米Microsoftは3月17日(米国時間)、「今夏」にWindows 10を190カ国に向けて110の言語で提供すると発表した。中国の深センで開催されている同社のハードウェア開発者向けイベント「WinHEC(Windows Hardware Engineer Conference)」改め、「WinHEC(Windows Hardware Engineering Community)」において発表された新情報だ。
同社は先週末からWindows 10に関するいくつか重要な情報を提供しており、本稿ではこれら最新情報を整理してお届けしよう。
今回Microsoftが深センの基調講演で発表した内容は、同社Blogging Windowsのエントリにまとめられている。前回のUSB 3.1とType-Cの話題でも触れたが、報道関係者を制限した割には重要発表を中国国内で行ったあたり、同社の市場戦略における優先順位のようなものを感じなくもない。
とはいえ、PCに限らずデジタルデバイスの世界工場になりつつある中国において開催されるカンファレンスだけあり、今後のハードウェア実装に関するいくつか重要なトピックが出てくると思われる。この辺りは順次フォローしていく。
今回の深センで出てきた新しいトピックは「今夏」と、Windows 10の発売時期が特定された点にある(それまでは「2015年後半」だった)。昨年2014年9月に行われたWindows 10の発表会を受けてまとめた予想記事では、RTM(Release To Manufacturing:量産出荷版)と企業向けボリュームライセンスの提供が今年8月末〜9月で、GA(General Availability)と呼ばれる一般向け販売開始が10月前後と見込んでいた。
ところが、複数のOEMメーカーからの情報によると、予定が急きょ変更され、7月にRTMの提供から製品の発売までが行える段取りへとかなり繰り上げになったという。当初のスケジュールであれば、「10月にWindows 10搭載PCが一斉発売」となるところが、RTMから発売への期間が極端に短くなったことで、製品投入時期が7月下旬以降まちまちになる可能性が高くなってきた。
Intelなど主要部品メーカーのドライバ対応や互換性検証などが間に合うことが大前提となるが、これが意味するところは対応の間に合ったメーカーから五月雨式に随時Windows 10搭載製品の投入が可能ということで、これまでの新OS登場を受けたPC商戦とは違ったものになりそうだ。
残りの問題は「新Office」と「Windows 10 for phones and tablets(スマートフォンと8型未満タブレット向けWindows 10)」の提供タイミングで、この辺りも初夏の時期までには改めてフォローが行われるとみられる。特に後者は今回、日本市場で大きな意味を持っており、次回以降の本連載で改めて触れる予定だ。
ここで、改めてWindows 10関連のスケジュールについておさらいをしておく。今回の深センのハードウェア会議を経て、4月末には米サンフランシスコで開発者向けイベント「Build 2015」が開催される。Buildはアプリやサービス開発者のためのカンファレンスであり、ここで(スマートフォンでもPCでも動作する)「ユニバーサルアプリ」の開発や動作に関する詳細が改めて紹介されるはずだ。
その約1カ月後、今度は台湾の台北市でアジア最大のITトレードショウ「COMPUTEX TAIPEI 2015」が開催される。OEMやODMが一堂に会するイベントであり、おそらくはWindows 10とともに出荷されることになる“かなり完成に近い”状態のプロトタイプ展示が行われると予想される。
また、Microsoftが「Surface」関連のアップデートを行う場合、この前後のタイミングに注視しているとよいだろう。過去の3世代の製品はすべて5月前後に発表が行われており、早ければCOMPUTEX直前にスペシャルイベントが開催され、4世代目の製品と、あわよくばウワサの「Surface mini」のような製品の姿が見られるかもしれない。後は発売日まで最終的な製品構成や価格、発売日についての発表が順次行われていくだろう。
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