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» 2015年10月16日 16時00分 公開

今年の魔法は?:林信行が振り返るAdobe MAX――11月までに現実になる「Adobe MAGIC」5選 (2/3)

[林信行,ITmedia]

3、Comp CC:指で描いた四角や線がきれいなレイアウトに

 何らかの出版に関わったことがある人なら、ラフレイアウト(カンプとも呼ぶ)を目にしたことがあるだろう。雑誌の見開きや1枚もののチラシのどこらへんにどれくらいの大きさで写真を置いて、どんな感じで見出しを入れて、どんな感じで文章を流し込むかを図示したアレだ。

 デザイナーの人と編集者で向き合いながら、どんなレイアウトにしたら誌面がより楽しくなるか、より格調高く見えるかなどを徹底的に話し合う。このクリエイティブなプロセスがあるからこそ、雑誌の記事は、ブログなどの自動生成メディアよりも、人々の感情に訴え、魅了する(世の中の人が全員、インスタントに自動生成されたレイアウトでOKになってしまうことは文化の衰退以外の何物でもなく、憂慮すべき事態だろう)。

 さて、これまでこうしたラフレイアウトでは、紙に手描きで写真の位置を示す四角や、文章が入る位置を示す「Z」字などを書いていた。すでにApp Storeで提供が始まっている最新の「Comp CC」では、iPadの画面上に、手描きラフレイアウトを描くと、それが自動的に整形され、実際のレイアウトまでできるようになる。

指で適当に書いたラフ

自動的に整形される

 指で適当に四角っぽい形を描くと、それがきちんとした長方形になるので、高さ、幅、位置を微調整すると、写真挿入位置のプレースホルダーになる。これをタップして実際に写真を挿入することもできる。

 四角を描いてその右下に点を打てば見出しエリアが、「Z」ではなく、「三」の字を描いて右下に点を打てば段落の挿入となり、そこに文章をコピー&ペーストすることもできる。

 ほかにも図形を挿入したり、Photoshop MixやPhotoshop Fixなど、他のiPad用アプリで加工した写真を挿入するなど、かなり凝ったレイアウトが可能だ。もちろん、Creative CloudのCloud Syncという書類同期機能を使ってInDesignで開き微調整を施すこともできる。

 実はこれ、アップルのイベントで登場したiPad Proに最適なアプリの1本として紹介され大喝采を浴びたアプリで、App Storeでダウンロードして試しみればすぐにそのすごさが分かるはずだ。

4、Photoshop Fix:タッチ操作で顔写真からシワを取ったり、表情を変えたり

 Comp CC同様に、アップルのiPad Pro発表の場で初披露され、今回のAdobe MAXで正式発表となったのがPhotoshop Fixだ。

 パソコン用のPhotoshop CCは、写真の加工や合成、絵の描画、写真上の不要な要素を消すといった修正など、様々な用途に使われる。パソコン用ソフトは、これらの用途をすべて1本で行っている。

 その一方、iPhone/iPad版のタッチアプリケーションでは、写真を切り抜いて他の写真と合成したりといった目的ならPhotoshop Mix、絵の描画はPhotoshop Sketch、写真上のキズやゴミを取り除く修正は今回発表されたPhotoshop Fixというように、Photoshopブランドが用途ごとに分かれた3つのアプリに分割されている。

 新発表のPhotoshop Fixは、顔写真などを開いて修正をかけようとすると、After Effects同様にどの位置に目や鼻、口があるかや、その形状を認識してくれる。これを利用して、例えばちょっとだけ口角を指でなぞって持ち上げたり、目の端を下方向になぞって顔写真の表情を自然な笑顔に変えたりできてしまう。

※記事初出時、一部本文の記述に誤りがありました。正しくは「After Effects同様に」です。おわびして訂正いたします
Photoshop Fix

顔の写真を指でなぞって表情を変えるデモ

 Photoshop Fixは表情を変えるためだけのツールではない。修正というツールを選んで顔の上のシワをなぞればシワが消えるし、邪魔な髪の毛も消えれば、キズなども消すこともできる。また、「明るく」、「暗く」といったツールを選んで顔をなぞれば帽子の陰で暗くなってしまった顔をはっきりと見せたり、歯を白く光らせることもできる。

 もちろん、Photoshop Fixは人物写真だけを修正するアプリではない。同じ機能を使って車の写真についたキズを取り去ったり、海岸などの風景写真に写り込んだ邪魔な人や物を消し去ることも可能だ。

 高価なパソコン用ソフトのPhotoshopでは、かなり昔からできていたことだが、今ではこれがなんとポケットの中に収まるiPhone画面上でタッチ操作でできてしまうというのだから、まさにマジックのようだ。

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