「Windows 10」初の大型アップデートとなる「TH2」が近いうちに公開される見込みだ。TH2とは「Threshold 2」の略称であり、Windows 10の開発コード名である「Threshold」のバージョン2を意味している。
TH2とは正式名称ではないようだが、Windows Insider Programの参加者であれば新しいビルド番号のプレビュー版「Windows 10 Insider Preview」をダウンロードする際に「th2_release」の名称が付与されているのを確認できるため、半ば公式的な名前として考えられている。
現在、一般のWindows 10ユーザーが利用しているのは、「Build 10240」のビルド番号が付与された「TH1」で、これに続くアップデートが「TH2」というわけだ。
今のところ、Windows 10 Insider Previewの最新ビルド番号は「Build 10565」となっているが、実際にTH2として配布されるのは、これよりも若干新しい番号のビルドになると考えられる。
現在得られている情報やうわさを総合すると、TH2の配信が開始されるのは11月上旬とみられる。TH1と呼ばれる現在のWindows 10は、ユーザーによって配信のタイミングがかなり異なっていたが、恐らくTH2はWindows Updateを通じて「全ユーザーが同じタイミング」で利用可能になると予想される。
TH2の提供開始時期については、以前にもリポートでまとめている。これはWindows 10リリース直後の8月中旬時点の情報に基づいたものだが、より新しい情報が出そろい始めており、TH2の概要が明らかになってきた。
まず、Windows関連の情報に詳しいポール・サーロット氏が独自の情報ソースを基にまとめた記事がある。同氏によれば、TH2はフル構成のWindowsビルドではなく、あくまで既存のTH1(Build 10240)の差分ファイルとしてWindows Update経由で提供される。名称は「Windows 10 November 2015」となり、あくまで大型アップデートとして扱われ、前述のように全ユーザーが同じタイミングで導入可能という。
Windows 10は1年に2〜3回程度のタイミングで大型アップデートが行われるが、この間に「Service Release(SR)」と呼ばれる「Cumulative Update(累積的アップデート)」が何度か配られる。TH2は、こうしたCumulative Updateの適用なしにインストールが可能で、Windows 10がどの状態であっても(11月時点での)最新状態にできるとしている。
なお、TH2の提供開始後はこれがWindows 10の初期状態となり、例えばWindows 7/8.1から10にアップデートをした際にも、7月提供のTH1ではなくTH2の状態になる。また、TH2を適用した状態でWindows 10を初期化すると、TH1の状態には戻らずにTH2の状態となる。つまり、Windowsの初期化後に最新状態へと戻すために何度もWindows Updateをかけて再起動する必要がなくなるわけだ。セットアップでは、この点が大きな特徴となる。
そして旧OSのユーザーに朗報なのがアクティベーション方式の変更だ。現在Windows Insider Programで配布されているBuild 10565では、Windows 10のISOファイルでインストールを行う際、Windows 7/8/8.1のプロダクトキーを使って直接アクティベーションが可能になっており、わざわざ「旧OSを入れてから、Windows 10のアップグレードインストールを行って……」という手順をたどる必要がない。
この新しいアクティベーション方式は、TH2提供開始後の一般向けWindows 10でも同様となる。Windows Insider Programに参加していて最新のISOを入手可能か、あるいはWindows 10の最新版インストールファイルが入手可能なユーザーが、Windows 7/8/8.1のプロダクトキーを用いて手軽にクリーンインストールを行うための措置だと考えてもらえばよいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.