既報の通り、PFUから「SnapLite」が発表された。同社は“自炊派”層から高い支持を得ているドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズで知られているが、リスのロゴマークとともにティーザーサイトで投入が予告されていた新製品は卓上ライトだった。
といってもただの照明器具ではない。SnapLiteは卓上ライトとiPhoneを組み合わせることで、オーバーヘッドスキャン方式の非破壊型スキャナとしても利用できるユニークな製品だ。同社の非破壊スキャナといえば、「ScanSnap SV600」が思い浮かぶが、高被写界深度レンズやライン型CCDセンサー、高指向性LED光源を搭載するため、(この手の製品としては低価格といっても)明確な目的がなければなかなか気軽に購入できるものではなかった。
一方、SnapLiteは撮影機能をiPhone(iOS 6.0以降のiPhone 5/5s/5c)にまかせることで1万2800円というリーズナブルな価格を実現している。単純に、SnapLiteでできることはiPhoneでメモ代わりにスナップショットを撮るのと変わらない。ただし、安定した台座、デスクライト用のLED光源、アプリ側の各種補正機能により、手ブレや影の映り込みを気にすることなく、きれいな写真が取り込める。評価機を入手したので早速試してみた。

本体上部の台座にiPhoneを置き、読み取る対象をレーザーガイド内にセットする。iPhone内部のジャイロセンサーが静止状態を認識すると、自動的に撮影モードに移行するのも気が利いている。ガイドは赤色でテーブルの素材や環境光の強さによってはややみづらい。逆にSnapLiteのLED照明がついているので、暗い環境でも問題なく撮影できる
複数の原稿を同時にスキャンすることも可能(最大枚数は8枚)。自動的にトリミングされ別の写真としてカメラロールに保存される。名刺などの整理に便利だ。右の写真はマルチトリミングで取り込んだ写真の実イメージ。自動トリミングは対象のコントラストから輪郭検知をするため、白い布に白い被写体といったものは正確に読み取れない場合がある。その際はハンカチなどを下に敷くといい
アプリに用意された設定機能は、自動トリミング、自動台形補正、自動色味補正、オートフラッシュ、ガイドセンサー、タイマーで、各機能はオン/オフが可能。タイマーは0秒/0.5秒/1秒/2秒/3秒から指定する。タイマー機能は、写真の中に自分の両手を入れたい、といった場合に便利だ以上、SnapLiteを駆け足で使ってみた。特に目新しい技術はないものの、卓上ライトとiPhoneというありふれた製品と、ScanSnapが得意とする同社の画像補正技術を組み合わせることで、誰もが手軽に扱える新しいコンセプトのスキャナに仕上がっている。
これまでドキュメントスキャナといえば、ビジネスや一部のマニア層向けという印象が強かったが、SnapLiteなら普段はおしゃれな家庭のインテリアとして部屋を飾り、何かちょっとしたものを記録したり、誰かと共有したくなったら即座にスキャナとして利用できる。価格もデザイン家電と考えれば高価なものではない。ScanSnapとは異なる、新しいブランド名を与えられたSnapLiteは、多くのiPhoneユーザーに受け入れられそうだ。
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