さて、改めてこの新しいMacBookを眺めると、本体が非常に薄くなっているだけでなく、小型化されていることに気付く。12型サイズの液晶ディスプレイを備えたMacBook本体の横幅は280.5ミリ。これに対して画面サイズも11.6型と一回り小さく、キーボードも17%ほど小さい11インチMacBook Airの横幅は300ミリだ。
つまり、新しいMacBookのほうが液晶画面も縁のギリギリのところまで広がっているし、キーボードも本当に横幅いっぱいまでスペースを使い、より引き締まった印象を受ける。従来のMacBook、MacBook Proではキーボードの左右にあったスピーカーグリルはキーボードの上に移動しているが、このメッシュ構造も本体に引き締まった印象を与えるアクセントになっている(と、これは未確認だが、おそらく放熱の役割も兼ねている)。
ノートPCの本体を小型化する際、一番の課題となるのはバッテリーの容積だ。初代MacBook Airの底面がおわんのように丸みを帯びて美しく反っていたのが、最近のMacBook Airではこの丸みが減ってしまったのも、おそらくアップルが基準としている9〜10時間のバッテリー動作を実現するために、容積を増やす必要があったからだ。しかし、新MacBookでは、内蔵されるバッテリーが本体のカーブにあわせて段々になるような形状に工夫し、小型化しながらも最新のMacBook Airと同じバッテリー動作時間を保っている。
液晶ディスプレイも、2304×1440ピクセル(約226ppi)という高解像度/高画素密度のRetina化を果たしつつも、178度の広視野角を保ち、しかも0.88ミリの薄さを実現している。液晶裏側の同社ロゴマークは、これまでのようにギミック的に光らせる(液晶側の光を透過させている)のではなく、鏡面仕上げによる上品にきらめくロゴマークに進化を遂げている。
新MacBookは、まさにすべてを再デザインしたアップル渾身(こんしん)の作だ。
今回は国内で行われたプレス向けのタッチ&トライイベントで少し触っただけだったため、実際のパフォーマンスや新スピーカーの音質は確認できなかったが、新MacBookがとてつもなく細かいディテールに至るまで作り込まれた、まさに“再発明”されたノート型パソコンであり、ビデオ編集をする機会が多い筆者に向いているか悩みつつ、それでも記念に1台欲しくなるくらい歴史の流れを変えるパソコンであることは十分感じられた。
最後に、これもずっと歴史の上で繰り返されてきたことだが、いくらどんな修飾語を重ねて、そこから想像をしてみても、本当のところは自分の目で実際に見て、その手で実際に触れるまでは分からない。言葉や写真で表現できることは限られているし、モノの価値観は人それぞれだ。気になる人は、まずは実物を自分の目で確かめてほしい。
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