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» 2015年10月16日 16時00分 公開

今年の魔法は?:林信行が振り返るAdobe MAX――11月までに現実になる「Adobe MAGIC」5選 (3/3)

[林信行,ITmedia]
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5、Fuse:画面上のキャラに好きなポーズをさせて好きな角度を

 パソコン用アプリもiOS用のアプリも充実させているAdobeだが、パソコン用アプリでは、その高性能なプロセッシングパワーを生かして新たな表現にチャレンジし続けている。

 昨年のAdobe MAX 2014では、Character Animatorというアプリが発表された。これは画面上に描いた平面のキャラクター画の、どの部分が目で、どの部分が口かなどを指定しておくと、口や目の動きを自由自在に操れる、というもの。

 操作方法は簡単で、パソコンなどに内蔵されるカメラに向かって役者が演技をすれば、画面上の平面キャラクターがそれをそっくりそのまま真似してくれる、というまさに「アドビマジック」を感じさせるアプリだった。

 今年のアドビも新たなキャラクター表現に挑戦している。ゲーム開発者を買収して獲得した技術を元に3Dキャラクター作成ツールの「Fuse」というパソコン用アプリを発表したのだ。

 Fuseでは、アバターとも呼べる顔つきや表情も、かなりリアルな3Dキャラクターを画面上に表示させることができる。そのアバターの顔の幅や輪郭、目鼻の位置、髪の毛の色などはかなり細かく調整でき、自分や有名人に似せることも可能だ。そして衣装を変えることもできる(おそらく、ストック素材サービスのAdobe Stockを通して、これからたくさん素材が提供されることだろう)。

 これだけでもすごいが、さらにそこからそのアバターの手足を自然に折り曲げて好きなポーズをとらせることができる。手動で手足の位置を決めてもいいし、それだと不自然なポーズになるなら、あらかじめモーションキャプチャーされた動きから「ダンス」などを選んで、“いい感じ”のポーズになったところで止めることもできる。

3Dキャラクター作成ツール「Fuse」。モーションキャプチャーからポーズを取らせるデモ

 こうして作成したポーズ付きの3Dアバターは、当然3Dのデータなので、新しいPhotoshopを使って、上下/左右好きなアングルで表示させることが可能だ。このFuseを使えば、モデルなどを手配しなくてもバーチャルモデルに色々な好きなポーズをとらせて自分の画像作品の中で使えるようになる。

 と、今回は画像作品で使うバーチャルモデルのためのツールとして紹介されたFuseだが、アプリ上ではすでに簡単なキャラクターアニメーション機能も実装されているし、いずれは自宅でPixar並みのCGアニメーション作品を作るツールに発展し、Premiere ProやAfter Effects CCとの連携も強めていくんじゃないかと想像しているのは筆者だけではないだろう。

プロジェクト「Comet」:アプリ開発者だけが感動するアドビマジック

 本記事では、Adobe MAXの目玉中の目玉を5本だけ絞り込んで紹介した。実際にはこれ以外にもたくさんの機能強化がAdobe MAXで発表されている。ここであえてもう1つだけ、先行発表された未完成の大型プロジェクト「Comet」に触れておこう。

プロジェクト「Comet」

 これはAdobeが現在イチから新規開発中のアプリで、スマートフォンやタブレット、パソコン用の画面デザインを行うためのものだ。

 アプリの画面デザインツールは、iOSの標準開発環境に組み込まれているInterface Builderなどほかにもたくさんある。その中で「Comet」が特徴的なのは、クリエイターに支持されるAdobeが作る製品だけあって、製品の最終デザイン、最終的な見方がつかみやすいこと。

 基調講演では、「ペットの世話をしてくれる人を探すアプリ」を開発中というシナリオでデモが行われた。アプリ実行中の画面を想定して、「世話人一覧表」に顔写真の画像ファイルを複数個選んでドラッグ&ドロップすることで、実際に顔写真を挿入して最終イメージを確認することができる。

スマホ向けアプリのデザインを開発するデモ

画面遷移をシミュレートできる

 さらに同じアプリのタブレット版では、無駄なスペースができないように一覧表を2段表示にしたうえで、1つ1つの項目の表示領域を大きくしたり、項目の背景に背景画像を張り込める。

 デザインした操作画面のどこをクリックすると、次にどの操作画面が出るかや、戻るボタンを押した時にどの画面に戻るかといった画面遷移の設計も可能で、実際に画面遷移をする様子をパソコン画面上にスマートフォンやタブレットの実物大画像を表示して確認したりもできる。

 プロジェクト「Comet」がどんな名前のアプリになるかや、いつごろリリースされるかは明かされなかったが、2016年のAdobe MAXまでにはアプリ開発者の新定番になっている可能性が高い。

 最後にもう1つ、動画を紹介。デモンストレーターがSurface上のタッチ操作で図形を重ねて描くデモ。実は新Illustratorの図形重ね合わせや抜きの機能をうまく活用して、マジックにはつきもののある動物を描いている。これなんだか分かるだろうか?

 言葉と写真だけでは、なかなか伝わらないアドビマジック。本稿で紹介したアプリの新機能は同社のAdobe MAX特設Webサイトで動画で確認できる。

 AuditionのデモとAfter Effects CCのデモは、「Video」という動画の中で紹介されている。Comp CCや今回の記事では触れなかったPhotoshop Sketchのデモは「Creative Sync」という動画、Photoshop Fixは「Photography」、Fuseは描画速度が劇的に向上したIllustrator CCとともに「Graphic Design」という動画で、そしてプロジェクト「Comet」は「Web/UX Design」という動画に登場する。

 残念ながら日本語字幕はないが、英語字幕機能ならあるので、聞き取りが苦手な人も是非見てほしい。

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