ここからは各種ベンチマークテストで、FMV ESPRIMO DH WD2/Rの実力を見ていこう。評価機の基本スペックをおさらいすると、Core i7-4790(3.6GHz/最大4.0GHz)、32Gバイトメモリ、512GバイトSSD、3TバイトHDD(7200rpm)、64ビット版Windows 8.1 Updateを搭載していた。
まずはPCとしての基本性能をチェックするため、Windows 8.1では標準機能から省かれているWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアを「WIN SCORE SHARE」(コードリウム)で計測してみた。結果はグラフィックス以外で8ポイント台という優秀なパフォーマンスだ。
ストレージについては、プライマリの512GバイトSerial ATA SSDにSamsung「MZ7TE512HMHP」、セカンダリの3TバイトHDDに東芝「DT01ACA300」を用いていた。SSDの速さは魅力的で、CrystalDiskMark 3.0.3の結果も申し分ない。
このようにシステム用にSSD、データ用にHDDという構成にすれば、フォトレタッチや動画編集といった速度と容量の両方が求められる用途にも対応できる。
実際のアプリケーションのシミュレーションで全体的な性能を評価するPCMark 7は、Entertainmentスコアが若干低いものの、全体的に高いスコアを示している。LightweightやProductivityはストレージ性能に結果が左右されやすいが、やはりSSDの効果が大きい。
3D性能を計測する3DMarkの結果は、エントリー向けの外部GPUなので、最近のゲーミングPCほどのスコアは出ていない。Direct X9相当テストのIce Stormでは十分な結果だが、Direct X10相当テストのCloud Gate、Direct X11相当テストのFire Strikeでは少々厳しい結果だ。とはいえ、CPU内蔵グラフィックスよりワンランク上の描画性能は確保できている。
実際の人気ゲームタイトルを用いたグラフィックス性能を評価するため、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編も実施した。
付属の24型ワイド液晶ディスプレイ(VL-244SSW3)に合わせて、解像度1920×1200ピクセルの設定も加えてテストしたところ、「標準品質(デスクトップPC)」の設定で「やや快適」という結果だった。初期設定の1280×720ピクセルならば、「とても快適」という結果だ。設定次第では、最近のさまざまなゲームを楽しめる描画性能を備えている。
FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア | |||
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解像度 | 1280×720 | 1920×1080 | 1920×1200 |
最高品質 | 2870(やや快適) | 1337(設定変更が必要) | 1334(設定変更が必要) |
高品質(デスクトップPC) | 2765(やや快適) | 1477(設定変更が必要) | 1349(設定変更が必要) |
標準品質(デスクトップPC) | 6227(とても快適) | 3321(やや快適) | 3070(やや快適) |
動画編集用途を考慮して、「TMPGEnc Video Mastering Works 5」による動画エンコード速度も確認した。MOVファイル(645Mバイト/1920×1080/29.97fps)をMPEG-4 AVC/H.264形式(1920×1080/29.97fps)に変換したところ、良好な結果が得られた。高いCPUパワーが生かされている。
TMPGEnc Video Mastering Works 5の動画エンコードテスト結果 | |
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MOV→MPEG-4 AVC/H.264変換 | 所要時間 |
x264でエンコード | 5分26秒 |
次は写真編集用途を想定したRAW現像テストだ。今回はRAWデータの写真100枚(計2.36Gバイト)を用意し、「Capture NX-D」を使ってJPEG形式に標準圧縮をかけ、バッチ処理した時間を計測した。ここでも満足できる高速な結果が得られた。
Capture NX-DのRAW現像テスト結果 | |
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RAW現像→JPEG出力 | 所要時間 |
RAW現像・RAWデータ100枚分計2.36Gバイト | 6分52秒 |
静音性と温度管理も優秀だ。3DMarkを走らせて騒音計(SMARTSENSOR、誤差±1.5dB)と放射温度計(シンワ製、レーザーポイント機能付)で簡易計測した。測定方法は本体を横置きにして、上面にあるCPUクーラーの通風口横で計測している。PCを起動しない部屋の騒音は32.3デシベル、室温は23.3度だ。騒音は約44デシベルで安定、表面温度は27度前後、本体背面の電源ファン部でも31.5度と安定していた。
今回入手したFMV ESPRIMO DH WD2/Rの評価機は、Windows 8.1の基本的な動作はもちろん、動画エンコードやRAW現像などのクリエイティブ作業も軽々とこなすことができた。高い3D描画性能を求める最新ゲームタイトル向けではないが、FF14程度のゲームであればCPU内蔵グラフィックスより設定を上げてプレイ可能だ。この高性能が省スペースなスリムタワーにおさまっている点に注目したい。
普段ここまでの性能を必要としないユーザーでも、富士通 WEB MARTのカスタマイズメニューで自分にピッタリの構成に仕立てられる。最小構成では7万円台(クーポン適用)から購入できるのだ。それでもCPUには最新の第4世代Coreを装備する。さらに電話サポートが不要な上級者向けに、電話での問い合わせを初回から有料とすることで、5000円値引きとなる「ミニマムサポート」メニューも用意している。
もちろん、国内大手PCベンダーが国内工場で組み上げる“Made In Japan”モデルという安心感、標準で3年間と長い保証期間(最大5年まで延長可能)、豊富なソフトウェアやサービス、マニュアルの充実ぶりも見逃せない。
個人からSOHO/小規模事業者まで、PC自体の高い基本性能に加えて、その周辺も含めた「総合力」で製品を選び、長く安定稼働させたいユーザーにおすすめの1台だ。
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