「新しいMacBook」を選ぶ本当の意味林信行の実機リポート(4/5 ページ)

» 2015年03月13日 00時00分 公開
[林信行ITmedia]

断捨離(だんしゃり)と未来への期待を両立するUSB Type-C

 少しやり過ぎなくらいに「less is more」を突き詰めたのが、すでに何度か話題にしているUSB Type-Cだが、これは何も常に外付けのハブを持ち歩いて、そこにいろいろつなげ、という提案ではない。

 そこまでMacBookに常時何かを接続していないと落ち着かない人、あるいは職種の関係でその必要がある人は、あきらめてMacBook Proを購入したほうが不自由しないで済む。

 しかし、その必要がない人は、この潔い気持ちよさを手に入れることができる。

 すでに書いたが、やや高価ではあるが、アナログRGBやHDMIなどのアダプタはアップルが純正のものを用意しており、それに加えて従来のUSBに変換するアダプタもアップルが提供しているので、これを使えば大抵の周辺機器は利用できる。ただし、Thunderbolt接続の周辺機器は使えなくなる。

 またイーサネットのアダプタは純正のものがないので、しばらくはUSB Type-CにUSBアダプタを接続し、さらにその先にUSBと有線LANの変換アダプタを繋ぐ必要がある(アップルがMacBook Air用に出しているアダプタがそのまま使えるかは現時点で不明。ただし、BelkinがUSB Type-C−ギガビットLANの変換アダプタを2015年夏に発売すると表明している)。


 一方で、USB Type-Cを電源にも採用したことで期待できる部分もある。それは新MacBookを、ポータブルバッテリーから利用できる可能性だ。電流量や電圧の関係で、現在発売されているiPhoneやiPad用のポータブルバッテリーでそのまま本体が充電できるということはないと思うが、これまでにもHyperJuiceというMacBook用の外部バッテリーが市販された前例はある。

 残念ながら従来のMacBookが採用していたMagSafeというケーブル端子は、アップルが特許を保有しており、他社にはライセンスしない方針を取っていた(HyperJuiceも最初はアップル純正のMagSafeケーブルを切断加工してケーブルを提供していたが、これが裁判となり提供できなくなった)。

 新MacBookでは、業界標準のUSB Type-Cを採用したおかげで、いざというときMacBookを他社製のバッテリーや電源アダプタで充電できるようになる可能性が高い。いや、今後このUSB Type-Cの波が他社製のWindowsパソコンにも広がれば、いずれWindowsユーザーに電源アダプタを借りたり、ビデオ出力用につないだプロジェクターから充電をするといった可能性さえありそうで、この部分は夢がふくらむ。実際、すでに発表されているPixel Chromebookは、同様にUSB Type-Cを使っているので、Mini Displayポートアダプタの共有ができそうだ。

 ただ1つ残念なのは、電源ケーブルに足を引っかけたとき、安全なMagSafeアダプタでなくなってしまった点。新しく登場したUSB Type-Cアダプタがこの“足引っかけ問題”にどれだけ耐性があるかは、実際に商品が発売されてから明らかになるだろう。

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