによる16作品が並ぶ。残念ながらWOWによる作品「Ophelia has a Dream」の展示は2月25日で終了してしまったが、残り15作品は3月末まで楽しむことができる。

 展望台入り口に飾られたサイネージもIMG SRC、NON-GRIDが手掛けた「MAT Flipdots Wall」という、オセロのコマのような白黒の丸いドットを反転させて文字や絵を描き出す作品だ。

Physical Presence

 圧巻はライゾマティクスがレクサスと協力してつくった「Physical Presence」。先日、アップルがMacintosh 30周年を記念する特別サイトを公開し、新しい時代を築いてきた29組34人を紹介した。その中に、なんと日本人が3人含まれているが、その1人、真鍋大度氏が作った会社がライゾマティクスで、Perfumeのライブ時の映像やPVを手がけていることで有名。1989年、アイルトン・セナが鈴鹿サーキットを走った様子を音と映像で再現した「Sound of Honda – Ayrton Senna 1989 -」は今年の文化庁メディア芸術祭でエンターテインメント部門の大賞を受賞している。

 まさに日本のトップクリエイターとしての存在感を放ち続ける集団だが、その彼らがレクサスと組んだ「Physical Presence」の展示では、東京の夜景が広がる六本木ヒルズ展望台の外側に向かって置かれたレクサスの特別車「LFA Nürburgring Package」にコンピューター制御の光と音、そして送風機の風で同車が街中に向かって走って行く様子を疑似体験できる展示となっている。

 ちなみに「LFA」とは「Lexus Future Advance」の略で、世界56カ国で500台だけ販売される限定車。この「LFA」500台のうち、50台はサーキットでの走行を重視した高性能仕様車で「ニュルブルクリンクパッケージ」と呼ばれており、2011年8月末、ニュルブルクリンク(北コース)での確認走行で量産車メーカーの市販車としては当時最速の7分14秒64を記録した車である。本展でもその車が使われている。

 同展示のすぐとなりには、大量のドローンによる乱舞が話題となったレクサスのCM「Amazing in MotionーSWARM」に登場したドローンの実機も展示されている。Mac 30周年サイトで紹介された人物といえば、音楽家で映像作家の高木正勝氏も本展に「うたがき」という作品を出品。東京で最も美しい夕陽が見えるスポットとしても人気の六本木ヒルズ「サンセットカフェ」に、床置きの箱状のスクリーンを3つ置き、そこにアフリカ・エチオピアの子供たちの元気な姿を暖かみのある視覚効果と快活なピアノのメロディーで映し出す。

LEXUS_SWARM。LEXUSのCM「Amazing in Motion」に登場したドローンも展示中

 絶大な人気を誇るクリエイター集団、チームラボは「世界は、均質化されつつ、変容し続ける」を出品。床から天井、入り口から出口までが光の灯る巨大バルーンで埋め尽くされた部屋で、そのバルーンの1つに触れると(実際には少し強めに押すと)、そのタッチによってバルーンの色が変わっていく、と思ったのも束の間、変わった色が相互通信機能で部屋中のすべてのバルーンへと広がっていく――まるで何か1つの話題、1つのスキャンダルが出る度に、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアのタイムラインがその話題の色に染まっていくかのようだ。

 残念ながら展示が終わってしまったWOWの「Ophelia has a Dream」は、現在、同じ六本木ヒルズ52階で開催されている「ラファエロ前派展」にも展示中、ミレイの「オフィーリア」をモチーフとした作品で、デザイナーのミハラヤスヒロ氏が自身の2011年コレクション時にパリで発表したものだ。

 インタラクティブなインスタレーションを手がけたのは世界的に注目を集める気鋭のヴィジュアルデザインスタジオ、WOWで作品の前に立つと、自分の足下から伸びる影から木々の葉や蝶の影が飛び立ち、それが絵の中に吸い込まれていく、という絵画作品との一体感が得られる幻想的で繊細な作品だった。

 ここで15作品のすべてを紹介することはできないが、東京の風景が夜景に変わるのを楽しみながら、学生からトップクリエイターまでの作品を楽しめる本展は、コンピューターを使った最新表現に興味がある人なら1度は足を運ぶべき展示の1つだ。

「Media Ambition Tokyo」

会場:六本木ヒルズ展望台TOKYO CITY VIEW

期間:3月30日まで。平日、日曜日、休日:〜23時、金、土、休日の前の日:〜25時

入場料:1500円

公式ホームページ:http://www.mediaambitiontokyo.jp/


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