「G-Master Assault Z87」――これはいいものだ! 静音ケースと個性的なパーツに納得のゲーミングPC注目PCレビュー(1/2 ページ)

» 2014年05月02日 11時27分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
ココが「○」
・静音性の高いFractal Design製ケース
・こだわりのパーツを組み合わせたオリジナリティ
・非常に幅広いカスタマイズメニュー
ココが「×」
・標準構成はGPUが旧世代
・BTO用にある程度の追加予算が必要

はじめに:ゲーミングPCシリーズのコスパモデル「G-Master Assault Z87」

G-Master Assault Z87

 サイコムのゲーミングPC「G-Master」シリーズは、他のショップブランドが展開するモデルとは異なり、非常に個性豊かだ。ハイエンドには水冷グラフィックスカードを採用した特別仕様のマシンがあり、一方のスタンダードなモデルでも、自作PCで定評あるケースや、ユニークなケースを積極的に取り入れている。

 今回紹介するG-Master Assault Z87は、同シリーズ中では最も低価格なモデルでありながら、高級感あふれるFractal Designのケースを採用し、オリジナリティと満足感の高い製品に仕上がっている。コストパフォーマンスを重視しつつも、ATXよりワンサイズ小さなMiro ATXをベースとし、それでいてPCゲーム用途に味付けされた高いパフォーマンスを備えているのが特徴だ。

 標準構成で見ると、CPUがCore i5-4440(3.1GHz/最大3.3GHz)、チップセットがIntel Z87、GPUがGeForce GTX 660と、標準的なミドルレンジのスペック。ただ、ポイントとなるのは標準構成やBTOオプションでの選択肢、そのチョイスにあると言えるだろう。

ケースと製品概要:静音ケースを中心に、厳選パーツを集めた個性的なモデル

 G-Master Assault Z87のケースは、Fractal Designの「ARC Mini R2」が採用されている。BTOパソコンのメインストリームは、どちらかといえばコスト重視のケースになりがちだが、本モデルは冷却性と静音性を重視しつつ、高級感あるデザインのケースを選択しているのがポイントだ。

 このケースは、Micro ATXサイズという言葉のイメージからすれば、幅も高さもやや大き目で、ミドルタワーに近い。、言い換えれば、Micro ATXベースでありながら、ストレージスペースなどはATXケース並みの充実ぶりで、余裕のある内部空間はエアフローでもメリットとなっている。そのうえ、標準で騒音/振動吸収シートも張られており、さらなる静音化を目指している点も見逃せない。

フロント部は大きなメッシュ部分の裏に着脱可能なフィルター付き。そして2基の5インチベイを装備。標準構成ではDVDスーパーマルチドライブを搭載しているが、パイオニア製Blu-rayドライブなども選択可能だ(写真=左)。Micro ATXケースなので拡張スロットは4つ。加えて縦1スロットぶんブラケットを固定できる部分を設け、ファンコンやブラケット固定型ファンなどを装着できる。バックパネル横にMicro ATXケースとしては大き目な12センチファンを装備。エアフローを向上しているが、Micro ATXケースとしては幅広だ。ショップブランドPCにありがちなリファレンスデザインやリテールクーラーといったいかにも低コストなパーツではなく、サイドフローの高性能CPUクーラーやオリジナルクーラーのグラフィックスカードなど、1つ1つ特徴あるパーツで組み上がっている(写真=右)

側面板にはアクリルパネルを装備。内部が見えるというデザイン上の特徴となっている。一方で側面吸気には対応しないので、音漏れが抑えられている(写真=左)。Micro ATXケースのわりには内部スペースが広め。幅広ケースのぶん裏面配線にも対応しており、ケーブルも取り回ししやすい(写真=右)

電源ボタンや各種フロントインタフェースは上部手前にある。インタフェースはUSB 3.0×2とオーディオ入出力。そして3段階電圧制御のファンコンも搭載している(写真=左)。トレイ式の3.5インチベイが3台×2ユニットあり、ストレージも拡張性が高い(写真=右)

