目立つ新しい発表こそなかったものの、今回のプレスカンファレンスではスマートフォンとPCで共通に動作する「ユニバーサルアプリ」のデモストレーションがいくつか行われ、Microsoftが「Windows 10での全プラットフォームにおけるアプリ実行環境の共通化」を積極的にアピールしている様子がうかがえた。
Windows 10には新開発のブラウザ「Spartan」が搭載されるが、発表会ではLumiaデバイス上で動作するSpartanが紹介され、これがPC版Spartanと同じレンダリングエンジンで動作しており、画面のデザインこそスマートフォンの小さいディスプレイに合わせて調整されるものの、共通のWebアプリ実行環境がそのままスマートフォンでも利用できる点を強調している。
ユニバーサルアプリとしては「Maps」の例が紹介された。インタフェースの共通化だけでなく、PC版で検索した内容やブックマークなどがそのままクラウドを介して、スマートフォンにおいてもそのまま検索結果やブックマークを参照して作業を継続できる。
同じMicrosoftアカウントを持つユーザーが複数のデバイスを使い分けている場合を想定しているものだが、すでにGoogleなどで同様の仕組みに慣れ親しんだユーザーであれば、こうした連携の仕組みを便利に感じる場面も多いだろう。
今回デモに使用されたPC版Windows 10であるWindows 10 for PCのビルド番号は「Build 10027」だった。2月中旬にリークで出てきた「10022」よりは新しく、3月に提供が行われる「Windows 10 Technical Preview」のビルド番号は10027よりもう一回り大きい番号が付与されると思われるまた忘れてはいけないのがユニバーサルアプリ版Officeの存在だ。現在はプレビュー版「Universal Office apps for Windows 10」の提供となるが、PCだけでなくスマートフォン上でも利用可能となっている。
フル機能を利用できるPC向けのネイティブアプリケーション版Officeに比べ、iOS版やAndroid版のように一部機能に制限はあるものの、タブレットのようにタッチUIが中心のPCやスマートフォンであっても、ある程度の編集作業が簡単に行えるため、出先でのちょっとしたOffice文章の確認や編集が可能というメリットがある。
Modern UIアプリとも呼ばれるWindows 8以降の世代の共通アプリ実行基盤であるユニバーサルアプリだが、いまだ広く利用されている状況とは言えない。Microsoftもこの問題を認識しており、スマートフォンを含む同社の最新プラットフォーム全体で実行環境の互換性を高め、ユニバーサルアプリを戦略の中心に据えようとしている。ユニバーサルアプリ版Officeは、その一端を担うことになるだろう。
2015年後半に正式版提供が予定されているユニバーサルアプリ版Officeのデモ。インタフェースこそ異なるものの、PCやタブレットで実行した場合と同様に各種装飾処理を行えたりと、基本的な編集機能を備えている
スマートフォンからタブレット、PC、ゲーム機、大画面ディスプレイ、ARの「Hololens」まで、あらゆるデバイスを通して共通の体験とアプリ実行環境を提供するのが「One Microsoft」の狙いだCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.