「VAIO Prototype Tablet PC」はクリエイター市場を揺さぶるモンスターになれるか林信行が見た「新型VAIO」(2/3 ページ)

» 2014年10月10日 21時11分 公開
[林信行,ITmedia]

各所に盛り込まれたクリエイター向けの工夫

 クリエイター向けの工夫としては、ペン1つにもこだわっている。クリエイターの間で人気が高いワコムが採用する電磁誘導方式スタイラスペンでは、画面にスタイラスペンが近づくとカーソルが表示され始め、ペン先と少しズレた位置で描画が行なわれてしまうが、VAIOではとことんまでアナログのペンの描き味を再現することにこだわり、ペン先と描画が行なわれるポイントのずれを可能な限り小さくしている。

 このペン先と描画されるポイントのズレをなくす工夫はスタイラスペン側だけでなく画面側でも行なわれており、通常は液晶面とタッチセンサーの間に空気の層が入るところを、代わりに薄いジェルの層を入れることによって視差を減らしている。

紙に描くような体験を目指して、ペンと画面の両方に視差をなくす工夫が施されている

 そして冒頭でも挙げたAdobe RGBの95%という広い色域のカバー率だ。実際、Adobe MAXの展示会場にSurface Pro 3を持ち込んで同じ写真を表示させてみても、その色の表現力に大きな差があることが一目で分かった。

Surface Pro 3(左)とVAIO Prototype Tablet PC(右)との比較。目視でも色の表現力にはっきりと差があることが分かる

Surface Pro 3(左)とVAIO Prototype Tablet PC(右)との比較

 このようにクリエイターをターゲットとした製品なだけに、Adobe MAXにおける製品発表会は、同製品のアドバイザーにもなっているクリエイター、レイス・バード氏によって行なわれる形になった。

 ちなみにクリエイター向けPCということで、製品紹介時の比較対象として取り上げられていたのは、VAIOと同じWindowsで動作する製品ではなく、画面の美しさや圧倒的な高性能からクリエイターの間で人気が高い、アップルの「MacBook Pro」シリーズだった。

 同社によれば、性能面ではAdobe Photoshop Lightroomを使ったRAW写真の印刷では、13インチMacBook Pro の2.1倍、Photoshop CCを使ったSmart Sharpenフィルタ実行速度では3.5倍とアピール。15インチMacBook Pro相当の性能を、13インチMacBook Proよりも薄く、軽いボディで実現したことを最大の特徴としてうたっている。

VAIO Prototype Tablet PCと他社製品のパフォーマンス比較

 さて、それではこの「VAIO Creative Tablet PC」(VAIO Prototype Tablet PC)を開発初期から使い続けているレイス・バード氏は、同製品をどう見ているのか。ちなみに本製品を使い始める前は自作PCなどにタブレットをつないで作業をしていたらしい。

デモを行うレイス・バード氏

 “ザ・モンスター・タブレット”のアドバイザーに相応しく、バード氏は実はモンスターの絵を描くのが得意なクリエイターだ。実際、発表イベントでもスラスラと製品の解説をしながら30分ほどでモンスターを描き上げてしまった。

 バード氏が描きながら強調していたのが、タッチパネル液晶の安定感。手をのせてもまったく角度が変わることがないため、ペンで描くのがすごく楽だそうだ。また、ワイヤレスキーボードは適当に気が向いた場所に置いておき、たまにショートカットキーでツールの切り替えなどをするのに使っているとのこと。

 実はそれに加えて、VAIOとAdobeの共同開発で本体右上のボタンを押すとよく使う専用ツールを簡単に呼び出せる機能も提供されており、これも快適だと評価していた。

バード氏はモンスターの絵を描きながらその使用感をアピールした

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