Appleの新しい方向性――4つの発表と3つのトレンドを林信行が読み解くWWDC 2015で訴えた人間尊重と文化創造(4/5 ページ)

» 2015年06月10日 11時36分 公開
[林信行ITmedia]
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Apple Watchの真価を引き出す「watchOS 2」

 3つのOSの発表の中で、一番驚きに満ちていたのはApple WatchのOS「watchOS」の発表ではないだろうか。これまでのApple Watchは、ただiPhone上で動作しているアプリのセカンドスクリーンでしかなかった。すべての処理を一度iPhone上で行い、それからApple Watchに転送するので多少、情報の表示がもたつくことがある。しかし、それはApple Watchの実力ではなかった。

 Apple Watchは、新OS「watchOS 2」でついに本性を見せ始める。

 まず、iPhoneに頼らず、Apple Watch上で直接動作をするネイティブアプリに対応する。これにより、これまでのApple Watch画面ではあまり見かけなかった、なめらかなアニメーション表示や動画再生も増え始める(これがバッテリーの持ち時間にどう影響するかは気になるところだ)。

 Apple Watchに内蔵された豊富なセンサーやTaptic Engine、デジタルクラウン(リュウズ)の操作を使って、これまでにない新種のアプリがこれから続々と登場しそうだ。

 例えば、PingというアプリはApple Watchのセンサーを使って、ゴルフのスイング解析を行う予定だ。Stravaは標準搭載の心拍数センサーでワークアウト中の心拍数の変化を記録する。そしてIntestonは家の照明の明るさをデジタルクラウンで調整できるようにするという。

 Apple Watchの顔である時計の盤面も追加された。2014年9月の発表時に1度披露されたものの、発売時には消えていた「タイムラプス」という盤面が実装され、お気に入りの写真や写真アルバムを盤面として選ぶ機能も追加された。

新しい盤面を追加

Apple Watchの盤面にお気に入りの写真を選べるようになる

 さらに時計の盤面に追加できるコンプリケーション(情報表示)に他社製のものも選べるようになる。基調講演ではフォルスクワーゲンの電気自動車の充電状況が分かるコンプリケーションや野球の試合のリアルタイム速報、飛行機の搭乗時間、さらにはHomeKit規格対応の照明をオン/オフするコンプリケーションなどが例示された。

サードパーティのコンプリケーションを選べるようになる

 面白いのは「タイムマシン」という機能だ。Apple Watchは選んだ盤面によって、画面上に現在の予定や天候、気温など多彩なコンプリケーションを追加できるものがあるが、リュウズを回すと、自由に時間を巻き戻したり、進めることができ、例えば2時間前の予定と気温、電気自動車の充電状態を調べたり、2〜3時間後の状態を調べたりといったことができる。この機能は自分の生活のより細かな予定をApple Watchのカレンダーに追加して管理しよう、というモチベーションにもつながりそうだ。

 ほかにも細かな工夫が満載で、充電中のApple Watchがベッドサイドの目覚まし時計に早変わりする機能のような毎日恩恵を受けるものから、電子メールに音声認識や簡易メッセージで返信する機能、そして、おそらくこれが最も重要だが、万が一、Apple Watchが盗まれた場合、使えなくしてしまうことで盗む価値をなくしてしまおうというActivation Lockも追加された。200万円以上もする高価なモデルがあるだけに待ち望まれていた機能だろう。

 発売直後に入手しづらい状況が続いたApple Watchだが、秋ごろにこうした新しいアプリが頭角を現し本当の実力が発揮されると、再び入手しづらくなるかもしれない。

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