「最も多く売れているモノが生き残るのではなく、最も長く売れているモノが生き残るものでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できるものである」。2014年1月某日、ThinkPad X1 CarbonとThinkPad 8の製品発表会の場において、レノボ・ジャパン ThinkClient Brand Managerの土居憲太郎氏は、ダーウィンの進化論にかけて「Think a 論」としてこう語った。
これはなかなかの至言である。どんなベストセラー、ロングセラーのブランドでも、時代、周囲の変化に適応できなければ生き残ることはできない。実際、ThinkPadも常に変化を続けてきたはずである。
タイミング的には当日発表した新しいThinkPad X1 Carbonのキーボードなどを強く意識したものと考えられるが、ThinkPad X240sを含む現行世代のThinkPadシリーズにも先代製品から大きく変更されたものがある。
ThinkPad X240sをはじめ、X240/T440など最新世代のThinkPadでは、トラックポイントの仕様が一部変更。トラックポイント専用のハードウェアボタンをなくし、トラックパッド(クリックパッド)と一体化した「5ボタントラックパッド」を採用した。
これはかなり大きな変化だ。賛否両論……いや、従来からのThinkPadユーザーからは「否」の意見が目立つ。しかし、ポインティングデバイスのようなマンマシンインタフェースが新しくなった時というのは、得てしてそういうことが起こる。もちろんそれだけ従来のトラックポイントは完成度が高く、すばらしいものであったからこそでもある。
筆者はどうかといえば、使用開始直後と今ではまったく異なる感想を持っている。正直、最初は60%くらい「否」の感情が占めていたが、現在は「賛」に変わった。
トラックパッドごと押すクリックスイッチ部分はキーボードと同じ構造を採用しているとのことで、感触は確かによい。ただ、使い心地についてはこれまでと比べてかなり違和感があり、当初は慣れることができるのか不安を覚えたのも事実だ。ただ、いくつかのコツをつかむと慣れるのにそれほど時間はかからなかった。ほんの少しの感覚のズレの修正。それだけで今では操作ミスもしなくなっている。
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