Windows 10 Insider Previewのビルド「10532」では、マイクロソフトの音声対応パーソナルアシスタント「Cortana」(コルタナ)がようやく日本語に対応した。
端末に向かって話しかけると、ユーザーのやりたいことをぱっと実現してみせる、という風景は、遠い昔に考えた“未来のコンピューター”のようでテンションが上がるが、筆者のように英語で話しかけても発音が悪いのか、音声読み取り精度の問題なのか分からない人にとって、日本語対応はうれしい一歩だ。
とはいえ、日本マイクロソフトもアナウンスしているとおり、日本語が話せるCortanaさんは、最終的な音声ですらない、まだまだ開発中の段階。現状ではどのくらい使えるのか試してみた。
一般Windows 10ユーザーが日本語対応Cortanaを使うための手順を簡単に説明しておこう。正式バージョンではないCortanaを使うにはWindows Insiderプログラムに参加する必要がある。
参加するためには、管理者アカウントでログインし、「設定」の「更新とセキュリティ」にある「Windows Update」の項目から「詳細オプション」クリック。「Insider ビルド」の入手を「開始する」にして、Windows Insiderプログラムの規約に同意し、再起動後、同じ詳細オプションの画面でInsiderビルドの入手方法を「Fast」に設定する。これで自動的に最新ビルドへアップデートされる(配信タイミングは場合によって少し時間がかかる)。
まずは日本マイクロソフトが紹介している使い方から見ていこう。1つは予定の作成だ。画面左下にある検索窓のマイクアイコンをクリックするかCtrl+Cでコルタナを呼び出し「予定」と話しかけると、イベント内容、時間などを設定してプルダウンメニューから選択できる指定のカレンダーに書き込める。
また、「リマインダー」と話しかけてリマインダーの設定も可能。ここで内容や時間、場所を設定しておくことで知らせてくれるほか、「今日の予定は?」「明日の予定は?」という質問で該当するリマインダー項目があれば答えてくれる。
このほか、「今日(明日)の天気は」といった問いかけで天気予報を表示したり、「メールを開く」でメーラーを起動したり、「音楽を再生」で音楽を再生してくれる。
ただし、現時点でほとんどの単語は、Edgeが立ち上がってbing検索に飛ばすだけといった状況だった。お試し版とはいえ、「お腹がすいた」と話しかければ最寄りにあるオススメのレストランを検索し、「お腹が痛い」と言えば何科を探せばいいか問い直してくれるSiriさんとは大きな差があると感じる。
また、音声の聞き取り精度も問題かもしれない。ソフトとハードウェアの両方を手がけるアップルの場合、最適なチューニングでSiriを使える一方、Cortanaの場合はすべてのデバイスで最適な環境とは限らない。低価格なノートPCや2in1デバイス、タブレットではデュアルマイクではなくモノラルマイクが搭載されていることも多いだろう。音声入力という気軽かつ自然な操作でユーザーを助けてくれる機能がそれ専用にヘッドセットを必要とするのではハードルが上がってしまう。Cortana側のバージョンアップはもちろん、対応環境の広がりという面でも実用的な「音声パーソナルアシスタント」になるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
もともと音声パーソナルアシスタントは、キーボードを持たないモバイルデバイスでも音声でさっと必要な情報を探し出せるのが利点の1つだが、Siriよりも早くデスクトップでの利用を実現したCortanaは、音声パーソナルアシスタントのまったく新しい使い方を見せてくれるかもしれない。今後が楽しみな機能なので、興味のある方は是非、今から試してみてほしい。
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