「Venue 11 Pro」――Core i5搭載でSurface Pro 2より安いWindowsタブレットを試す(ベンチマークテスト編)注目タブレット速攻レビュー(1/3 ページ)

» 2014年03月07日 16時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

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ココが「○」
・AtomからCore i5まで選べるCPU
・バッテリー交換可能な保守性の高さ
・別売のキーボードやペン入力に対応
ココが「×」
・タブレットとしては比較的厚くて重い
・Core i搭載機なので冷却ファン内蔵
・Core i搭載機では抑えめの性能

はじめに:Core i5搭載の国内モデルをじっくりテストする

デルの10.8型Windows 8.1タブレット「Venue 11 Pro」。直販価格はAtom搭載機で5万9800円(税込)から、第4世代Core搭載機で8万4980円(税込)から

 デルのWindows 8.1タブレットといえば、低価格な8型モデル「Venue 8 Pro」が注目を集めているが、10.8型モデル「Venue 11 Pro」の存在も忘れてはならないだろう。

 アーキテクチャが異なるCPUの選択肢を用意し、厚さ10.2ミリのAtom(開発コード名:Bay Trail-T)搭載機と、厚さ15.4ミリの第4世代Core i3/i5(開発コード名:Haswell)搭載機をラインアップしているのがユニークだ。

 また、本体にフルサイズのUSB 3.0ポートや交換可能なバッテリーを備え、SIMロックフリー(3G/HSPA+)、着脱式キーボード、ドッキングステーションなどの豊富なオプションも取りそろえることにより、タブレットとしてはもちろん、通常はノートPCで行うような用途まで、幅広いシーンで使えるという特徴を持つ。

 前回は海外版のCore i5モデルをレビューしたが、性能が最適化されていない試作機だったため、主要なベンチマークテストの実施を見送った経緯がある。今回は改めてCore i5搭載の国内モデルを入手したので、性能の検証を中心にお伝えしよう。

注目ポイント:仕様表では分からないHaswellタブレットの性能

ボディのサイズは297.7(幅)×176.8(高さ)×15.4(厚さ)ミリで、重量は約835.5グラムだ。Core i5搭載のハイスペックな構成なので、Atom搭載モデルより厚さと重さがある

 インテルが展開する最新世代のモバイル向けCPUは、柔軟な熱設計や電力管理が行える。特にVenue Pro 11のような第4世代Core Yシリーズを搭載したタブレットや2in1デバイスには注意したい。実際の(特に高負荷用途での)処理性能は、メーカーによるボディの熱設計や電力管理設定の基準をどこに置いているか、ユーザーがどのような電力設定(Windows 8.1の電源プランなど)を使うかによって異なるからだ。

 要するに、こうした製品は「ベンチマークテストを行なわないと、実際の性能がよく分からない」ということである。今回は、参考として同じCPUを搭載する「XPS 11」(デル)「VAIO Tap 11(2013年秋冬/店頭モデル)」(ソニー)のスコアを併記するとともに、最後にCore i5-4200U搭載UltrabookやAtom Z3770搭載タブレットとの比較も行う。

 今回入手したVenue Pro 11は、Windows 8.1の標準的な電源プラン「バランス」のほか、「Dell」という独自設定が設けられていた。後者のほうが性能的によい傾向を示すため、今回は両方の電源プランでテストしている。特に言及しない限りは「Dell」のほうを基準に話を進める。ちなみに「高パフォーマンス」の電源プランは用意されていない。

 評価機の構成は、CPUがCore i5-4210Y(1.5GHz/最大1.9GHz)、メモリが4Gバイト(DDR3L-1600デュアルチャンネル)、ストレージが128GバイトSSD(Lite-On IT「LJT-128L6G-11 M.2 2260」)、OSが64ビット版Windows 8.1という内容だ。

