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「Surface Pro 3」に死角ありか?――パフォーマンス、スタミナ、発熱、騒音をテストSurface Pro 3徹底検証(1)(1/5 ページ)

» 2014年07月30日 17時30分 公開
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 ・→【次回記事】Surface Pro 3徹底検証(2):「Surface Pro 3」の画質はどこまで進化したか?――新旧モデルで液晶テスト(iPad Air、Xperia Z2 Tabletとの比較も)

ココが「○」
・第4世代Core搭載で非常に薄く軽い
・ファンを意識させないデザイン
・薄型軽量ボディでもスタミナ十分
・ACアダプタのサイズと接続性を改善
ココが「×」
・高負荷が続くと性能が低下しがち
・高負荷時はボディが発熱しやすい

まずはモバイルPCとしての基礎体力をチェック

 この夏の本命Windowsタブレット――そんな呼び声も高い「Surface Pro 3」。

 確かに前モデル「Surface Pro 2」から画面サイズを大型化しながら、よりボディを薄く軽く仕上げ、機能面の充実まで果たしたことは驚異的な進歩と言える。キーボード付きカバーや筆圧ペンを組み合わせることで、タブレットとしても、ノートPCとしても、デジタルノートとしてもフル活用できるのは大きな魅力だ。

Surface Pro 3 日本マイクロソフトが7月17日に発売した「Surface Pro 3」。写真は純正アクセサリの「Surface Proタイプカバー」を装着した様子

 すでにPC USERではさまざまな角度からのレビューやニュース記事を掲載してきたが、今回からスタートする特集ではSurface Pro 3の実力により深く迫っていく。

 第1回はモバイルPCとしての基礎体力を調べるべく、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、動作時の発熱と騒音を計測してみた。比較対象として前モデルのSurface Pro 2も同条件でテストし、結果を併記している。

 モバイルPCでは、本体の薄さや軽さはもちろん、性能、バッテリーライフ、放熱設計の作り込み、そしてそれらのトータルバランスがユーザー体験に大きな影響を及ぼす。今回のテスト結果は特にSurface Pro 3をヘビーに使いたいユーザーにとって重要な指標になるはずだ。

Surface Pro 3とSurface Pro 2の詳細スペック比較

 テストの前にSurface Pro 3とSurface Pro 2の基本スペックをおさらいしよう。

 今回入手したSurface Pro 3は、第4世代Core i5+8Gバイトメモリ+256GバイトSSDのモデルだ。具体的には、Core i5-4300U(1.9GHz/最大2.9GHz)、8Gバイトメモリ(LPDDR3/デュアルチャンネル対応)、256GバイトSSD(6Gbps mSATA SSD)、Intel HD Graphics 4400(CPU内蔵)、2160×1440ピクセル表示の12型ワイド液晶(アスペクト比3:2)、64ビット版Windows 8.1 Pro Updateを搭載する。

Surface Pro 3Surface Pro 3Surface Pro 3 Surface Pro 3のデバイスマネージャ画面。内蔵の256GバイトmSATA SSDは、Samsung「MZMTE256HMHP-000MV」だった。IEEE802.11a/b/g/n/acの無線LANとBluetooth 4.0のモジュールはMarvell「AVASTER」シリーズだ
Surface Pro 3Surface Pro 3Surface Pro 3 Surface Pro 3のCPU-Z情報画面。TDP(熱設計電力) 15ワットで、2コア/4スレッド対応CPUのCore i5-4300U(1.9GHz/最大2.9GHz)を搭載する(画像=左)。3次キャッシュは3Mバイト。vPro、VT-d、TSX-NIなどの機能もサポートしたCPUだ。メモリ容量は8Gバイト、デュアルチャンネルアクセスで動作する(画像=中央)。グラフィックス機能には、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4400(DirectX 11.1対応、実行ユニットは20基)を用いており、定格クロックは200MHz、最大クロックは1.1GHzだ(画像=右)

 前モデルのSurface Pro 2は、第4世代Core i5+4Gバイトメモリ+128GバイトSSDのモデルだ。Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.3GHz)、4Gバイトメモリ(LPDDR3/デュアルチャンネル対応)、128GバイトSSD(6Gbps mSATA SSD)、Intel HD Graphics 4400(CPU内蔵)、1920×1080ピクセル表示の10.6型ワイド液晶(アスペクト比16:9)、64ビット版Windows 8.1 Pro Updateを備えている。

