ココが「○」 |
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・4コアCore i7+外部GPUの高い性能 |
・BTO対応で拡張性も備えた薄型ボディ |
・静音で安定稼働、3年間保証付き |
ココが「×」 |
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・端子カバーが着脱式でなくしやすい |
・外部GPUではエントリー級の性能 |
国内大手PCメーカーは、量販店向けに主力モデルを厚く展開する一方、Web直販向けには基本スペックが選択できたり、特定用途に合う構成だったりと、PCをよく知っているユーザーに適したモデルを用意していることが多い。後者は店頭に出てこないため、一般には目立たないが、実は注目すべきモデルも少なからず存在する。
富士通の「FMV ESPRIMO DHシリーズ WD2/R」は、まさにそんな“隠れた売れ筋”と言えるような製品だ。国内メーカー製ではもはや希少と言えるBTO対応のセパレート型(分離型)デスクトップPCであり、店頭では取り扱わず、富士通の直販サイト「富士通 WEB MART」で限定販売している。
同社によると、この「FMV ESPRIMO DH」シリーズは今春、Windows XPサポート終了前と消費税増税前の駆け込み需要を追い風に販売数を大きく伸ばしたという。主にWindows XPが現役の時代に主流だったセパレート型デスクトップPCの買い換え対象として、性能、拡張性、省スペースのバランスが評価され、SOHOや中小企業、個人ユーザーといった幅広い層に選ばれたそうだ。
WD2/Rは同社が「カスタムメイドモデル」と呼ぶだけあって、購入時にCPUやメモリ、ストレージなど主要なスペックをBTOで選択できる。厚さ9センチを切る薄型シャシーにデスクトップ向けの第4世代Coreとグラフィックスカードを搭載可能で、省スペースとパフォーマンスを両立しているのが特徴だ。
2014年8月15日現在の最小構成価格は9万3960円(税込、送料込/以下すべて同様)。さらに今なら無料で使える18%オフクーポン(2014年8月20日14時まで)の利用で7万7047円と、求めやすい価格帯からハイエンド構成までカバーする。
まずはBTOの選択メニューで主要構成を確認してみよう。CPUはすべて第4世代Coreの3種類、メモリも最大32Gバイトを選べるほか、ストレージは最大合計容量6TバイトまでのHDDをすべて“7200rpm”で用意している。コストダウン等の理由で5400rpmのHDDを使うベンダーもあるが、性能重視の姿勢は好感が持てる。さらなる高速を求めるならば、最大512GバイトのSSDも選択可能だ。
FMV ESPRIMO DHシリーズ WD2/Rの主な仕様※ | |
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モデル名 | FMV ESPRIMO DHシリーズ WD2/R |
OS | 64ビット版Windows 8.1 Update、64ビット版Windows 8.1 Pro Update |
CPU | Core i3-4150(3.5GHz)、Core i5-4590(3.3GHz/最大3.7GHz)、Core i7-4790(3.6GHz/最大4.0GHz) |
メモリ | 4Gバイト(4Gバイト×1)、8Gバイト(4Gバイト×2)、16Gバイト(4Gバイト×4)、32Gバイト(8Gバイト×4) |
グラフィックス | CPU内蔵、CPU内蔵+HDMI出力、NVIDIA GeForce GT 635(1Gバイト) |
ストレージ1 | 500GバイトHDD、1TバイトHDD、2TバイトHDD、3TバイトHDD(HDDはいずれも7200rpm)、256GバイトSSD、512GバイトSSD |
ストレージ2 | なし、3TバイトHDD(7200rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ、BDXL対応Blu-ray Discドライブ(DVDスーパーマルチ対応) |
キーボード/マウス | USB有線、ワイヤレス |
タッチパッド | なし、ワイヤレスタッチパッド |
有線LAN | RJ45(1000BASE-T) |
