いわゆるタワー型やスリムタワー型のPCに比べると、コンパクトPCはチップセットが最新ではないことが多い。それゆえスペック最優先ではなく、スペックやサイズなどをバランス重視で選ばざるを得ないというのが実情だ。従って、最低限のスペックを決めた上で製品をリストアップし、そこから本体サイズや価格とのバランス、さらにセキュリティの要件などを見ながら決めていくというのが、選び方の王道ということになるだろう。
まずはOSだが、Mac OSを搭載したMac miniや、最近であればChrome OSという選択肢もあるが、ほとんどのケースではWindowsが前提になるだろう。エディションの選択肢としてはWindows 10/8.1/7となるが、現時点では、Windows 10対応モデルをリリースしていないメーカーも多い。またWindows 7がWindows 10のダウングレード権で提供されるモデルでは、Windows 8.1が提供されないといったケースもある。
本体サイズについては、体積が同じ「1Lサイズ」でも、表面積の小ささを重視しているのか、あるいは薄さを重視しているのか、メーカーごとに方向性は大きく異なる。
また、見落としやすいのが縦置き時に使用するスタンドで、本体と同じ幅が左右それぞれにせり出すことで、スリムさが失われてしまうことも少なくない。場合によってはスタンドなしで安定して立てる別の方法も考えたいところだ。スタンドそのものが別売の場合もあるので、事前によくチェックしておきたい。
搭載チップセットはモデルによって大きく異なる。現在であれば第6世代Coreに対応したチップセットが最新だが、現行モデルが全て第6世代Core対応かというとそうではない。それ以前のチップセットを採用したモデルも多数見られる。
CPUやメモリ、HDD/SSDは、BTO対応製品では選択肢が豊富に用意されているが、ベースモデルが決まっている場合は変更ができないことも多い。ボディサイズに制限があることから、自前での増設が難しい製品もあり、事前によく吟味する必要がある。
インタフェースでは、ディスプレイの接続端子にメーカーの個性が出やすい。標準はDisplayPort×1、VGA(ミニD-sub15ピン)×1といったところだが、他にHDMIやDVI-Dに対応していたり、あるいはDisplayPortを2基備えてマルチディスプレイ対応をアピールしていたりする製品もある。
また、USB端子については、本体の前面と背面それぞれに複数のポートを備えアクセス性を高めているのが一般的だが、内訳を見るとUSB 3.0と2.0が混在していたり、あるいはUSB Type Cに対応していたりと、製品によって意外に差があるポイントだ。
法人ユースということもあって、セキュリティ関連の機能はどのモデルも豊富に搭載している。デバイスや各ポートの利用制限を行うユーティリティや、暗号化HDD、また指紋認証や顔認証に対応した製品もある。またボディの小ささゆえの盗難を防ぐために盗難防止用のワイヤーを使ったデスクなどへの固定は必須であり、そのためのホールもほとんどの製品が備えている。
オプション品についても、必要に応じてチェックしておきたい。ディスプレイ背面に取り付けるVESAマウント対応のキットは、ほとんどのメーカーが用意している。しかし、専用のディスプレイにしか取り付けられない場合もあるので、手持ちのディスプレイを引き続き利用したい場合は要注意だ。
光学ドライブについては、専用ユニットとして用意されているケースも多いが、割高になるケースも多い。一体感にこだわらなければ、USB接続の外付けドライブを使う方法もあるだろう。
製品選びの際に盲点になりやすいのが本体カラーで、海外メーカーはブラック、国内メーカーはホワイトというのがおおよその傾向だ。ディスプレイ背面に取り付ける際、ディスプレイがホワイト、PC本体がブラックという組み合わせだと見た目にかなりの違和感があり、本体がコンパクトになったにもかかわらずむしろオフィスで存在が目立つようになったというケースもあるので、よく検討すべきポイントである。
次回はこれらを踏まえて、各社のラインアップについて紹介する。
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