それでは、各種ベンチマークテストでSurface Pro 3とSurface Pro 2の性能を比較していこう。両機ともWindowsの電源プランは「バランス」に設定した(Surface Pro 3は初期設定で「バランス」しか選択できない)。室温は26.5度だ。
各ベンチマークテストは連続して実行せず、1つのテストが終了したら十分にクールダウンさせたうえで、次のテストを行っている。というのも、Surface Pro 3はボディ内部の温度が上がりやすく、一度温度が上がるとCPU/GPUクロックが下がり、テスト結果が安定しない傾向にあるからだ。この問題についての詳細は後述する。
まずはWinSAT(Windows 8.1で省かれたWindowsエクスペリエンスインデックスと同等のスコアが得られるWindows標準機能)のスコアだが、Surface Pro 3がCPUで0.2ポイント、Memoryで2ポイント、DiskScoreで0.05ポイント上回った。
Surface Pro 3が搭載するCPUのCore i5-4300U(1.9GHz/最大2.9GHz)は、Surface Pro 2のCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)に対して、わずかながら差を付けている。今回比較した評価機はメモリ容量が2倍違うので、それがスコアに反映された形だ。スペック相応のスコアと言える。
CPUの処理性能を計測するCINEBENCH R15のレンダリングテストは良好な結果だ。Surface Pro 3はマルチスレッドのCPUスコアで255cb、CPU(シングルコア)スコアで111cbをマークしており、Surface Pro 2と比較してそれぞれ約110%、約109%の値となっている。CPUのスペック差を考慮すると妥当な差だろう。
ただし、CINEBENCH R15実行時のCPUクロックをモニタリングしたところ、マルチスレッドのCPUテストでは2.593GHzが上限となり、CPU(シングルコア)テストでは瞬間的に最大クロックの2.893GHzまで上がるものの、テスト中にCPUクロックが下がる傾向にあった。長時間負荷をかけ続ける処理では、スペック通りのCPUパフォーマンスは発揮しにくい。
今回入手したSurface Pro 3が内蔵する256GバイトSSDはSamsungの「MZMTE256HMHP-000MV」、Surface Pro 2が内蔵する128GバイトSSDはSK Hynixの「HFS128G3AMNB」だった。どちらもmSATAタイプのSerial ATA 6Gbps対応SSDだ。
第4世代Core搭載のモバイルノートPCや2in1デバイス、高性能タブレットで採用例が増えているM.2タイプSSDの採用は見送っている。欲を言えば、これだけ先進的なフォームファクタの製品なので、PCI Express接続のさらに高速なM.2 SSDを採用してほしかったところだが、次世代機に期待したい。
とはいえ、ストレージ性能を計測するCrystalDiskMarkのスコアは、どちらもタブレット内蔵のSerial ATA SSDとして高速な部類だ。Surface Pro 3の256GバイトSSDは、全体的にSurface Pro 2の128GバイトSSDより少し控えめなスコアだが、それでも十分に速い。体感ではストレージの速度差を感じないレベルで、Windows 8.1がサクサクと軽快に動作する。
PCMarkはWebブラウズやオフィス文書の編集、フォトレタッチ、動画のエンコードなど、PCの用途全般をシミュレートする内容だ。まずは1世代前の「枯れた」バージョンであるPCMark 7の結果から見ていく。
総合スコアではSurface Pro 3がSurface Pro 2と比較して約105%の値を出しており、各テスト項目も全体的に少しずつ差が付いた。これはCPUの差というより、メモリ容量の違いが大きく影響しているのだろう。もっともスコアの差は開いておらず、ほぼ同レベルのパフォーマンスだ。
続いて最新バージョンのPCMark 8だが、こちらはHome(一般家庭向け用途を想定)とCreative(クリエイティブ用途を想定)でSurface Pro 3が、Work(ビジネス用途を想定)とStorage(ストレージ性能)でSurface Pro 2が、わずかに勝る結果となった。
といっても2機種間の差は小さく、やはり同レベルの性能だ。いずれも第4世代Core i5と高速なSerial ATA SSDを搭載したUltrabook並のパフォーマンスと言える。
3Dグラフィックスの性能を計測する3DMarkも実行した。このテストには、DirectX 9相当となるIceStorm、DirectX 10相当のCloud Gate、DirectX 11ベースでミドルレンジPC向けのSky Diver、そしてDirectX 11でゲーミングPC向けのFireStrikeといったシナリオがあるが、どれもSurface Pro 3がSurface Pro 2をわずかに上回った。CPU内蔵グラフィックスのIntel HD Graphics 4400で期待される描画性能は発揮できている。
人気ゲームのベンチマークテスト「FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編」(FF14ベンチ)も試したところ、標準品質(ノートPC)、1280×720ピクセル、フルスクリーンの設定においてSurface Pro 3は3178(やや快適)というスコアだった。これ以上にグラフィックス設定を上げるのは厳しい。
同じく人気ゲームの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」も実行すると、標準品質、1280×720ピクセル、フルスクリーンの設定でSurface Pro 3は5057(快適)というスコアだった。こちらもより高度なグラフィックス設定では重くなる。
以上の結果からSurface Pro 3はSurface Pro 2と同レベルの性能を維持しているように見えるが、これは前述の通り、ボディがクールダウンした状態でテストを行うという条件付きだ。連続して負荷をかけてテストし続けた場合、Surface Pro 2とは違う傾向になる。その様子を次のページで見ていこう。
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