画面サイズは10.8型ワイドで、フルHD(1920×1080ドット)表示だ(写真=左)。視野角は広く、十分な輝度と鮮やかな発色を備えている。10点対応の静電容量式タッチパネルを搭載するほか、別売のアクティブスタイラスによるペン入力にも対応する(写真=右)
ラバー調でしっとりした手触りの背面カバーは、工具なしで着脱可能だ(写真=右)。背面の左上にはNFCを内蔵。カメラは2基を搭載し、インカメラが約200万画素、アウトカメラが約800万画素となる。ツメで固定された背面カバーを外すと、バッテリーが着脱できるほか、ユーザーによる交換はメーカー保証対象外となるが、M.2タイプのSSDや無線LANモジュールにアクセスできる(写真=右)。Bluetooth 4.0+HSも搭載する
カートリッジタイプのバッテリーは簡単に交換可能だ。バッテリー容量は36ワットアワーで、約10時間駆動をうたう(写真=左)。ACアダプタは55(幅)×79(奥行き)×28(高さ)ミリと、薄型のコンパクトサイズだ(写真=右)。重さは90グラム、本体に接続するUSBケーブル込みで115グラムだった(いずれも実測値)。前回試用した海外モデルと異なり、プラグは収納できず、着脱できるタイプとなっている
上面には放熱用の通風口を配置(写真=左)。下面には別売のキーボードやドッキングステーションなどと接続するための端子、およびガイドがある(写真=右)
左側面には、ヘッドフォン/マイク兼用端子、音量調整ボタン、左スピーカー、フルサイズのUSB 3.0を搭載(写真=左)。右側面は、電源ボタン、右スピーカー、盗難防止ロック用ポート(Noble Seculity用)、SDXC対応microSDメモリーカードスロット、Micro USB(充電専用/ACアダプタを接続)、Mini HDMI出力が並ぶ(写真=右)。音質面では音響技術ソフトウェア「WAVE Maxx Audio 3」を導入している
CPU-Zの情報表示画面。今回の評価機はCore i5-4210Yを搭載している(画像=左/中央)。Haswellこと第4世代Coreの中で最も消費電力の低い「Y」シリーズの中堅モデルだ。TDP(熱設計電力)は11.5ワット、SDP(タブレットとしての利用シーンを想定した電力指標)は6ワット。4Gバイトメモリはデュアルチャンネル転送に対応している(画像=右)
評価機のデバイスマネージャ画面。内蔵のSerial ATA SSDはM.2フォームファクタのLite-On IT「LJT-128L6G-11 M.2 2260」、無線LANアダプタはDell「Wireless 1537」とある
「Venue 11 Pro」とスコアを比較した第4世代Core Yシリーズ搭載製品の主な仕様
製品名 Venue 11 Pro (Core i5モデル) XPS 11 VAIO Tap 11 (SVT11218DJB)
メーカー デル デル ソニー
CPU Core i5-4210Y Core i5-4210Y Core i5-4210Y
コア/スレッド数 2コア/4スレッド 2コア/4スレッド 2コア/4スレッド
CPU基本クロック 1.5GHz 1.5GHz 1.5GHz
CPU最大クロック 1.9GHz 1.9GHz 1.9GHz
3次キャッシュ容量 3Mバイト 3Mバイト 3Mバイト
チップセット CPUに内蔵 CPUに内蔵 CPUに内蔵
内蔵グラフィックス Intel HD Graphics 4200 Intel HD Graphics 4200 Intel HD Graphics 4200
GPU実行ユニット数 20基 20基 20基
GPUクロック 200〜850MHz 200〜850MHz 200〜850MHz
TDP 11.5ワット 11.5ワット 11.5ワット
SDP 6ワット 6ワット 6ワット
メモリ DDR3L-1600デュアルチャンネル DDR3L-1600デュアルチャンネル DDR3L-1600デュアルチャンネル
メモリ容量 4Gバイト 4Gバイト 4Gバイト
液晶サイズ 10.8型 11.6型 11.6型
液晶方式 IPS IPS IPS
液晶表示画素数 1920×1080ドット 2560×1440ドット 1920×1080ドット
データストレージ 128GバイトSSD 128GバイトSSD 128GバイトSSD
データストレージ型番 Lite-On IT「LJT-128L6G-11 M.2 2260」 Samsung「PM841」 Toshiba「THNSNH128GMCT」
バッテリー容量 36ワットアワー 40ワットアワー 30.45ワットアワー
公称バッテリー駆動時間 約10時間 約8時間 約8時間
OS 64ビット版Windows 8.1 64ビット版Windows 8.1 64ビット版Windows 8
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 約297.7×176.8×15.4ミリ 約300×201×11〜15ミリ 約304.6×188×9.9ミリ
重量 約833.5グラム 約1.13キロ 約780グラム

デル株式会社 デル株式会社

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