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復活した“モンスターPC”の驚くべき性能とは?――新生「VAIO Z」徹底検証(前編)性能、スタミナ、騒音、発熱をじっくりテスト(4/6 ページ)

» 2015年02月24日 11時00分 公開

cTDP 10ワット設定でもTDP 15ワットモデルより高性能?

 続いて「VAIOの設定」でcTDP設定を変えた場合の性能も検証していこう。比較として、TDP 15ワットのCore i7-5600U(2.6GHz/最大3.2GHz)、8Gバイトメモリ、Intel HD Graphics 5500(CPU統合)、PCI Express x4接続の256GバイトSSDを搭載したスリムノートPCのスコアも併記する。

CPU性能評価(CINEBENCH R15)

 まずはCINEBENCH R15だ。これは実質CPUのみに負荷がかかるテストだが、cTDPが35ワットと28ワット、15ワットと10ワットでは、CPUスコアもCPU(シングルコア)スコアもまったく違いがない結果となった。

 35ワットと15ワットのスコア差は28.2%、28ワットと10ワットのスコア差は27.7%となっており、「VAIOの設定」の「CPUとファンの動作モード」で「パフォーマンス優先」から「静かさ優先」に切り替えると、かなり性能に影響が出る。Core i7-5600U搭載スリムノートのスコアは、CPUが2667、CPU(シングルコア)が108で、すべてのモードでこれを上回った。

CINEBENCH R15のスコア

PC総合評価(PCMark 7 1.4.0)

 PCMark 7のスコアも似た傾向だ。cTDP 35ワットと28ワットではほとんど差がなく、一部の項目では逆に28ワットのほうがよいくらいだ。ただし、15ワットと10ワットでは、少しだが15ワットのほうがよい。Core i7-5600U搭載スリムノートの総合スコアはcTDP 15ワット設定と同じくらいだった。

PCMark 7 1.4.0のスコア

3D性能評価(3DMark 1.4.828)

 3DMarkではcTDP 35ワットと28ワットの差は4.1%、15ワットと10ワットとの差は3.5%と、それぞれ違いも確認でき、cTDPの序列通りになっている。CPUよりはグラフィックス性能への影響のほうが大きいのだろう。Cloud GateではcTDP 10ワットのスコアとCore i7-5600U搭載スリムノートのスコアはほぼ同等だが、より描画負荷が高いSkyDiverやFireStrikeではVAIO ZのcTDP 10ワットのほうがよい結果になっている。

 なお、Ice Storm Unlimitedのスコアは序列と少し矛盾しているが、このテストは一般的なノートPCにとっては負荷が低すぎて、しばしばこのような逆転現象が見られるため、気にする必要はないだろう。

3DMark 1.4.828のスコア

 cTDPはあくまでも電力管理の基準値を柔軟に変更する機能であり、cTDPで15ワットに設定したからといって完全にCPUの仕様がTDP 15ワットのCPUと同じになるわけではない。低いcTDP設定値向けにファンの上限回転速度を下げてもなお放熱設計に余裕があるならば、余裕があるぶんだけテストのスコアは高いものになることは容易に想像できる。

 今回のテストは気温(室温)が低い季節が功を奏したこともあると思うが、cTDP 10ワット設定でTDP 15ワットの第5世代Coreを搭載したスリムノートPCより優れたテストスコアをマークしているのは見事だ。VAIO Zの基本的な放熱設計がそれだけ優れているという証明でもある。

実際のレスポンスは実に軽快、InstantGoによる0.3秒の高速復帰も

 このように各種ベンチマークテストで13型クラスのPCとして突出したスコアをたたき出したVAIO Zだが、もちろん実際のレスポンスも非常に素早い。先代のVAIO Z(Z2)をハイエンド構成で購入して使い続けているユーザーも、この新生VAIO Zに乗り換えたら、日常的なPCでの作業やソフトウェアのインストール、起動や復帰、終了など、さまざまなシーンで明確な体感差を感じられるだろう。

 またCoreプロセッサ搭載機において、13.3型2in1モバイルPC「VAIO Duo 13」が世界で初めて対応した「InstantGo(旧称:Connected Stanby)」も継承しており、スタンバイから0.3秒とほんの一瞬で復帰できる。感覚的には、液晶ディスプレイを開いた瞬間には復帰しており、スマートフォンやタブレットの使い勝手に近い。

 InstantGoのサポートにより、スタンバイ状態でもネットワーク接続を維持して、メールの受信などが可能で、瞬時に復帰して最新のデータにアクセスすることもできる。

 以下は実際に、スタンバイからの復帰、シャットダウンした状態からWindowsの起動、そしてシャットダウンを行ってみた動画だ。InstantGoがもたらす瞬間的な復帰はもちろん、Windowsの起動と終了もまるでスリープからの復帰と移行のように速い。いずれも余計なソフトウェアをインストールしていない初期状態とはいえ、こうした日常の動作がほとんど待たされず行えるのは特筆できる。

スタンバイからの復帰
シャットダウンした状態からWindowsの起動
シャットダウン

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2024年11月06日 更新
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