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» 2015年03月24日 11時30分 公開

変形機構、液晶、キーボード、ペンの品質に迫る:ソニーから独立しても“最強伝説”は健在か?――新生「VAIO Z」徹底検証(後編) (5/6)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

筆圧のチューニングにも対応したペン機能

 液晶ディスプレイは10点マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネル、そしてN-Trig製の筆圧ペンに対応したデジタイザも装備しており、画面に指やペンで直接触れて操作できる。

 液晶ディスプレイと表面ガラスを特殊な樹脂で直接貼り合わせることで空気層による光の反射角のズレを抑制する「ダイレクトボンディング技術」(ソニー時代のオプティコントラストに相当)を採用しており、視差が少なく、思った通りの場所に線を描きやすい。また、通常のノートPCでは液晶ディスプレイの下部に配置するバックライト基板を上部に移動することで、タブレットスタイルで手を置いても発熱を感じにくい設計とした。

液晶ディスプレイ表面の「ダイレクトボンディング技術」と、N-Trig製の筆圧ペンにより、視差の少ないペン機能を提供している

 デジタイザスタイラス(ペン)は、硬さの違う2種類のペン先が付属。筆圧検知のレベルを従来機の256段階から1024段階に高めるとともに、好みに応じて筆圧の感度をカスタマイズできる「筆圧カーブ調整」機能も盛り込み、書き味を向上させている(ソフトウェアによる1024段階の筆圧調整が可能で、ハードウェアとしては256段階に最適化して出力される)。画面からペンを少し浮かせたホバー時のカーソル追従性も改善しており、使い勝手がさらによくなった。

 よりペンの書き味にこだわるならば、購入時に「液晶保護シート貼付サービス」を選択することで、ペンの摩擦係数が高い保護シートが貼られた状態で入手できることを覚えておきたい(外光の反射も低減できる)。

 ペンを画面に近づけた状態で上側のボタンを押すと「OneNote」が起動し、「クイックノート」機能によってロック画面でも直接OneNoteのノート作成画面を表示できる。下側のボタンを押すと、「VAIO Clipping Tool」アプリが立ち上がり、画面に表示されている情報を手軽に切り取って利用することが可能だ。下のボタンを押しながら描くと消しゴム機能になる。

 実際にペン機能を試してみたが、ソニー時代のVAIOより精度が高まり、筆圧調整にも対応したことで、書き味が向上しているのが実感できた。視差の少なさ、紙に近い適度な抵抗感、素早く文字を書き続けても取りこぼすことない追従性のよさ、いずれも文句がなく、モバイルPCのペン入力機能としては優秀だ。

VAIOロゴの入ったデジタイザスタイラスは、アルミ素材で質感がよい。2つボタンを搭載しており、上側のボタンで「OneNote」、下側ボタンで「VAIO Clipping tool」が起動する。クリップも付いている
ペン先はハードタイプとソフトタイプの2種類が標準で付属しており、好きな方を利用できる。単6形乾電池1本で駆動する仕組みだ。PC本体に装着するペンホルダーなどは用意されていない
ペンの各種設定も「VAIOの設定」ユーティリティから行なえる。ペンのボタンを押したときの動作は、オン/オフを切り替え可能だ
ペンの筆圧は3段階(柔らかい/標準/硬い)から選べる
「筆圧」と「線の太さ」の関係を示すカーブから2点を操作して、好みの書き味にカスタマイズできる「筆圧調整ユーティリティ」も備えている

 VAIOによれば、こうしたペン機能は同時発表されたクリエイター向けWindowsタブレットのVAIO Z Canvas(5月発売予定)と同じ性能とのことで、セルシスの「CLIP STUDIO PAINT」やアドビシステムズの「Creative Cloud」での筆圧入力にも対応する。

 とはいえ、本格的なクリエイティブワークにはVAIO Z Canvasのほうがベターに違いない。より高性能なプロセッサ、Adobe RGBカバー率95%の広色域でアスペクト比3:2の12.3型液晶ディスプレイ、タッチパネル機能をオフにできる専用ボタン、ペンのさらなるチューニングなど、プロユースの制作環境に特化した作り込みがなされているからだ。

