今や、写真はもっぱらスマートフォンやコンパクトデジタルカメラで撮る時代になった。だが、思い出してみてほしい。昔はフィルムカメラで写真を撮っていたことを。デジタル時代の今でも、アナログなアルバムで昔の思い出を保存している人は多いだろう。タッチの差で平成生まれを逃した筆者も(1988年12月生まれ)、小学生のときは家族とともにフィルムカメラで思い出を残していたことを覚えている。最近はFacebookやPCのローカルデータに写真を保存し、整理しているが、子どもの頃の写真はやはり現像してアルバムに保管してある。
そんな大切な思い出をデジタルデータとして保存できるのが、フィルムスキャナだ。フィルムは保存状態が悪いと劣化してしまうし、フィルムや写真をなくしてしまったらもうその思い出は復元できない。さらに、写真は劣化してしまうが、デジタルデータは劣化しない。補正や加工で写真を思い出をより美しく、楽しく彩れるのもポイントだ。
だが、高機能なフィルムスキャナの価格は数万円に上ることも。また、価格帯が1万5000円〜2万円の一般的なフラッドベッドスキャナの場合は、ネガ・ポジフィルムのほか、スライドの厚さが2ミリまでのマウントフィルムに対応するなどの利点がある。複数枚のフィルムをスキャンできるのも魅力だ。価格が上がると、解像度や読み取り速度などのスペックも比例して上がっていく。
「だが、世の中にあるフィルムスキャナは高すぎる!」 と思っているアナタにおすすめしたいのが、上海問屋の「ネガ・ポジフィルム対応 液晶画面付き フィルムスキャナー」だ。スペックをやや控えめにすることで5999円(税込)という低価格を実現した。35ミリのネガフィルム、ポジフィルム、白黒フィルムに対応する。
microSDスロットを備えているので、PC不要で直接microSDにデータを保存できるのがうれしい。保存可能なデータ容量は32Gバイト。1/3.2型で有効約500万画素のCMOSセンサーを搭載し、気になる解像度は500万ピクセル/1000万ピクセルに対応。実際にデジタル化したデータがPCや印刷でどのようなクオリティになるのかは後ほど紹介したい。
1度に1枚のフィルムしかスキャンできないが、2.4型のTFTカラー液晶を搭載しているため、スキャンした写真を確認することが可能だ。付属のAVケーブルを使って液晶画面の映像をテレビに出力することも可能で、懐かしい思い出を大画面で楽しむこともできる。電源は付属のUSBケーブルおよび別売りのUSB-ACアダプタから供給する。サイズは87(幅)×87(高さ)×103(奥行き)ミリ、重量は約240グラム。
ここはガジェット好きが集まるガジェット編集部。フィルムカメラと昔使用していたフィルムなんてすぐに見つかるはず……と思っていたら、やはり部屋の奥の奥にしまっているという人が多く、10年以上前に使っていたものを無理を言って引っ張り出してもらった。
封筒には、2005年ごろに撮影されたというネガ・ポジフィルムが入っていた。フィルムには、釣り用のルアー(釣り好きの社員がいたらしい……)、ワイングラスや色鉛筆などをセッティングしたもの、女性モデルなどが写し出されている。ポジフィルムは価格が高く、当時も「一球入魂」ならぬ「一写入魂」で集中して必要最小限の写真を撮影していたとのこと。もちろん、カメラにプレビュー用の液晶モニタなどはなく、本番前はポラロイドでの確認が必須だった。
それがいまや、液晶モニタを見ながら、使うか分からない予備の写真も含め、いくらでも撮りためてしまえるデジタル時代になったわけだ。
ネガフィルムを見ると、昔家族と旅行に行ったり、子どものときの運動会なんかの思い出がよみがえってきて少しホッコリした気分になる。
さっそくフィルムをスキャンしてみたい。本体をUSB接続し、ホルダーにフィルムをセットする。読み取りは1枚ずつで、液晶ディスプレイにスキャンするフィルムの映像が表示される。スキャン時は画像の上下左右の反転が可能。「SCAN OK」ボタンを押すと、スキャンを開始する。
スキャンした画像をPCや紙で確認してみよう。解像度500万ピクセルの画像は2736×1824ピクセル、1000万ピクセルの画像は2588×3888ピクセルのJPEG形式で保存される。ポジフィルムよりネガフィルムがやや明度が高く、彩度が低い仕上がりになった。ポジフィルムはそのままでも十分鑑賞に耐えうるできだが、ネガフィルムは画像編集ソフトによる補正が少々必要そうだ。
フィルムのスキャンからPCへの取り組み、印刷と全体的な工程を一通り終えるのにかかった時間は約30分。大量のデータを一気にデジタル化したい人には骨が折れる作業かもしれない。だが、フィルムをスキャンする作業1つ1つは新鮮で、子どもがいる家庭なんかは、休日に親子で昔のフィルムをスキャンして思い出話に花を咲かせるのもいいかもしれない。
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