VAIO Zはマルチフリップ機構を採用していることから、スタイルはVAIO Fit Aシリーズに似ているものの、より洗練された印象だ。
トップカバーとキーボードベゼル/パームレストはアルミニウム素材を採用する。表面を研磨して微細な凹凸を作ったブラスト加工アルミニウムで、東陽理化学研究所と共同開発したものだ。これにアルマイト処理を施しており、塗装剥がれの心配がないうえ、手にしっとりとなじむ上品な質感がある。
ボトムカバーには東レと共同開発したUDカーボン素材を採用。カーボンの繊維方向とキーボードベゼルのアルミ裏面に配した補強リブの最適化を行ない、堅牢に仕上げた。全体の剛性感も強く意識しており、ボディの端のほうだけを握って持ち上げるなどした際のひずみを小さく抑えたという。実際にパームレストの端だけを握って持ち上げてみたが、たわみやきしみといった不安な感覚はまったくなかった。
キーボードベゼルとパームレストは1枚のアルミニウム板で継ぎ目なく作られている。表面を研磨して微細な凹凸を作ったブラスト加工により、しっとりした手触りだ。側面から底面、キーボード、画面周囲はブラックで塗られており、明るいシルバーとのコントラストが目を引く
シンプルな裏面。ユーザーが容易にバッテリーを着脱できるような構造にはなっていない。手前側の左右にステレオスピーカーを内蔵している。アウトカメラは高感度撮影に強い"Exmor RS for PC" CMOSセンサーを搭載し、有効画素数は約799万画素だVAIO Zの本体サイズは324.2(幅)×215.3(奥行き)×15〜16.8(高さ)ミリ、重量は約1.34キロだ。同じ画面サイズとマルチフリップ機構を備えた旧機種「VAIO Fit 13A(SVF13N29EJS)」は、本体サイズが325.4(幅)×223.4(奥行き)×14.3〜17.9(高さ)ミリ、重量が約1.31キロで、実際に並べてみると、VAIO Zは高性能化とロングバッテリー化を進めつつ、ボディを小さく薄く絞り込んでいるのが分かる(重量はわずかに約30グラム増)。
上がVAIO Z、下がVAIO Fit 13Aのメインボード。高密度実装技術を突き詰めたVAIO Zのメインボードは、VAIO Fit 13Aと比べて約2/3の面積しかない。これに端子類のサブボードを含めたとしても、従来より大幅に小型化が進んでいる。この基板小型化によって生まれた空間的な余裕は、高性能なプロセッサの実装と放熱設計技術、大容量バッテリーや高音質スピーカー、洗練された薄型軽量なボディデザインといった部分に割り振り、差異化を図っている一方、同じ画面サイズの薄型軽量クラムシェルノート「VAIO Pro 13(VJP1311)」は、本体サイズが322(幅)×216(奥行き)×12.8〜17.2(高さ)ミリ、重量が約1.08キロだ。ほぼ同じフットプリントだが、VAIO Zのほうが約260グラム重い。VAIO Pro 13に対しては、圧倒的な性能と変形機構、ペン入力、スタミナがアドバンテージとなる。
左がVAIO Z、右がVAIO Pro 13の底面。いずれもUDカーボンを採用する。VAIO Pro 13は底面にも「VAIO」ロゴをあしらっており、より見られることを意識したデザインだが、クラムシェルノートなのでアウトカメラなどの機能はないちなみに、クラムシェルノートのボディだった先代機「VAIO Z(Z2)」は、13.3型フルHD液晶を搭載し、本体サイズが330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、重量が約1.15キロだった。これに比べると約190グラム重いが、フットプリントと厚さはほぼ互格だ。
2in1の変形機構と、TDPが28ワットの高性能な第5世代Core(しかもcTDPで35ワット動作が可能)、そして公称約15.2〜15.5時間バッテリー駆動(JEITA 2.0)を盛り込みながら、このサイズに収めているのは驚異的であり、レビュー前編で紹介した「高密度実装技術」が生かされている部分だ。
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