研究所の中でも、かなり過酷なテストを行っているのが「耐久試験設計1ラボ」だ。ここでは、大人が起立した状態の高さからThinkPadを自由落下させてみたり、あえて角から落としたり、液晶ディスプレイに圧力をかけてみたり、落下時に加速度を感知してHDDのヘッド部分を待避させる機能をあえてオフにして衝撃を与えたり……いわゆる「拷問試験」と呼ばれるテストが実施されている。見ているだけで「あぁ……やめてあげて……」となる場所だ。
こちらは自社開発だという防じん試験を行う装置。MIL規格(米国の軍用スタンダード規格)に合わせるため、専用のホコリや砂を使って正常に動作し続けられるかをテストする。ちなみにアリゾナ砂漠の砂を利用するんだとか。
「音響試験設計ラボ」では、床以外の部屋全体に吸音材を用いた半無響室にてThinkPadの静音性を検証する。この半無響室は内部で音がまったく響かない上に周囲の音も遮断するため、不気味なほどの静寂を味わうことができる。
ここでは、テーブルに置いたThinkPadのファンノイズや駆動部のノイズを測定する。最近はSSDの採用などにより、駆動部が減ったことで静音性が高まったものの、逆に今まで目立たなかった基板からやACアダプターからのノイズが表面化し、対策が必要になっているという。
IBM時代から築き上げてきたThinkPadの製品に対する信頼は、これまでに紹介したような厳しいテストを長年実施することで得られたものだと実際に現場を目にして感じることができた。研究施設がみなとみらいに移転されてからも、「大和研究所」という名称が引き継がれたように、大和ブランドは国内外で広く認知されているようだ。
ThinkPadを信頼し、期待しているユーザーのために、日本の技術を結集した“大和魂”にこれからも期待したい。
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