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ソニーから独立しても“最強伝説”は健在か?――新生「VAIO Z」徹底検証(後編)変形機構、液晶、キーボード、ペンの品質に迫る(2/6 ページ)

» 2015年03月24日 11時30分 公開

VAIO Fit Aシリーズから洗練されたアルミ&カーボンボディ

 VAIO Zはマルチフリップ機構を採用していることから、スタイルはVAIO Fit Aシリーズに似ているものの、より洗練された印象だ。

 トップカバーとキーボードベゼル/パームレストはアルミニウム素材を採用する。表面を研磨して微細な凹凸を作ったブラスト加工アルミニウムで、東陽理化学研究所と共同開発したものだ。これにアルマイト処理を施しており、塗装剥がれの心配がないうえ、手にしっとりとなじむ上品な質感がある。

 ボトムカバーには東レと共同開発したUDカーボン素材を採用。カーボンの繊維方向とキーボードベゼルのアルミ裏面に配した補強リブの最適化を行ない、堅牢に仕上げた。全体の剛性感も強く意識しており、ボディの端のほうだけを握って持ち上げるなどした際のひずみを小さく抑えたという。実際にパームレストの端だけを握って持ち上げてみたが、たわみやきしみといった不安な感覚はまったくなかった。

新生VAIO Zは、アルミニウムのトップカバーとキーボードベゼル/パームレストの2枚の板を強調したデザインが印象的で、VAIO Fit Aシリーズをよりスリムに洗練させたような外観だ
キーボードベゼルとパームレストは1枚のアルミニウム板で継ぎ目なく作られている。表面を研磨して微細な凹凸を作ったブラスト加工により、しっとりした手触りだ。側面から底面、キーボード、画面周囲はブラックで塗られており、明るいシルバーとのコントラストが目を引く
「VAIO」のダイヤモンドカットロゴをシンプルに置いた天面。表面仕上げはキーボードベゼル/パームレストと同様だ。画面反転の軸である天板中央部の1本のラインは、デザイン的にもインパクトがある
こちらはブラックボディの天面。底面や画面周囲が黒いため、全体がブラックで統一される
シンプルな裏面。ユーザーが容易にバッテリーを着脱できるような構造にはなっていない。手前側の左右にステレオスピーカーを内蔵している。アウトカメラは高感度撮影に強い"Exmor RS for PC" CMOSセンサーを搭載し、有効画素数は約799万画素だ
このようにパームレストの端を握って持ち上げても、剛性感がしっかり確保されており、たわんだりしない

VAIO Fit A13やVAIO Pro 13と見比べてみた

 VAIO Zの本体サイズは324.2(幅)×215.3(奥行き)×15〜16.8(高さ)ミリ、重量は約1.34キロだ。同じ画面サイズとマルチフリップ機構を備えた旧機種「VAIO Fit 13A(SVF13N29EJS)」は、本体サイズが325.4(幅)×223.4(奥行き)×14.3〜17.9(高さ)ミリ、重量が約1.31キロで、実際に並べてみると、VAIO Zは高性能化とロングバッテリー化を進めつつ、ボディを小さく薄く絞り込んでいるのが分かる(重量はわずかに約30グラム増)。

左がVAIO Z、右がVAIO Fit 13Aの天面。VAIO Fit 13Aは粗めのヘアライン加工が施されている。VAIO Zのほうがフットプリントが少し小さい
左がVAIO Z、右がVAIO Fit 13Aの底面。VAIO Zは底面に頑丈で軽いUDカーボンを使っているほか、吸気口を多く設けて放熱を強化している。VAIO Fit 13Aの底面は樹脂製だ
左がVAIO Z、右がVAIO Fit 13Aの側面。VAIO Zは液晶ディスプレイ側を薄く仕上げているのが分かる
上がVAIO Z、下がVAIO Fit 13Aのメインボード。高密度実装技術を突き詰めたVAIO Zのメインボードは、VAIO Fit 13Aと比べて約2/3の面積しかない。これに端子類のサブボードを含めたとしても、従来より大幅に小型化が進んでいる。この基板小型化によって生まれた空間的な余裕は、高性能なプロセッサの実装と放熱設計技術、大容量バッテリーや高音質スピーカー、洗練された薄型軽量なボディデザインといった部分に割り振り、差異化を図っている

 一方、同じ画面サイズの薄型軽量クラムシェルノート「VAIO Pro 13(VJP1311)」は、本体サイズが322(幅)×216(奥行き)×12.8〜17.2(高さ)ミリ、重量が約1.08キロだ。ほぼ同じフットプリントだが、VAIO Zのほうが約260グラム重い。VAIO Pro 13に対しては、圧倒的な性能と変形機構、ペン入力、スタミナがアドバンテージとなる。

左がVAIO Z、右がVAIO Pro 13の天面。フットプリントは同程度だ。VAIO Pro 13は変形機構がなく、UDカーボンを天面にも採用して軽量化に配慮している
左がVAIO Z、右がVAIO Pro 13の底面。いずれもUDカーボンを採用する。VAIO Pro 13は底面にも「VAIO」ロゴをあしらっており、より見られることを意識したデザインだが、クラムシェルノートなのでアウトカメラなどの機能はない
左がVAIO Z、右がVAIO Pro 13の側面。最厚部はVAIO Zが約16.8ミリ、VAIO Pro 13が約17.2ミリとほぼ同じだ

 ちなみに、クラムシェルノートのボディだった先代機「VAIO Z(Z2)」は、13.3型フルHD液晶を搭載し、本体サイズが330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、重量が約1.15キロだった。これに比べると約190グラム重いが、フットプリントと厚さはほぼ互格だ。

 2in1の変形機構と、TDPが28ワットの高性能な第5世代Core(しかもcTDPで35ワット動作が可能)、そして公称約15.2〜15.5時間バッテリー駆動(JEITA 2.0)を盛り込みながら、このサイズに収めているのは驚異的であり、レビュー前編で紹介した「高密度実装技術」が生かされている部分だ。

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