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小型軽量Chromebookが日本上陸――「Chromebook C720」徹底レビュー個人市場の台風の目になるか(1/2 ページ)

» 2014年12月12日 13時50分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
ココが「○」
・Chromebookの中では小型軽量なボディ
・起動が速くてブラウズもサクサク
・導入しやすい価格
ココが「×」
・Windowsに比べて使えるソフトが少ない
・液晶ディスプレイの品質がいまひとつ
・キーボードがやや頼りない

日本正規販売が開始された小型軽量のChromebook

 日本エイサーから登場したChromebook C720は、11.6型液晶ディスプレイを搭載した小型軽量の「Chromebook」だ。

日本エイサーのChromebook C720。11.6型液晶ディスプレイを搭載したクラムシェル型のスタイルを採用している

 Chromebookとは、Googleが開発したLinuxベースのOS「Chrome OS」を導入した新しいスタイルのパーソナルコンピューターである。Chrome OSではChromeブラウザ経由でアプリを実行し、データも基本的にはクラウドストレージに保存することを前提としている。クラウドのリソースを活用したコンピューティングの新しいスタイルが注目を集めている。

 OSのコンセプト上、高コストなハードウェアを必要としないことに加えて、自動メンテナンスの仕組みやコンピュータウイルスなどに対するセキュリティ対策をOS構造レベルで確立していることから、セキュアで管理がしやすいという特徴もある。

 Chromebookは数年前から米国を中心とした海外で展開され、2014年に入ってからは日本でも企業向け教育向け市場で展開されてきたが、ここにきて個人市場向けにも製品が投入されている。そういったパイオニア製品の1つが、このChromebook C720である。今回は製品版を入手し、試すことができたので性能や使い勝手をレビューしよう。

Chrombook最軽量クラスのボディ

 ハードウェアのスタイルは、WindowsノートPCと変わらない。トップカバーの内側に画面、ベースボディにキーボードを搭載し、側面などに周辺機器接続用の端子類などが用意されているクラシックなクラムシェル型のスタイルが主流で、このChromebook C720も同様である。11.6型液晶ディスプレイを搭載したボディは、現在国内で個人向け販売がアナウンスされているChromebookの中では最小最軽量だ。

 具体的なサイズは、約288(幅)×204(奥行き)×19.1(高さ)ミリだ。額縁が太すぎることもなく、11.6型サイズの画面を搭載したクラムシェル型のPCとしては標準的なサイズ感といえる。なお、19.1ミリという高さはゴム足や突起部をのぞいた数値のようで、実際には底部に足があり、後部のほうが少し足が高い。ゴム足まで含めた実測の高さは、約20〜23ミリになっている。

 重量は約1.25キログラムだが、実測重量は1184グラムと公称よりかなり軽かった。WindowsノートPCも含めると特に軽いわけではないものの、現在日本国内で正規に販売されているChromebookとしては最軽量の製品である。

 底部の足をのぞけば、ボディはフラットなフォルムで、ヒンジ部分やエッジに丸みを持たせて変化をつけている。カラーはメタリック感強めのグレーとブラックのツートーンでまとめている。樹脂製の底部のみややコストの影響を感じるものの、剛性感も高く、安っぽいイメージはない。

天面はメタリックグレー。Acerのロゴのほかに、Chromeのロゴとシンボルが端に置かれている

本体前面。システムの電源とバッテリーの充電状態を示すインジケータが右端付近にあるのみである(写真=左)。背面には排気口がある。ファンが搭載されてはいえるが、高負荷時でも動作音はほとんど分からない(写真=右)

左側面。奥側からDC入力、HDMI出力、USB 3.0、ヘッドフォン/マイク兼用端子(写真=左)。右側面にはSDメモリーカードスロット、USB 2.0、セキュリティーロックポートが用意されている。SDメモリーカードスロットはカードが奥まで入らないタイプで、通常サイズのカードを差すと17ミリほど張り出す(写真=右)

Chromebookとしては高めの基本スペック

 Chromebookではクラウドリソースを活用することが前提のため、CPUは低コストな省電力CPU、データストレージは小容量SSDの搭載が基本だ。

 本製品も例外ではないが、海外展開されている製品も含め、Chromebookの中では比較的スペックはよい。具体的には、CPUにHaswellベースの廉価版CPUであるCeleron 2955Uを搭載している。Bay Trailベース(Silvermontアーキテクチャ)のCeleronやAtomよりは高い性能が期待できる。また、メモリ容量も2Gバイトの製品も多くある中で4Gバイトを搭載している。

 ストレージは16GバイトのSSD(Serial ATA 3Gbps)を採用する。それでも出荷状態での空き容量は9Gバイト弱ほどある。本製品はSDメモリーカードスロット(SDXC対応)を搭載しているが、装着時にはカードが大きく張り出すため、SDXCカードを追加ストレージとして使うには向いていない。あくまでクラウドストレージの活用が前提と考えたほうがよいだろう。Chromebookの購入者には、2年間Google Driveが2年間無料で使える特典がある。

 通信機能はIEEE802.11a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0を装備している。本体装備の端子類の内容、配置もWindows用ノートPCに準じており、USB3.0とUSB 2.0が1基ずつ、ヘッドフォン/マイク兼用端子、HDMI出力がある。画面上部にはWebカメラもある。

 液晶ディスプレイは11.6型で表示解像度は1366×768ドット、画素密度は135ppiだ。近くで見るとドットがはっきり視認でき、精細とは言い難い。液晶の配向方式は明記されていないが、上下の視野角が狭く、TNパネルだろう。ノングレア仕上げなので照明や外光は映りこみにくく、視認性は場所を選ばず使える。明るさは十分なレベルだが、色味はやや青っぽく見える。ヒンジの角度は約140度まで開く。

 バッテリー容量は3950ミリアンペアアワーと電流値のみしか記載されていない。スマートフォンやタブレットに関しては同社に限らないが、中学生レベルの理科の知識があればこのような表記の仕方はおかしいと分かるはずだけに残念である。公称の駆動時間は約8.5時間となっている。

公称のバッテリー駆動時間は約8.5時間だ。バッテリーが簡単に着脱できるようなしくみは用意されていない。ACアダプターは65(幅)×90(奥行き)×27(高さ)ミリとやや大柄だ。ケーブルも3ピンタイプでかさばり、重量は約310グラムある

液晶ディスプレイは11.6型で表示解像度は1366×768ドットだ。画素密度は約135ppiで、精細感はいまひとつ。明るさは十分だが、やや青みが強い表示だ。視野角は左右はまずまずだが上下は狭く、TNパネルだろう

アイソレーションタイプの6列キーボードを採用している。Windowsキーなどがないためレイアウトには余裕がある。一部細いキーがあるものの、主要キーのピッチは実測約19×18ミリとサイズの割には広く確保されている。最上段にはメディア操作や輝度音量調整を行うボタンが並び、右端が電源ボタンとなっている。これらは設定変更でファンクションキーとして使うことも可能だ

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