 Surface Pro 2のプリインストールOSはWindows 8.1 Proだが、テスト環境をそろえるため、Windows 8.1 Pro Updateにアップデートした。また、Surface Pro 2は出荷時期によって、Core i5-4300Uを搭載する機体もあるが、今回テストしたのはCore i5-4200U搭載の構成だ。

Surface Pro 2Surface Pro 2Surface Pro 2 Surface Pro 2のデバイスマネージャ画面。内蔵の128GバイトmSATA SSDは、SK Hynix「HFS128G3AMNB」だった。IEEE802.11a/b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0のモジュールはMarvell「AVASTER」シリーズだ
Surface Pro 2Surface Pro 2Surface Pro 2 Surface Pro 2のCPU-Z情報画面。TDP 15ワットで、2コア/4スレッド対応CPUのCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)を搭載する(画像=左)。3次キャッシュは3Mバイトだ。メモリ容量は4Gバイト、デュアルチャンネルアクセスで動作する(画像=中央)。グラフィックス機能はSurface Pro 3同様のIntel HD Graphics 4400だが、最大クロックは1.0GHzと、100MHzだけ低い(画像=右)

 Surface Pro 3とSurface Pro 2の主な仕様を下表にまとめた。複数のスペックが存在する項目のうち、今回テストした評価機のスペックは太字で、新旧モデルを比較して変更があるスペックは赤字で記している。こうして見ると、Surface Pro 3の進化ぶりが目を引く。

