より薄く、優美に――林信行が「iPad Air 2」の魅力に迫る世界で最も“悩ましいタブレット”に進化(1/5 ページ)

» 2014年10月22日 10時01分 公開
[林信行(写真:篠原孝志、撮影協力:平河町ライブラリー),ITmedia]

没入できる迫力を驚くほどの薄さに

さらに大きく薄くなったiPad Air 2の魅力。今回は現在、フリーアナウンサーの櫻井彩子さんと共に魅力を探ってみた

 800万画素のiSightカメラでその先にある風景をとらえたとき、友達との会話で出てきた旅行の写真を振り返るとき、ファッション雑誌を開いてこのシーズンのトレンドを探るとき、証券会社のWebサイトで最新の経済動向を把握しようとするとき、音楽作成ソフトのGarageBandを起動して自分だけの音楽を奏でるとき、お気に入りのゲームを起動してサッカーのフィールドやレーシング場やファンタジーの世界に立つ時――。

 iPad Air 2の大きな9.7型のディスプレイ、人間の目の認識能力を上回る表示密度264ppi、314万画素で明るく見やすいRetinaディスプレイが、こうしたさまざまなシチュエーションで、圧倒的な迫力と感動、そして没入感を生み出す。

 指のタッチに敏感に反応して、さきほどまでは写真アルバムだったものが、株価分析のモニターになり、あっという間に楽器や数年前のハイエンドゲーム機と同じ3Dリアルグラフィックスのゲーム機にも早変わりする。これがiPad Air 2のすごさだ。初めて触れた多くの人は、まず、ここで感動する。

 最初の感動が一段落ついたところで、本体を手に取り持ち上げようとすると、薄さの手触りは、まるでTIMEやニューズウィークと言った米国のニュース雑誌並み。ハっと驚いて本体を横にしてみると、本当に薄い。そして手に持ったiPadの軽さを腕で感じようとするが、437グラムと軽いため、その重みをほとんど手首の力だけでまかなえてしまうことにさらに驚かされる。

見た目の印象は週刊ニュース雑誌に近い。iPad Air 2の特徴は、とにかくこの圧倒的な薄さにある

 続いて、本体の裏側を見てみると、きれいな梨地加工が施された大きなアルミニウム製ユニボディが、大量生産されたものとは思えない、まるで宝飾品か工芸品のような美しさを放っていることに気付く。

 ここまでは前回のiPad Airにも当てはまることだが、iPad Air 2は、2代目ということもあり、その美しさと薄さがさらに進化をしている。iPhone 6シリーズを連想させるエッジの処理や明るさを増したゴールドの色味。中でも特徴的なのは、やはりその薄さで、アップルはこの薄さを実現するためにiPadの命でもあるディスプレイの構造そのものを大きく作り直した。

パッケージの白味や製品の薄さをさらに強調し始めたアップル。新しい2枚のiPadのパッケージでは薄さを強調した側面写真をフィーチャーするようになった

再創造されたRetinaディスプレイ

 これまでのiPadでは画面は映像が表示されるLCD面、指での操作に反応するタッチセンサー、そしてそれを覆い滑らかな手触りを与えるカバーガラスの3層で構成されていたが、iPad Air 2ではこれらを1つに統合。各層の間にあった空気の層(air gap)をなくしたことで映像の表示がより指で触れる部分に近づき、「情報に触れる」感触を心地よいものにしている。

 横に傾けて覗き込むとiPad mini 3はガラスの表面から少し奥まった(沈んだ場所)に映像が表示されているのに対して、iPad Air 2では、この「沈み」がほとんどないことに気がつくはずだ。

iPad Air 2のRetina Displayは、構成する3層の構造を1つに統合し、間にあった空気の層を取り除いた事で表示面とタッチ面がほぼなくなった。この違いは従来通りエアギャップがあるiPad mini 3と側面から見比べてみるとよく分かる。試用したiPad mini 3が黒モデルだったこともあり写真では少し分かりにくいかもしれない。ぜひ店頭で見比べてみてほしい

 3つの層を1つに統合した効果は表示面とタッチ面を近づけることだけではない。実はこれまではエアギャップのわずかな隙間で、光が反射し弱まるといった問題もあった。iPad Air 2では、エアギャップをなくしたことにより、より少ない消費電力で、これまでと同等以上の明るさを実現し、本体のエネルギー効率もだいぶよくなっている。

 1つの難しい課題の克服が、別の課題も克服する。アップルの製品では、こうしたことがしばしばあるが、iPad Air 2では、Retinaディスプレイが、まさに飛躍の中心になっている。

 「そんな違いは、自分は感じないしどうでもいい」という人もいるかもしれない。アップルは、こうした気がつかない人も多い「かすか」な違い、英語で言うところの「subtle」な違いにこだわりを見せる。

 おそらくそれは、こうしたsubtleな違いを積み重なることで、大きな使い心地の差を生み出すと信じているからだと思う(こうしたsubtleなこだわりを愛でる文化は元来、日本にも備わっていたと思う。いや、今でも工芸品の世界などでは、こうした部分を見抜く目利きが多い)。

 だからこそ、アップルは外観だけでは分からず、セールストークにもつながらないようなところでも改良を続けているのだ。

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