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前回は、ビジネスインクジェットプリンタのおすすめ製品として、プリンタ、コピー、スキャナ、さらに製品によってはFAXも備えた「複合機」について紹介した。今回は純粋なプリンタ機能だけを備えた「単機能モデル」を見ていく。
ページプリンタと同様、ビジネスインクジェットプリンタを選択する際は、まずは印刷可能な用紙サイズから選んでいくことになる。A4までか、あるいはA3が必要かどうかが最初の分岐点で、次いで印刷速度やランニングコスト、耐久性といった条件をチェックするといった流れだ。
気を付けたいのは、一般的にビジネスインクジェットプリンタは、大量部数での印刷速度や耐久性がページプリンタより不利ということだ。それゆえ、導入済みのページプリンタとの置き換えを計画している場合、実用上どこまでのスペックダウンを許容できるかが、1つの大きなポイントとなる。大量部数を高頻度に印刷する環境では、ページプリンタから検討したい。
むしろ、導入済みのページプリンタと共存しつつ、ページプリンタが対応しないA3カラー印刷を手軽に行いたい、印刷待ち時間を分散させるサブのデスクサイドプリンタとして追加したい、といったニーズには、ビジネスインクジェットが最適だ。
なお、ビジネスインクジェットプリンタはページプリンタより本体価格が安いことから、単機能タイプよりもカラー複合機タイプのほうが製品数が豊富であり、価格差が小さければあえて単機能タイプをあえて選ぶ意義はないと考えるかもしれない。
しかし企業では、いまやコピーを1枚とるだけでもICカードによる認証が必要な時代だ。普段は使わないコピーやスキャナの機能が管理しきれず野放しになり、社内の情報流出につながる可能性が高まるようならば、最初から機能を省いた製品を選んだほうが情報セキュリティの観点からは望ましい。ここは、便利な機能ならいくらあっても構わないホームユースの製品との大きな違いと言える。
まずはA4対応の単機能モデルから見ていこう。
A4のハイエンドクラスに位置付けられるのが、エプソンの「PX-S840」だ。印刷速度はカラー/モノクロとも約20ページ/分(ipm:image per minuteの値/以下同)、耐久性も約15万ページとミドルクラスのページプリンタに見劣りしない性能でありながら、カラー約6.1円、モノクロ約1.8円と、同社ページプリンタの半分程度の低ランニングコストを実現している。給紙容量もオプション利用時で最大580枚と多く、ページプリンタと同等の使い勝手を維持しながらコストを下げたい場合に、候補の筆頭になるだろう。実売価格は2万円弱(税別/以下同)だ。
このほか、液晶モニタおよび無線LANが非搭載で、かつ印刷速度や本体耐久性がワンランク下がる「PX-B700」(実売1万円代後半)も、条件次第では候補となる。
エプソンの「PX-S740」は最大給紙枚数が251枚と少ないぶんボディサイズも小柄で、オフィスに手軽に導入できる製品だ。ランニングコストはカラー約8.9円、モノクロ約3.0円と前述のPX-S840ほどではないが、ボディのコンパクトさに加えて実売価格も1万円台半ばと安く、手軽にビジネスインクジェットの恩恵を受けたい場合におすすめできる。印刷速度はモノクロの約19ページ/分に対し、カラーは約10ページ/分とやや開きがあり、モノクロ印刷が主体の業務で重宝する。
コンパクトさと本体価格の安さをさらに追求したのが同じくエプソンの「PX-105」だ。給紙容量は最大100枚と少なく、両面印刷にも非対応だが、1万円を大きく下回る実売価格は魅力だ。ランニングコストはカラー約12.5円、モノクロ約4.1円、印刷速度はカラー約4.7ページ/分、モノクロ約9ページ/分となる。例えば仮設の事務所などにまとまった台数を導入し、一定期間後に撤去するといった使い方では、候補になるだろう。
キヤノンが「MAXIFY」ブランドで展開する「iB4030」もチェックしておきたい。カラー約15ページ/分、モノクロ約23ページ/分という高速印刷がウリで、オプションの追加で最大500枚までの給紙に対応する。ランニングコストは大容量インクタンクを使うことでカラー約6.1円、モノクロ約1.8円まで下がる。実売価格は1万円台前半と手頃なので、性能を維持しつつ、イニシャルコストとランニングコストを下げたい場合に候補の最右翼となるだろう。
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