さて、今回試用した評価機は、いくつかBTOオプションでカスタマイズしたモデルになる。具体的には、CPUがCore i5-4670に、グラフィックスカードがGeForce GTX 760(BTOで言う無印モデルに相当するとみられる)へ、ストレージで標準構成のHDDに加えシステム用にSSD「PLEXTOR PX-128M6S」を追加していた。今最も人気の構成といったところだ。価格で見ると、標準構成価格の105840円に対し、評価機の構成が131380円なので、25540円ほどカスタマイズした計算だ。なお、標準構成ではOSは非搭載。検証ではWindows 8.1を使用した。そのほか、今回の構成は以下の通り。
評価機の構成 | |
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CPU | Core i5-4670(3.40GHz) |
CPUクーラー | Cooler Master Hyper TX3 EVO |
マザーボード | ASRock Z87M Pro4(Intel Z87) |
メモリ | 8GB(4GB×2、DDR3-1600) |
SSD | PLEXTOR PX-128M6S(128GB) |
HDD | Seagate ST500DM002(500GB) |
ビデオカード | GeForce GTX 760(Galaxy GF PGTX760-OC/2GD5 MINI) |
電源 | SilverStone |
ケース | Fractal Design ARC Mini R2 |
OS | Windows 8.1 64bit |
それではこの評価機でパフォーマンスを見てみよう。
まずWindowsエクスペリエンスインデックス値は、プロセッサとメモリが8.0、グラフィックスとゲーム用グラフィックスが8.4、プライマリディスクが8.2となった。ミドルレンジ構成だけに飛び抜けたスコアではないが、弱点のないバランス型といえる結果だ。
次はPCMark 8。Homeのスコアは4298、Creativeは4243、Workが4942となった。すべて4000ポイント台で、こちらでもバランスのよさが証明された格好だ。ゲームでも、マルチメディア処理でも、コンテンツクリエイトでも、そして業務でも、なんでもソツなくこなせる十分なパフォーマンスを備えているのが分かる。
なお、ストレージテストはSSDのCドライブが4930、HDDのDドライブが2245で、帯域幅はCドライブが217.57Mバイト/秒、Dドライブが8.14Mバイト/秒。やはりSSDとHDDでは転送速度の差が大きく、システム側にSSDを選択することは快適性においてかなり有効な手段といえる。
では、ストレージ性能をCrystalDiskMarkでも確認しておこう。まずCドライブは、シーケンシャルリードが493.7Mバイト/秒、同ライトが342.3Mバイト/秒となった。PLEXTOR M6Sシリーズとして見るとシーケンシャルライトが若干低い印象だが、これは搭載するMarvellコントローラに左右されるところで、M6Sシリーズの場合は256Gバイトモデル以上で400Mバイト/秒台に乗る仕様。128Gバイトモデルは最大300Mバイト/秒というのがスペック上の転送速度だが、今回のテストではそれを上回っている。もっとも、コストパフォーマンスで見れば128Gバイトモデル、そして若干低いと言っても300Mバイト/秒出ているので十分と言える。さらに4Kライトが101.9Mバイト/秒と高いところもポイントだ。
Dドライブは、シーケンシャルリードが127.9Mバイト/秒、同ライトが126.4Mバイト/秒となった。HDDとしては標準的と言ったところだろう。データドライブとして利用する上では十分だ。データドライブとして利用する場合、標準では何も設定されてはいないので、アプリケーションのインストール先設定を都度設定しなおしたり、あるいはレジストリを変更するなどの作業は必要になる。また、昨今の超大容量なゲームデータをガンガンインストールするとなると500Gバイトでは少々もの足りない印象もある。HDDは、PCの中では比較的低コストなパーツなので、必要な容量のHDDをBTOオプションで選びたい。
続いてCPU性能に目を向けてみよう。まずCINEBENCH R15のスコアは、CPUが546cb、Single Coreが146cb。最大4スレッド対応のプロセッサなのでほぼシングル時の4倍のスコアで、その上で1スレッド処理時には比較的高いTurbo Boostクロックが適用されるため、シングル時のスコアのほうがやや高く、MR Ratioが3.74といったあたりになっている。Hyper-Threading非対応である点では、Core i7クラスよりやや低いとしても、それでも十分に高い。
次に、Media Espressoでのエンコードテスト。元データの時間が15分23秒であるのに対し、CPUで処理するソフトウェアエンコード時の所要時間は8分5秒で約2倍速といったあたり。ハードウェアエンコードでは、GeForce GTX 760がアクセラレータとして選択され、こちらでは3分57秒という約4倍速あたりの結果となった。
ゲーミングPCとして重要な3D性能は、まず3DMark。Ice Stormは139640、Cloud Gateは16179、Fire Strikeは5485となった。Fire Strikeで6000ポイント台に乗せられなかったあたりがGeForce GTX 760の限界といったところだろうか。
続くBattlefield4も、最高画質の平均フレームレートは47.032fpsだった。ゲームプレイ自体は可能だが、60fpsに満たないため、重いシーンでは若干ひっかかりを感じた。もっとも、より高性能なGPUはそれなりのコストがかかる。GeForce GTX 770を選ぶ場合は、標準価格との差が最安の選択肢でプラス19510円。今回の構成のGeForce GTX 760がプラス7670円なので、1万円強の価格差がある。ただ、単品で購入し追加する際の価格や組み込みの手間を考えると、BTOオプションで選んでしまうのがよいだろう。なお、Battlefield4も、高画質に落とせば70.148fpsまで向上するので十分かつ、個別に1つ2つ画質オプションを引き上げてもよさそうだ。
より軽量なタイトルではGeForce GTX 760でも60fpsを十分に満たす快適性が得られる。例えばファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編では、1920×1080ドットの最高品質で、9978ポイント/88.429fpsを記録できた。
このように、Battlefield4の最高画質の場合は60fpsに少々足りず、若干画質オプションを落とすかフレームレートに妥協をするかという結果だった。カスタマイズ仕様でのテストなので、標準構成のGeForce GTX 660ではもう少し重くなる。重量級FPSタイトルを楽しむためのゲーミングPCとして選ぶなら、GPUのカスタマイズぶんの予算をあらかじめ念頭に入れておくのがよいだろう。ほとんどの場合、OSも必要になることから、OSが14410円にビデオカードが1〜2万円で標準価格の105840円にプラス25000〜35000円にあとはお好み。もちろん、軽量なタイトルでは標準構成でも十分だ。
標準構成が10万円強でも、上記の計算により予算的には10万円台前半〜半ばとなってしまうため、コストパフォーマンスという点では多少薄らいでしまう。ただ、本製品の静音性は抜群だ。テスト中、GPU負荷が上がった際にはグラフィックスカードのファンが音を立てるものの、普段使いでは非常に静かでほとんど音がしない。また、落ち着いたデザインで重厚感あるケースが、「My PC」であることを強く意識させ、満足感が高い。
とかく、同一デザインケースばかりで代わり映えのないモデルが並ぶBTOパソコンだが、サイコムの製品は自作マニアもうなずくこだわりのパーツを盛り込んだオリジナリティに溢れている。そこが、魅力だ。
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