Surface Pro 3 左がSurface Pro 2、右がSurface Pro 3。液晶ディスプレイは1920×1080ドット表示の10.6型ワイド(16:9)から、2160×1440ピクセル表示の12型ワイド(3:2)に進化し、画面サイズと解像度を高めた。画面のアスペクト比も変わったため、縦方向に本体サイズが伸びている
Surface Pro 3 左がSurface Pro 2、右がSurface Pro 3。Surface Pro 3は厚さ9.1ミリ、重さ約800グラムの薄型軽量ボディを実現し、従来比で4.4ミリ薄くなり、107グラム軽くなった。背面に装備したキックスタンドは、Surface Pro 2で2段階にチルト角度を調整できたが、Surface Pro 3では画面を立てた状態から150度まで柔軟な角度調整に対応している。側面から見ると、薄さの違いは一目瞭然だ
Surface Pro 3とSurface Pro 2のスペック
製品名 Surface Pro 3 Surface Pro 2
メーカー 日本マイクロソフト 日本マイクロソフト
OS 64ビット版Windows 8.1 Pro Update 64ビット版Windows 8.1 Pro ※テストした環境は8.1 Pro Update
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) 約292.1×201.4×9.1ミリ 約275×173×13.5ミリ
重量(実測値) 約800グラム(820グラム) 約907グラム(912グラム)
画面サイズ(液晶方式) 12型ワイド 10.6型ワイド
アスペクト比 3:2 16:9
タッチパネル 静電容量式(10点マルチタッチ) 静電容量式(10点マルチタッチ)
デジタイザ N-trig製、256レベル筆圧対応Surfaceペン付属 ワコム製、1024レベル筆圧対応Surfaceペン付属
ディスプレイ解像度 2160×1440ピクセル(約216ppi) 1920×1080ピクセル(約208ppi)
CPU(コア数/スレッド数) Core i3-4020Y(1.5GHz)、Core i5-4300U(1.9GHz/最大2.9GHz)、Core i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz) Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)
チップセット CPU内蔵 CPU内蔵
vPro 対応
GPU CPU統合(Core i3:HD Graphics 4200、Core i5:HD Graphics 4400、Core i7:HD Graphics 5000) CPU統合(HD Graphics 4400)
メモリ 4Gバイト(LPDDR3、128GバイトSSDの場合)、8Gバイト(LPDDR3、256G/512GバイトSSDの場合) 4Gバイト(LPDDR3、128GバイトSSDの場合)、8Gバイト(LPDDR3、256G/512GバイトSSDの場合)
メモリスロット(空きスロット数) オンボード、デュアルチャンネル転送対応 オンボード、デュアルチャンネル転送対応
ストレージ(評価機実装) 128GバイトSSD、256GバイトSSD(Samsung MZMTE256HMHP-000MV)、512GバイトSSD 128GバイトSSD(SK Hynix HFS128G3AMNB)、256GバイトSSD、512GバイトSSD
ストレージフォームファクタ mSATA mSATA
ストレージ接続インタフェース Serial ATA 6Gbps Serial ATA 6Gbps
光学ドライブ
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac(Marvell AVASTAR Wireless-AC Network Controller) IEEE802.11a/b/g/n(Marvell AVASTAR 350N Wireless Network Controller)
Bluetooth Bluetooth 4.0 Bluetooth 4.0
NFC
センサー 加速度、ジャイロ、電子コンパス、照度 加速度、ジャイロ、電子コンパス、照度
有線LAN
ワイヤレスWAN
キーボード −(オプションでタイプカバーを用意) −(オプションで各種キーボードカバーを用意)
カメラ イン500万画素/アウト500万画素 イン92万画素/アウト92万画素
主なインタフェース USB 3.0×1、Mini DisplayPort出力×1、ヘッドフォン/マイク共用(3.5ミリ)、カバー用ポート、DC入力(専用端子) USB 3.0×1、Mini DisplayPort出力×1、ヘッドフォン/マイク共用(3.5ミリ)、カバー用ポート、DC入力(専用端子)
メモリカードスロット microSDXCメモリーカード microSDXCメモリーカード
SIMカードスロット
その他カードスロット
スピーカー(音質補正ソフトウェア) ステレオ ステレオ
マイク デュアル モノラル
指紋センサー
セキュリティチップ TPM 2.0 TPM 1.2
セキュリティロックポート
キックスタンド 無段階調整(最大150度) 2段階調整(114度/130度)
InstantGo 対応
バッテリー動作時間 約9時間 約7時間
バッテリー仕様 42ワットアワー 42ワットアワー
ACアダプタ実測サイズ(幅×奥行き×高さ) 50×90×22ミリ 50×94×29ミリ
ACアダプタ実測重量(本体のみ/ケーブル込み) 161グラム/203グラム 202グラム/244グラム
ACアダプタ出力仕様 12ボルト/2.58アンペア、5ボルト/1.0アンペア(USB) 12ボルト/3.6アンペア、5ボルト/1.0アンペア(USB)
ACアダプタ対応電圧 100〜240ボルト(50/60Hz) 100〜240ボルト(50/60Hz)
DC端子形状 角形(専用端子 ※改良型) 角形(専用端子)
プラグケーブル端子形状(ACアダプタ側) 2ピンメガネ型 2ピンメガネ型
防水/防滴
カラーバリエーション シルバー チタンカラー
オフィススイート Microsoft Office Home & Business 2013 Microsoft Office Home & Business 2013
発売日 2014年7月17日 2013年10月25日

 参考までに、Surface Pro 3のラインアップと価格は下表の通りだ。現状でCore i3モデルのみ「2014年秋以降の発売予定」とされており、具体的な販売時期が明らかになっていない。そのほかのモデルは販売中だ。

「Surface Pro 3」の製品ラインアップ(個人向け)
製品名 CPU メモリ容量 ストレージ容量 価格(税別) 発売日
Surface Pro 3 Core i3 4Gバイト 64Gバイト 9万1800円 2014年秋以降
Core i5 4Gバイト 128Gバイト 11万1800円 2014年7月17日
Core i5 8Gバイト 256Gバイト 13万9800円 2014年7月17日
Core i7 8Gバイト 256Gバイト 16万4800円 2014年7月17日
Core i7 8Gバイト 512Gバイト 20万2800円 2014年7月17日

「Surface Pro 3」の製品ラインアップ(法人向け)
製品名 CPU メモリ容量 ストレージ容量 価格(税別) 発売日
Surface Pro 3 Core i5 4Gバイト 128Gバイト 10万800円 2014年7月17日
Core i5 8Gバイト 256Gバイト 12万8800円 2014年7月17日
Core i7 8Gバイト 256Gバイト 15万3800円 2014年7月17日
Core i7 8Gバイト 512Gバイト 19万1800円 2014年7月17日
※法人向けモデルはOfficeが別売となる

 それでは、次のページからパフォーマンスを検証していこう。

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