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意外に知らない「液晶ディスプレイ」のトレンドSOHO/中小企業に効く「ディスプレイ」の選び方(第1回)(2/3 ページ)

» 2014年04月15日 18時00分 公開
[山口真弘,ITmedia]

トレンドは「4K」「ブルーライト低減」「低消費電力」

 続いて、この1〜2年で顕著なトレンドの変化について見ていこう。

 1つは「フルHDを大きく超える高解像度化」だ。俗に4Kディスプレイと呼ばれる、3840×2160ピクセル表示に対応する非常に解像度が高いディスプレイは、昨今で最もホットなトレンドと言える。かつてiPhoneやiPadで見られた「Retinaディスプレイ」への移行に相当する動きがPC用の外付けディスプレイでも起こっているわけだ。4K以外では、21:9比率と横に長いシネスコ(ウルトラワイド)型のディスプレイも見られる。

デルの4K対応28型ワイド液晶ディスプレイ「P2815Q」。リフレッシュレートは30Hz限定でTNパネルだが、実売価格は7万円を切る驚くべき安さだ

 価格については、4K対応でも安価なモデルでは10万円を切るなど個人で手が届く価格帯に入りつつあることから、今後ますます競争が激化しそうな雲行きだ。もっとも、4Kディスプレイの利用にはCPUおよびグラフィックスカードにも相応のパワーが求められ、グラフィックスドライバやアプリケーション側の対応も必要になるため、むしろそちらの普及と足並みを合わせる格好になると見る向きもある。

 もう1つは、一昨年頃から活発になってきた「ブルーライトを低減する機能」だ。可視光のうち、紫外線に近く目が疲れる原因になるとされるブルーライトの帯域をカットしてくれる機能で、メガネなどを使うのではなく、ディスプレイ側で色温度を大きく下げてカットするのがトレンドだ。ブルーライトの帯域をカットすることで色調が変わってしまうため、オフィス文書やテキスト、Webページなどの表示ではオンにし、写真やグラフィックスの作業ではオフにするという使い方になる。

 それゆえ、切り替えがどれだけ容易に行えるかは大きなポイントで、同じブルーライト低減機能といってもメーカーによって操作性は千差万別だ。この機能を多用する可能性がある人は、オン/オフの操作がどれだけスムーズに行えるかをチェックしておいたほうがよいだろう。ちなみに、EIZOの「Paper」モードのように、ブルーライト低減という言葉を使わず、バックライト輝度の自動調光やフリッカー(ちらつき)の低減技術も合わせて、目にやさしい機能をオールインワンでアピールしている場合もある。

EIZOの液晶ディスプレイが搭載する疲れ目対策機能。左が「sRGB」モード、右が「Paper」モードの表示例。Paperモードでは色温度を下げることで、ブルーライトを抑えながら、表示を紙に似た雰囲気に近づける。使用環境の明るさを検知してバックライト輝度を自動調整する「Auto EcoView」や、LEDバックライトのちらつきを抑制する独自の「EyeCare調光方式」も採用し、さまざまな技術の組み合わせで疲れ目対策を行う(写真はFlexScan EV2436W-Z)

 もう1つの大きなトレンドは、省電力機能だ。通常時はもちろん待機時も含めて、どれだけディスプレイの電力消費を少なくできるかというもので、東日本大震災による電力不足を受けてことさら注目度が増している。特に法人の入札案件では、具体的に数値ベースに落とし込んで消費電力の値が条件として提示されることもあり、各社とも力を入れざるを得ない状況にある。

 低消費電力を実現させる要因としては、LEDバックライトの採用や、周辺の明るさに応じたバックライト輝度の自動調光機能、離席時に消灯する機能、さらにPCとの電源連動機能などさまざまで、各社の技術力の見せ所となっている。そもそも消費電力が低いほうが望ましいのは個人でも法人でも同様なわけで、今後も低消費電力をうたう各社のアピールは続くことだろう。

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