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» 2015年03月24日 11時30分 公開

変形機構、液晶、キーボード、ペンの品質に迫る:ソニーから独立しても“最強伝説”は健在か?――新生「VAIO Z」徹底検証(後編) (4/6)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

13.3型ワイド液晶ディスプレイは高精細で広色域

 13.3型ワイド液晶ディスプレイは、パナソニック液晶ディスプレイ製のIPSパネルを採用。アスペクト比が16:9、解像度が2560×1440ピクセル(WQHD)に対応する。画素密度は約221ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)と、近くで見ても画素が視認できない精細な表示で、Windows 8.1のホーム画面も写真や動画などのコンテンツも美しく表示できる。

 この液晶ディスプレイは、表示が精細なだけにとどまらず、画質面でも最高を目指している。バックライトのLEDを改良し、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた白色LEDではなく、青色LEDと赤色緑色の蛍光体で構成した白色LED(高演色LEDバックライト)を採用しているのだ。これにより、フィルターで分光した際の緑色成分と赤色成分が増加し、特に力強い赤の発色が得られるようになった。

 その色域はsRGBカバー率100%、面積比115%と、現行のモバイルPCとしては最高クラスの広色域を実現している(同時発表されたクリエイター向けWindowsタブレット「VAIO Z Canvas」のAdobe RGBカバー率95%には及ばないが)。

 ちなみに、この青色LED+赤緑蛍光体による発色改善手法は、ソニーモバイルが展開する「Xperia」シリーズのスマートフォンやタブレットに導入されている「トリルミナスディスプレイ for mobile + Live Colour LED」と同様の仕組みだ。

2560×1440ピクセル表示の13.3型ワイド液晶ディスプレイを採用。高演色バックライトLEDにより、sRGBカバー率で100%の色域を確保した

 液晶の配向方式にはIPSを採用しているため視野角は広い。ユーザーの正面向きにバックライトの光を集めることにより、少ない電力で十分な明るさを確保する「超集光バックライト技術」も採用しているが、少し斜めから画面を見るぶんには特に暗さを感じることはなく、十分に明るく見やすい。赤の発色のよさは目視でもはっきりと実感でき、これと比べてしまうと、通常のIPS液晶ディスプレイは少し色あせて見えてしまうほどだ。

 ディスプレイの表面には、旭硝子と共同開発した強化ガラスが貼られており、タッチ操作の耐久性も考慮されている。表面は光沢仕上げなので、輝度を下げたり黒っぽい画面のときはユーザーの姿や照明が映り込むのは仕方がないところだ。

ディスプレイの表面には、旭硝子と共同開発した強化ガラスが貼られている。VAIO Zの発表会では、鍵でガラスを引っかいて強化ガラスの硬さを体感できる展示も行われていた
液晶ディスプレイのチルト角度は約130度まで開く。マルチフラップ機構を採用したことで、通常のクラムシェルノートPCのように柔軟な角度調整が可能だ。ディスプレイを開くと、ヒンジが本体の下に回り込んでスタンド代わりとなり、タッチ操作が安定しやすい

測色器で液晶ディスプレイの表示をチェック

 液晶ディスプレイの表示については測色器で計測も行った。以下の画像は、エックスライトの「i1Pro」で実機の表示を計測し、作成したICCプロファイルをMac OS XのColor Syncユーティリティで表示させたものだ。

 通常のPCでは、sRGB規格の色域を薄いグレーで敷いて、カラー表示を重ねるのだが、VAIO ZではsRGBの色域をほぼ上回ってしまい、違いがよく分からないため、逆にVAIO Zの色域をグレーで表示し、その上にsRGBの色域をカラーで重ねたパターンも用意した。赤の端、青の端にわずかなズレはあるものの、sRGBの色域をほぼ完全にカバーし、上回っている部分も多い。sRGBカバー率100%、面積比115%という公称値を裏付ける結果だ。

色が付いている領域が、VAIO Zで表現できる色の範囲(色域)。sRGB規格の色域を薄いグレーで敷いて重ねているが、VAIO Zの色域が広いため、差異がよく分からない
今度は逆に、VAIO Zの色域を薄いグレーで敷き、sRGB規格の色域を着色して表示した。緑や紫の領域ではVAIO ZがsRGBの色域を上回っているのが分かる
左がVAIO Fit 13A、右がVAIO Pro 13の色域。着色してある領域が各製品の色域、薄いグレーで敷いてある領域がsRGB規格の色域だ。いずれもノートPCとしては色域が広いほうだが、VAIO Zには及ばない

 i1 Proの計測結果からガンマ補正カーブも抜き出してみた。これは映像信号の入力と出力の関係を示し、0(白)〜255(黒)までR(赤)、G(緑)、B(青)の線が重なってリニアな直線を描いていれば、グレーバランスが正確で、階調の再現性が優れていることを意味する。RGBの各線がバラバラだと、余計な色がかぶったり、きれいなグラデーションが描けない。

 VAIO Zは高演色LEDバックライトのクセを十分抑えられていないのか、中間階調から明部にかけて少し波打っているが、モバイルPCとしては及第点と言える。目視でカラーやモノクロのグラデーションを表示して確認してみたが、階調の破綻などは見られず、厳密な色再現性を求める業務用途などでなければ、写真や動画の編集にも耐えるだろう。

 緑と赤の線がやや下方に修正されているのは、緑と赤の映像入力に対して出力が強いのを抑える補正がi1 Proのキャリブレーションによって行われたことを意味する。実際、目視でも緑や赤の色味が少し強めの印象だ。

i1Proの計測結果から抜き出したVAIO Zのガンマ補正カーブ。中間階調から明部にかけて少し波打っているが、RGBの各線が乖離(かいり)していないため、色味が崩れて見えるようなことはない
左がVAIO Fit 13A、右がVAIO Pro 13のガンマ補正カーブ。色域ではVAIO Zに及ばないが、階調再現性は優秀だ。ノートPCでここまで整った階調特性の製品は少ない

 ほかの計測値については、輝度が300カンデラ/平方メートル弱と十分明るく、色温度が6507KとsRGB規格(6500K)に近い自然な発色だった。総合的には、現行のノートPCで最高レベルの高画質ディスプレイと言える。

左がVAIO Z、右がVAIO Fit 13Aの液晶ディスプレイ。VAIO Zのほうが高精細で広色域だ
左がVAIO Z、右がVAIO Pro 13の液晶ディスプレイ。こちらもVAIO Zのほうが高精細で広色域だ

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