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LTE SIMフリー×Core Mで攻めるWindowsタブレット――「Venue 11 Pro 7000」徹底検証3つのデバイスを1台に集約(3/4 ページ)

» 2015年05月15日 20時30分 公開

ファンレスボディに内蔵したCore Mのパフォーマンスは?

 ここからは、各種ベンチマークソフトでVenue 11 Pro 7000(7140)の実力を見ていこう。基本スペックをおさらいすると、Core M-5Y10(0.8GHz/最大2GHz)、4Gバイトメモリ、128GバイトSSD、64ビット版のWindows 8.1を搭載する。

 参考までに、実施するベンチマークテストによっては先代機である「Venue 11 Pro 7000(7130)」のスコアと比較した。7130のスペックは、Core i5-4210Y(1.5GHz/最大1.9GHz)、4Gバイトメモリ、128GバイトSSDを搭載する。

新モデル「Venue 11 Pro 7000(7140)」と旧モデル「Venue 11 Pro 7000(7130)」の比較
モデル名 Venue 11 Pro 7000(7140) Venue 11 Pro 7000(7130)
液晶ディスプレイ 10.8型ワイド(1920×1080ピクセル)
OS 64ビット版Windows 8.1
CPU Core M-5Y10(800MHz/最大2.0GHz) Core i5-4210Y(1.5GHz/最大1.9GHz)
メモリ容量 4Gバイト
ストレージ容量 128GバイトSSD
グラフィックス CPU統合(Intel HD Graphics 5300) CPU統合(Intel HD Graphics 4200)
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac IEEE802.11a/b/g/n
WWAN 4G LTE SIMフリー対応 3G SIMフリー対応
公称バッテリー駆動時間 約8.3時間 約10時間
本体サイズ 約279.8(幅)×176.4(高さ)×10.75(奥行き)ミリ 約297.7(幅)×176.8(高さ)×15.4(奥行き)ミリ
本体重量 約757.3グラム 約833.5グラム
ファンの有無 ファンレス設計 冷却ファン内蔵
※いずれもテストした評価機の構成によるスペック比較(赤字が強化ポイント)

 まずはPCとしての基本性能をチェックするため、Windows 8.1では標準機能から省かれているWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアを「WIN SCORE SHARE」(コードリウム)で計測した。結果はプロセッサが7.0、メモリが5.9、グラフィックスが5.5、ゲーム用グラフィックスが5.0、プライマリディスクが8.2で、タブレットとしては良好なパフォーマンスと言える。

WIN SCORE SHAREのスコア

 CPU性能をチェックするCINEBENCHの結果もWIN SCORE SHAREと似た傾向だ。CINEBENCH R11.5ではVenue 11 Pro 7000(7140)のCPUが2.14pts、シングルコアCPUが0.94ptsと、Core i5-4210Yを搭載する先代機(7130)のスコアを32%も上回っている(7130の結果は、CPUが1.62pts、シングルコアCPUが0.84pts)。CINEBENCH R15についても、CPUのスコアが約19%高い結果となった。

CINEBENCH R11.5のスコア
CINEBENCH R15のスコア

 ストレージ性能を評価するCrystalDiskMarkのスコアもタブレットとしては高い。先代機に比べて全体的に少しだけ低い値ではあるが、M.2フォームファクタのSerial ATA SSDを搭載しているので、標準的なタブレットに採用されているeMMC(embedded MultiMediaCard)のストレージとは、一線を画す高いスコアが得られた。なお、評価機が内蔵しているSSDはSanDiskの「X110」だった。

CrystalDiskMark 3.0.3のスコア

 PCの総合的な性能を計測するPCMark 7のテスト結果は、総合スコアが4103と高く、Windows 8.1の一般用途で十分快適に使えるだけのスペックが裏付けられた形だ。先代機の総合スコアは3739なので、これを着実に上回っている。テスト結果の詳細を確認すると、CreatuvityとComputationスコアが優れていた。