無線LAN | なし、IEEE802.11a/b/g/n/ac+Bluetooth 4.0+HS |
テレビ機能 | なし、ネットワークテレビチューナー |
ディスプレイ | なし、20型ワイド(1600×900)×1台、24型ワイド(1920×1200)×1台、20型ワイド×2台、24型ワイド×2台 |
Office 2013 | なし、Office Personal 2013、Office Home and Business 2013 |
消費電力 | スリープ時約1.3ワット、標準時約32ワット、最大約239ワット |
本体サイズ (幅×奥行き×高さ) | 89×353×341ミリ(縦置き時、スタンド含まず)、179×353×354ミリ(縦置き時、スタンド含む) |
本体重量 | 約7.7キロ(SSD 1台+増設用HDD選択時、その他構成によって異なる) |
最小構成価格 (税込、送料込) | 9万3960円(標準)、7万7047円(18%オフクーポン適用時) |
※上記、赤文字はレビュー機材の構成。構成および価格は執筆時点のもので変更される場合あり |
レビュー機材の構成は、CPUのCore i7-4790(3.6GHz/最大4.0GHz)をはじめ、WD2/Rでも最上位に近い。価格は36万9469円、前述の18%オフクーポン適用でも30万2964円とさすがに高価だ。ちなみに、64ビット版Windows 8.1 Update、Core i7-4790、8Gバイトメモリ、256GバイトSSD、Blu-ray Discドライブ、USBキーボード+マウス、ディスプレイなしといったハイスペック構成では20万5200円(クーポン適用で16万8264円)となる。
まずは予算や用途に応じて、WEB MARTで構成を確認してみるとよいだろう。
スリムタワー型のボディは、本体サイズが89(幅)×353(奥行き)×341(高さ)ミリ(縦置き時、スタンド含まず)、重量が約7.1〜8.1キロとコンパクトだ。ただし、付属のスタンドを底面に装着すると、本体の幅は約18センチと一気に約2倍となる。せっかくの薄型ボディを生かせない仕様は、もったいないと筆者は感じる。
もっとも、同社は本体の縦置き時に、各面から約10センチの隙間を開けるよう推奨している。スタンド装着時は左右が約5センチずつ長くなるが、推奨設置環境としてはあと5センチずつ左右に隙間を開ける必要があるため、設計上スタンドが大きすぎることはない。壁やラックに本体を隙間なく設置してしまうユーザーのミスを回避できるという考え方もあるだろう。
一方、昔のデスクトップPCのように、本体を寝かせて横置きにする方法もある。マニュアルによると、6キロまでのディスプレイならば横置きした本体の上に設置可能だ。その場合、縦置き時に左側面にある通気口をふさがないよう、左側面を上に向けて置く。スタンドは横置きでも共有で使える設計だ。横置きでの高さはスタンド込みで101ミリと省スペースにおさまる。
ボディカラーはその名も「ラグジュアリーブラック」だ。ブラックを基調として、フロントベゼルの上部のみダークブラウンで塗り分けており、高級感が漂う。電源ボタンとアクセスランプ、ESPRIMOのロゴが並ぶ中央部のパーツは光沢仕上げで、デザインのアクセントになっている。
フロントベゼルの右下にあるカバーを外すと、SDXC対応のSDメモリーカードスロット、2基のUSB 3.0、マイク入力、ヘッドフォン出力の端子が現れる。カバーはドアのように開閉するタイプではなく、外れて分離してしまうので、外したカバーの置き場所に困るかもしれない。次期モデルでは、カバーを開いたまま固定できる仕様にしてほしいところだ。上部にはスリムタイプの光学ドライブを内蔵している。
背面を見ると、89ミリの横幅限界まで通風口が広がっており、内部にはProtechnic製のファン「MGT8012HR-A25」(80×80ミリ径/25ミリ厚)が鎮座する。背面には、2基のUSB 3.0、4基のUSB 2.0、PS/2、マイク入力、ライン入力、ライン出力といったインタフェースに加えて、アウトレットとインレットの電源端子、メインスイッチも並ぶ。映像出力端子は、選択した構成によって異なる。
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