謎のVRヘッドマウントディスプレイ「GALAX VISION」発売直前レビューOculusとの比較も(2/2 ページ)

» 2016年01月21日 18時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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Oculus DK1互換であることを確認

 GALAX VISIONのインストールは簡単だ。本体から伸びているHDMIとUSB 2.0の端子をPCに接続すればPlug&Playでドライバがインストールされる。専用ドライバが不要で、標準ドライバで動作可能なのはOculus Rift DK1と同じ。つまり、PC側から見れば解像度の違いこそあれ、GALAX VISIONとOculus Rift DK1に違いはなく、どちらも標準ディスプレイ+HIDデバイスとして認識される。

 ということはつまり、Oculus DK1に対応したソフトウェアはGALAX VISIONでも動くということではないか。

 結論から言えば、確かにGALAX VISIONは、Oculus DK1と互換性のあるハードウェアだった。実はGALAX VISION用のデモプログラム自体見当たらない(少なくとも本稿執筆中に見つけることができなかった)ので、Oculus Rift DK1用のソフトウェアが動かなかったら打つ手がなくなるところだったのだが、それは杞憂(きゆう)だった。

 もっとも、Oculus Rift DK1用のソフトウェアはレンズによるゆがみを逆変換したものを標準ディスプレイに映し出し、ヘッドトラッキングからの入力をHIDデバイスからのパン・チルト操作に置き換えるというものなので、互換性があること自体は意外ではない。

 レイテンシ25ms、1000Hzのトラッキングはあまり遅延を感じさせず、解像度の違いもあってOculus Rift DK1よりも高画質だ。しかし、レンズまでの距離を調整できないためか、両側にわずかながらもくっきりとパネルの端が見切れてしまう。もっともこれは個人差があるかもしれない。解像度が同じOculus Rift DK2と比較するとリフレッシュレートの差、それにパネルの違い(Oculus Rift DK2はOLED)がはっきりと表れる。予想通りというか、DK1以上DK2未満、という評価が妥当なところだろう。

 GALAX VISIONの実売価格は5万4800円(税込)。これはOculus Rift DK2以上、製品版未満といったところだ。しかし、その一方でスペックとしてはOculus Rift DK1以上、DK2未満にとどまっている。

 標準ドライバだけで動作する手軽さはDK1譲りだが、それは同時に機能面の制限にもつながる。例えば、DK2のつもりで前に乗り出すと、乗り出した分だけミクさんが奥に引っ込んでしまう。もちろん、後ろにもたれるとその分近くに来てくれるので、なるほど、追えば逃げる、逃げれば追われるというのは真理なのだな、と思わなくもないが、世代としてはやはり古いものを感じる(追う、逃げるの構図のことではなく)。

 それともう1つ気になるのが、これがDeveloper Editionであることだ。Oculus Rift DK1/DK2の場合、開発者キットであっても、それまでにない没入感を少しだけ早く体感する費用としては払えなくもない、という価格だった。

 しかし、GALAX VISIONの場合は、そもそも先行のOculus Rift DK1互換ということもあって、まったく未知のVR体験が味わえるわけではない。そのうえ、DK2よりも高価という価格設定。メーカーサイトを見ても開発者向けの情報どころか、製品の情報もほとんど出ていない状態では、どれほどのサポートを受けられるのか疑問だ。

 現時点では、最初からOculus Rift DK1の高解像度版という位置づけで開発された(言い換えれば、Oculus Rift DK1の資産をあてにした)製品ではないか、という疑念を拭いきれない。

 Oculus Rift DK1の、専用ドライバが不要で(DK2に比べると)安定した動作は確かに大きなメリットだったし、その導入のしやすさはVRが身近なところまで来ていることを実感させる一因でもあった。

 今後出てくるであろうGALAX VISION正式製品版の向かう方向性次第では、ハイエンドに向かってしまったOculus Riftのカウンターとして有力な製品になる可能性もある。しかし、今このタイミングでは、これまでOculus Rift DK1/DK2を体験したことがあるユーザーには「見(ケン)」の時期という印象が強い。ただし、「国内で簡単に購入できる」「Oculus Rift DK1の高解像度版がほしい」というような明確な理由があるのなら検討してもいいかもしれない。

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