タッチ感だけでなく、音質にもこだわったキーボード

 内蔵の日本語キーボードは、キーとキーの間隔を離したおなじみのアイソレーションデザインを採用している。クセがない素直な6列のレイアウトで、キーピッチは実測で約19(横)×18.5(縦)ミリと余裕がある。カーソルキーを少し小さめ(約13×8ミリ)に作り、周囲のキーとの間隔を空けてミスタイプを防ぐ工夫がされている。

 キーストロークは約1.2ミリと浅めだが、スイッチの感触は非常に良好だ。軽い力ですっと押し下げることができながら、しっかりしたクリック感があり、それでいて低反発でガタつきがない。実に上品なタッチ感だ。ブラスト加工とアルマイト処理により、しっとりとした手触りに仕上げられたパームレストの感触もよい。

 キーボードのタイプ音の低減を図っていることも特徴だ。キーキャップ裏のツメと可動部金型の加工精度を高め、キーのふらつきを抑えることで、特に耳障りな音域である2KHz以上の高周波数帯域におけるノイズを低減したという。実際にタイピングしてみても、確かに押下音が小さく、音の響きが抑えられていてマイルドだ。これだけしっかりとしたスイッチがありながら、なおかつタイプ音が耳障りでないキーボードは珍しい。

 キーボードにはバックライトが内蔵され、ACアダプタ接続時とバッテリー駆動時のそれぞれで「常時点灯」「周囲が暗い場合に自動点灯」「点灯しない」の設定が可能だ。

6列アイソレーションデザインの日本語配列キーボードを搭載している。実測のキーピッチは横19ミリ、縦18.5ミリと余裕があり、クセのない素直なキー配置も相まって打ちやすい。なお、ソニー時代のような日本語カナなしキーボードや英字配列キーボードは用意されていない
キーストロークは約1.2ミリと浅めだが、低反発でガタつきがなく、タッチ感は極めて良好だ。タイプ音も抑えられている
キーボードバックライトも標準で搭載している
キーボードバックライトの点灯条件は「VAIOの設定」ユーティリティで指定できる

 キーボードの手前には左右ボタンを一体化したクリックパッドがあるが、これにもこだわりがある。心地よいクリック感覚を得るためには硬度が必要なことから、パッドの素材には雲母片岩(マイカ)を採用。通常は0.7ミリ厚の板のところ、これを1ミリ厚に仕上げることで硬さを強化し、理想的なクリック感や沈み込みの量も追求したという。

 実際に使ってみると、確かに安物のクリックパッドのようなガタつきがなく、スイッチの感触がよい。105(横)×65(縦)ミリとマルチタッチジェスチャー操作でも余裕があるサイズで、表面の滑りもよく、使いやすく仕上がっている。

 このクリックパッドにはElanのドライバが導入されており、2本指でのスクロールやズーム、回転などのマルチタッチジェスチャー操作、エッジスワイプによるチャームの表示などWindows 8/8.1特有の操作が行える。

外観からは感じさせないが、クリックパッドには1ミリ厚の雲母片岩(マイカ)を採用し、硬さや押し心地にこだわった
クリックパッドのジェスチャー機能は、「VAIOの設定」ユーティリティでオン/オフが可能だ
Elanのドライバが導入されており、より細かなジェスチャー機能の設定や、感度の調整なども行なえる
左がVAIO Z、右がVAIO Fit 13Aのキーボード/クリックパッド。見た目は同じようだが、VAIO Zはキーボードベゼルがパームレスト面と一体化しており、キーボードに剛性が感じられる。VAIO Zはクリックパッドも硬さが感じられ、上質な使い心地を提供してくれる
左がVAIO Z、右がVAIO Pro 13のキーボード/クリックパッド。VAIO Pro 13に比べて、VAIO Zはキーボードユニットのしなりがなく、クリックパッドの押し心地がよい

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