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コンパクトPCの利点と、製品選びのポイントを知るSOHO/中小企業に効く「コンパクトPC」の選び方(第1回)(2/3 ページ)

» 2015年12月09日 09時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

設置場所を取らず省電力、かつノートに比べると自由度も高い

 コンパクトPCというジャンル自体は既に2000年前後から存在していたが、このジャンルが一気に注目されるようになったきっかけは、2005年に発表された「Mac mini」だろう。

 その後はコンシューマ向けを中心に製品が多数リリースされ、法人向けへの展開が本格化したのはここ数年のことだ。今では海外メーカーのデスクトップPCのラインアップに必ずと言っていいほどコンパクトPCが存在しており、最近では国内メーカーが参入するケースもみられる。

レノボ・ジャパンがラインアップしているコンパクトPC レノボ・ジャパンの最新コンパクトPC

 コンパクトPCの利点は、なんといってもボディサイズの小ささだ。コンパクトPCという定義は明確には存在せず、「ゴルフボール○個分の幅」「テニスボール○個分の幅」などと身近なアイテムに例えた表現がよく用いられていたが、海外では「容量1リットル前後」という表現が定着している。本体の表面積が20×20センチ前後、厚みは3〜5センチ程度であり、A4のコピー用紙の陰にすっぽり隠れてしまうサイズだ。

 こうしたコンパクトさにより、置き場所を取らないのが大きな利点だ。一般的なタワー型やスリムタワー型デスクトップの場合、デスク上に置くとかなりのスペースを取るため、やむを得ず足元に置くといったケースも見られる。コンパクトPCであればデスク上でも邪魔になりにくく、結果として足元のスペースも広く取れる。デスク上でファイルやバインダー隣に立てて置くと、存在に気づかないこともしばしばだ。

 また、多くの製品はVESAマウントのオプションを用いることでディスプレイの背面などに取り付けられるので、さらにすっきりとした作業環境を構築できる。ディスプレイ背面に設置するとなると、座ったままでは本体に手が届きにくいが、光学ドライブが必須でなくなった現在、操作中に手を伸ばす機会といえば、せいぜいUSBメモリやカードの着脱といったところではないだろうか。それゆえに、直接触りにくい位置に設置されていても、それほど支障はないというわけだ。

VESA対応マウンタでディスプレイ VESA対応マウンタでディスプレイ背面に設置したマウスコンピューターの「LUV MACHINES mini」シリーズ

 次に挙げられる利点として、省電力であることだ。例えばあるメーカーのラインアップで最大構成時の消費電力(通常時)を比較すると、タワー型で約60W、スリムタワー型で約20Wのところ、コンパクト型は約10Wと、大幅に省電力なのだ。

 これはあくまでベースモデルの比較であり、実際の消費電力は搭載するCPUなどによって異なるが、タワー型やスリムタワー型、ミドルタワー型などを導入するのに比べると、消費電力を大幅に削減できることは明らかだ。オフィスで大量導入するとなると、なおさらだろう。

 ノートPCにはない構成の自由度の高さも大きな利点だ。ディスプレイおよびキーボードと一体化しているノートPCでは、個別のアップグレードはできず、また故障した際もバラバラに修理に出すわけにいかない。その点、コンパクトPCでは業務に応じたサイズのディスプレイや、個人に合ったキーボードと組み合わせられる。

 個々の機器が故障した際も個別に修理に出すことができ、その間は余っている機器を接続して使うのも容易だ。さすがに拡張性はデスクトップ並みとはいかず、マザーボードの制約から増設できるメモリの枚数が限られていたりもするが、ノートPCに比べるとはるかに自由度は高い。

 以上のような特徴から、コンパクトPCは通常のデスクトップが置きにくいカウンター業務や、会議室のプレゼンテーション用端末としての用途など、コンパクトなボディを生かした設置性の良さが評価されている。今回は取り上げていないが、製品によってはシリアルポートを追加できる製品もあり、組み込み用途に利用することも可能だ。

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