PCMark 7 1.4.0のスコア

 3Dグラフィックス性能を調べる3DMarkでは、Direct X9相当テストのIce Storm、Direct X10相当テストのCloud Gateともに良好なスコアだ、CPU内蔵グラフィックスがIntel HD Graphics 5300に進化した効果が現れている。Intel HD Graphics 4200を利用する先代機との比較では、Ice Stormで43%、Cloud Gateで32%もスコアがアップした。

3DMark 1.2.250のスコア

 ゲームベンチのFINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(FF14ベンチ)も実施した。1920×1080ピクセルでの設定では、高品質、標準品質とも設定変更が必要なものの、1280×720ピクセルの標準設定では「普通」に楽しめるという結果だ。タブレットでもこれくらいのゲームを動かせる描画性能を備えているのは頼もしい。

FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア ※1280×720ピクセル/標準品質(ノートPC)/ウィンドウモードの設定
FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア
解像度 画面表示 画質設定 FF14ベンチスコア 評価
1280×720 ウィンドウモード 高品質(ノートPC) 1845 設定変更を推奨
1280×720 ウィンドウモード 標準品質(ノートPC) 2439 普通
1920×1080 フルスクリーンモード 高品質(ノートPC) 941 動作困難

バッテリーの実駆動時間、ボディの発熱もチェック

 Webブラウズとテキスト入力を想定したバッテリー駆動時間テスト(BBench 1.01)を実行したところ、輝度40%の状態において、満充電から残り5%で休止状態に移行するまで5時間29分動作した。測定条件が異なる公称値の約8.3時間と比べると、やや短い結果だ。

 Core M-5Y10搭載のVenue 11 Pro 7000(7140)はファンレス設計なので、動作時の騒音は発生しない。ボディの発熱については、高負荷時に背面の左上部が温まりやすく、右手で横に持っているとじんわり熱を感じる。

 室温18度の環境で放射温度計(シンワ製)を使って、FF14ベンチを2回連続して実行した後に簡易測定したところ、44.4度(背面左上部)が最高温度で、ほか23.3度(背面右上部)が最低温度だった。高温部は限定的なので、それを避けるように持ち方を工夫すればよいだろう。

放射温度計を使ったボディ発熱の計測結果(最高温度の部分)

 CPUID HWMonitorで内蔵パーツの温度もチェックした。最高温度はメインボード部分で89度となった。Tjunction(最高動作温度)の95度までは若干の余裕があるものの、これからの暑い季節に高負荷の処理を連続して行うようなシーンでは、少々気になるところだ。ここはCore Mの採用によるファンレス設計(ファンで自ら冷却できない)とのトレードオフと言える。

CPUID HWMonitorを使った内蔵パーツ発熱の計測結果
ボディ表面温度の計測結果(FF14ベンチ2回実行)
タブレット本体の背面
計測部 左上 中央上 右上 中央左 中央 中央右 左下 中央下 右下
計測値 44.4度 29.8度 23.3度 36.1度 31.4度 23.9度 28.1度 26.3度 24.6度

ベンチマークテストの概要

  • パフォーマンステスト
    • WIN SCORE SHARE(コードリウム)(PC総合評価)
    • CINEBENCH R11.5(CPU性能評価)
    • CINEBENCH R15(CPU性能評価)
    • CrystalDiskMark 3.0.3(ストレージ性能評価)
    • PCMark 7 1.4.0(PC総合評価)
    • 3DMark 1.2.250(3D性能評価)
    • FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(3D性能評価)

※Windows 8.1の電源プランは「Dell」で測定

  • バッテリー駆動時間テスト
    • BBench 1.01

※電源プラン「バランス」+輝度40%もしくは100%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%になるまでの時間を計測

  • 発熱テスト
    • 放射温度計(シンワ製、レーザーポイント機能付)でボディ表面温度を実測(室温18.0度)


デル株式会社 デル株式会社

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