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「Surface Pro 3」に死角ありか?――パフォーマンス、スタミナ、発熱、騒音をテストSurface Pro 3徹底検証(1)(3/5 ページ)

» 2014年07月30日 17時30分 公開
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Surface Pro 3における発熱とパフォーマンスの関係を調べる

 Surface Pro 3におけるボディの発熱とパフォーマンスの関係を調べるため、今回はFF14ベンチを5回連続で行い、1回ごとにテストスコア、CPUクロック、GPUクロック、プロセッサのコア温度を計測し、その推移をまとめてみた(クロックや温度は常に変動するので、テストの同じポイントで計測)。結果は下表の通りだ。

FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編 複数回の連続テスト結果 室温26.5度
Surface Pro 3の結果
テスト回数 スコア CPUクロック GPUクロック プロセッサコア温度
テスト開始前 800MHz 600MHz 41度
1回目 2156 2593MHz 800〜1100MHz 89度
2回目 1512 800MHz 450〜500MHz 64度
3回目 1544 800MHz 450〜500MHz 64度
4回目 1516 800MHz 450〜500MHz 65度
5回目 1514 800MHz 450〜500MHz 64度
Surface Pro 2の結果
テスト回数 スコア CPUクロック GPUクロック プロセッサコア温度
テスト開始前 800MHz 600MHz 33度
1回目 2297 2295MHz 800〜1000MHz 76度
2回目 2127 2295MHz 800MHz 77度
3回目 2015 2295MHz 800MHz 79度
4回目 2011 2295MHz 800MHz 79度
5回目 2024 2295MHz 800MHz 79度
Surface Pro 3 FF14ベンチ連続実行時におけるスコアとコア温度の推移

 テストは室温26.5度の環境で行ったが、開始前のアイドル状態で比較しても、Surface Pro 3のほうがプロセッサのコア温度が8度高かった。ここからFF14ベンチを高品質(ノートPC)、1280×720ピクセル、フルスクリーンの設定で実行したところ、1回目のスコアはほぼ同等だったが、2回目からは大きく異なる結果となっている。

 Surface Pro 3は初回のテストにおいて、CPUクロック、GPUクロックともピークの値でSurface Pro 2を上回ったものの、コア温度が89度まで一気に上昇してしまい、最大クロックを維持できない。そのため、テスト結果でSurface Pro 2を上回れなかった。

 さらに2回目以降はサーマルスロットリング(CPUが発熱しすぎないように動作クロックを下げる機能)が働き、CPUクロックは800MHz程度、GPUクロックは500MHz程度まで下がり、スコアは1回目の70%程度に停滞してしまう。5回繰り返しテストをして、スコアが回復することはなかった。この状態はCPU負荷が続く限り変わらないが、5分ほどクールダウンさせると、1回目に近いスコアまで回復する。これではFF14の快適なプレイが望めず、CPUやGPUに負荷をかけ続けるような作業を高速化するのも厳しい。

 一方のSurface Pro 2は、2回目以降にスコアが緩やかに低下するものの、CPUクロックとGPUクロックが大きく下がることはなく、コア温度も70度台後半で維持できており、ベンチマークテスト中にサーマルスロットリングが発生することはなかった。CPUやGPUに負荷をかけ続ける作業の耐性はSurface Pro 3より上だ。いずれもCPUはTDP(熱設計電力) 15ワットの第4世代Core Uシリーズなので、放熱設計についてはボディが分厚いぶん、Surface Pro 2のほうが優位に立つ。

 Surface Pro 3は薄型化と軽量化に伴い、30%効率アップした冷却機構を採用したとしている。しかし、12型ワイド液晶を搭載して9.1ミリ厚、約800グラムの薄型軽量ボディで、第4世代CoreのUシリーズを冷却し続けるには少々荷が重い印象だ。

Surface Pro 3 薄型ボディにCore i3/i5/i7を搭載するため、30%効率アップした冷却機構を採用した。画像はCPUとファンがむき出しだが、実際はCPUとファンが銅製のヒートパイプ2本で結ばれている。本体の側面には目立たないようスリットが設けられており、内部に効率よくエアフローができるよう工夫している

 Surface Pro 3は、Surface Pro 2にはなかったCore i7も選択でき、その場合のCPUはCore i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)に、内蔵グラフィックスはIntel HD Graphics 5000にアップグレードするが、この冷却機構ではパフォーマンスを最大限に引き出すには厳しいだろう。

 CPUのピーク性能を重視せず、放熱に余裕を持って使いたいならば、むしろ最大TDPが11.5ワットになるCore i3モデル(1.5GHz駆動のCore i3-4020Y搭載)のほうが、TDP 15ワットのCore i5/Core i7モデルより有利と予想される。

 ちなみに、Core i7モデルが採用するCore i7-4650Uは「cTDP」(Configurable Thermal Design Power:設定可能な熱設計電力)により、状況に応じてCPUのTDP(熱設計電力)を可変させ、25ワットのTDPに切り替えることで、パフォーマンスを大きく引き上げるスペックも備えているのだが、当然ながらSurface Pro 3はこれをサポートしていない。

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