筆者がNovember Update(1511)を一言で表現するなら、「Microsoftが最初のWindows 10リリース(7月29日時点)で本来出したかったもの」となる。新機能の追加などブラッシュアップ以上の変更点もあるが、全体として未完成な感のあったWindows 10を補強するような(より完成品に近い)アップデートだ。
この辺りのアップデートに関するMicrosoftの考え方は、次期大型アップデートの「Redstone(開発コード名)」に関する紹介記事の中で触れているので参照してほしい。
November Update(1511)の詳細については、既に日本マイクロソフトの説明会リポートが掲載済みだ。ここでは、主に次の3つのポイントにフォーカスしてみる。
日本の一般ユーザー向けでは、ついにNovember Update(1511)で日本語版の音声対応パーソナルアシスタント機能「Cortana(コルタナ)」が提供されたことに注目したい。既に触れられた方は分かると思うが、新機能の追加や不具合の改善など、Cortanaは日々機能強化が続いている状態で、正直なところ使える機能も限定的だ。
ただ、日本マイクロソフトでは「それも含めて日々進化するCortanaをよりローカライズする形で、日本のユーザーと一緒に育てていきたい」と説明しており、より多くのユーザーが使えば使うほど、機能強化が進むというわけだ。
そしてユーザーが増えることで期待されるのが、Windowsストアにおける日本向けアプリの充実だ。以前にも解説したように、Cortanaを通して各種Webサービスやアプリの音声制御が可能となっており、これには各サービスとアプリのCortana対応が必須となる。
また、Cortanaの利用にあたっては、Windows 10のアプリ実行環境である「Universal Windows Platform(UWP)」を用いる必要があるため、フロントエンドとして(Cortanaを呼び出すための)UWPアプリを用意しなければならない。
つまり、Cortanaを活用しようとすればするほどUWPアプリの登録されるWindowsストアが充実する可能性は高まり、相乗効果が生まれる。競合するアプリストアに比べて、いまひとつと言われ続けているWindowsストアのラインアップだが、意外とCortanaがその救世主となるのかもしれない。
Windows 10の新しい標準ブラウザであるEdgeは、November Update(1511)で主に以下の機能強化が行われた。
ただし全体に小粒なアップデートという印象は拭えず、特にクーポン表示に関しては日本向けの機能ではない。
現在のところ、Edgeは「Windows 10の標準ブラウザ」という以外のメリットが少ない。Chromeなどを使い込んでいるユーザーにスイッチしてもらうためには、さらなる施策が必要だと考える。2016年前半に提供される見込みのWindows 10次期大型アップデート(Redstone世代)での「Extensions」サポートなど、さらなる機能強化に期待したい。
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