ウェアラブルや3DインタフェースにかけるIntelの情熱は本物かもしれない――というのが2015年を迎えての最初の感想だ。
米Intelのブライアン・クルザニッチCEOは1月6日(米国時間)、米ネバダ州ラスベガスで開催されている2015 International CESの基調講演に登壇し、同社の最新技術を発表した。昨年2014年のIDFでもフィーチャーされていたIoT(Internet of Things :モノのインターネット)や3Dインタフェース、無線技術が引き続き主要なトピックとなり、現在同社が特に力を入れている部分が改めてクローズアップされた。
昨年2014年のCESで、やはりクルザニッチ氏により大々的に発表されたSDメモリーカード大の組み込み向けコンピュータプラットフォーム「Edison(エジソン)」。若干のリファインの後に市場へと正式投入され、「Make it Wearable」という同社主催の製品開発コンテストが実施されたことでも話題となった。
今回は、それをさらに小型化した洋服のボタン大となる新しいプラットフォーム「Curie(キュリー)」が発表され、ウェアラブルデバイスをはじめ、小型組み込み機器にIntelの技術を浸透させることを目指す同社の姿が印象に残った。
Curieは32ビットプロセッサ「Quark SE SoC」をベースにしたx86によるプログラミングに対応し、本体には384Kバイトのフラッシュメモリ、80KバイトのSRAM、Bluetooth LEの通信機能、6軸センサー、バッテリー充電回路などを備える。名前の由来はもちろん放射線研究で知られる「キュリー夫人」であり、Galileo(ガリレオ)、Edisonに続く組み込みプラットフォームにおける偉人シリーズの第3弾だ。
世代を経るごとにプラットフォームの小型化と簡素化が進んでおり、それだけIntelが幅広いデバイスでの活用を望んでいることが分かる。なお、Curieの市場投入は今年後半を見込んでいる。
昨年のIDFでは「MICA」というスマートブレスレットのウェアラブル機器が紹介されたが、今回も製品開発やブランディングでは複数のファッションブランドとの提携を重視しており、Barneys New York、SMS Audio、CFDA、Opening Ceremony、Fossil、Luxotticaといった名前が挙げられたほか、Luxottica Groupの1つであるOakleyからはコリン・バーデンCEOが登場し、グラスウェア分野での技術開発を共同で行っていくことを表明した。
Intelに限らず、これらファッションブランドはIT系企業との提携でスマートデバイス市場への積極的な進出を図っており、今後もこの動きは加速するだろう。
壇上ではこのほか、「RealSense」とウェアラブル技術を組み合わせた医療用途向けのセンサーデバイスに関する取り組みのほか、前述した「Make it Wearable」のコンテストで優秀者となった「Nixie」のフライングカメラ(ウェアラブルドローン)製品などが紹介された。
ある意味で、このウェアラブル技術の世界は可能性を無限に秘めており、さまざまな提携や市場振興策を通じて技術拡大を図っているのが現在のIntelの姿なのかもしれない。
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