 そのほかのパーツは、マザーボードやグラフィックスカードなどからCPUクーラーやグリスまで、かなり充実したBTOオプションが用意されている。その中で、標準構成として特徴的なのは、電源にSilverStoneの「SST-SF75F-P」を選択している点だろう。

 SST-SF75F-Pは単体で見ても決して安い電源ではない。出力は最大750ワットで、ミドルレンジ〜アッパーミドルのビデオカードを搭載しても何ら問題ない。1つ不満点を挙げるとすれば、電源が80PLUS Silverなので、昨今の80PLUS Goldが用いられるトレンドからすると若干見劣りはする。ただ、エアフローを阻害しにくいプラグイン式のケーブルを採用しているのは好印象だ。なお、試用中も電源からのノイズはほとんど聞こえてこなかった。

本体上部には大型の14センチファンが搭載されている。その上でなおマザーボード上部とトップファンとの間にスペースがあり、メンテナンス性はずば抜けて高い(写真=左)。電源はSilverStoneの80PLUS Silver 750ワットモデル。プラグインケーブル式で無駄なケーブルを抑えられることに加え、裏面配線で見た目もスッキリ(写真=右)

 BTOオプションでも750ワット以下の選択肢はなく、このあたりはグラフィックスカードの搭載が前提のゲーミングPCといったところだろう。ただし、グラフィックスカードを搭載しない選択肢も用意されている。つまり、手持ちのカードや、新規に自分好みのカードを組み合わせることができる。もちろん製品の趣旨からすると外れるが、統合GPUを使って静音性抜群なPCを目指すことも可能だ。

 さて、ゲーミングモデルの要となるグラフィックスカードは、標準構成の場合、GeForce GTX 660となっている。世代古いミドルレンジGPUで、性能的にはそこそこ。ただ、これはあくまで標準構成であるがゆえで、「BTOでお好きな製品を選んでね」ということだろう。

 BTOオプションを見ていくと、統合GPUや標準構成を含めれば実に33もの選択肢が用意されている。内訳は、GeForce系が22、Radeon系が6、そしてワークステーション向けのQuadroまで3モデルの選択肢がある。中でもGeForce系GPUでは、同じGPUを搭載する別メーカーの製品を選ぶことも可能だ。コスト重視モデルの場合、リファレンスクーラー搭載モデルになりがちだが、本モデルなら、このメーカーのGPUクーラーが好きとか、口コミなどを参考にコレが静かとか、そうした自作PCに近い選び方もできるのだ。

 なお、GeForce系GPUはローエンドではGT 630、ハイエンドではGTX TITAN Blackまで、Radeon系GPUはR7 240からR9 290Xまで、Quadro系GPUはK600からK4000まで非常に幅広い。これだけ選択肢があれば目指すパフォーマンス通りのPCが出来上がることだろう。

 次はCPUクーラー。標準構成ではCooler Masterの「Hyper TX3 EVO」が搭載される。もちろん、オプションでCPU純正リテールクーラーも選べるが、冷却性能や静音性でそれを上回るモデルが多数用意され、リテールクーラーを含め、7つの選択肢がある。

 最後はCPUだ。前述の通り、標準構成ではコストとパフォーマンスのバランスに優れたCore i5-4440が採用される。クアッドコア/4スレッド動作(Hyper-Threadingには非対応)のCPUで、ゲーム性能という視点から見ればちょうどよいクラスといえる。もっとも、BTOオプションでは、Core i5の高クロックモデルやCore i7、さらにはXeonまで用意されている。

 このように、本製品はシリーズ最廉価モデルでありながら、個性的なパーツをふんだんに組み合わせ、さらには静音性も追求している。そのうえで、オリジナルクーラー搭載グラフィックスカードやQuadro、Xeonといったワークステーション用途のパーツまで、要はBTOで自分好みにカスタマイズしていけるのがウリだ。逆に、標準構成では控え目な部分もあるので、WebページのBTOオプションを見ながら積極的にカスタマイズしていくべきモデルとも言える。

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