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担当者必見! 法人向けNAS製品で今抑えておくべきトレンド機能はこれだSOHO/中小企業に効く「NASキット」の選び方(第2回)(1/4 ページ)

» 2016年04月07日 06時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

←・SOHO/中小企業に効く「NASキット」の選び方(第1回):台湾メーカーの“NASキット”と国内メーカーの“NAS”は何が違う?

 NASはUSBで接続する外付けHDDと異なり、ネットワークを介して接続することが大きな特徴だ。しかし単にインタフェースが異なるだけではない。近年は外付けHDDにはないさまざまな付加機能が続々と追加されつつある。

 ファイルサーバとしての利便性や信頼性をさらに向上させるための機能強化も活発に行われており、単なるストレージの域にとどまらない、データを効率的にやりとりしたいというニーズに応えられる小型サーバと化しているのだ。

 今回は、SOHOや中小企業への導入に最適なクラスのNASでトレンドの機能を紹介する。家庭向けのNASであれば、本体のHDMI端子から直接テレビにダイレクト出力する機能や、動画のリアルタイムコード変換機能、DTCP-IP対応によるテレビ録画データの保存機能などが最近の注目機能となるが、今回は法人をターゲットとした、ファイルサーバとしての利便性や信頼性を強化するための機能を中心に見ていく。

台湾メーカー製のNAS。いずれも2ドライブの製品。左からQNAP、Synology、ASUSTOR

クラウドとのデータバックアップ/同期機能

 最初に紹介するのはクラウド連携機能だ。これまでNASに保存したデータのバックアップ先としては外付けHDDやeSATA接続のHDD、あるいはLAN上に存在する別のNASが主に用いられてきたが、これらは設置場所がNAS本体と同じオフィス内となるため、火災や地震、落雷といった天災、そして物理的な盗難への対策としては有効ではない。

 その点、データのバックアップ先をクラウドにすれば上記の問題は解消できる。Amazon S3やMicrosoft Azureであればコストも低く、利用頻度の低いデータの保管場所としても最適だ。DropboxやOneDrive、Googleドライブなどのオンラインストレージと同期させておけば、外出先からはスマートフォンやタブレットでアクセスしてデータの参照および編集を行える。同期が双方向であれば、オフィスに戻ってから手動で同期する必要もなく、すぐに最新データが使って作業を続行できる。

台湾メーカー製のNASキットでは、法人向け家庭向けを問わず、クラウドにデータをバックアップする機能が標準搭載している

 国内メーカー製のNASにおいては、対応するクラウドサービスは著名なものだけ、しかも上位機種の一部のみ対応しており、SOHOレベルの製品は対応していない、なんてことも多い。その点、台湾メーカー製NASキットのクラウド連携機能は、対応クラウドサービスの数も豊富で、ローエンドの製品でも同じNAS OSを搭載していることから、クラウド連携機能を利用できる。この点においては国内メーカー製品に圧倒的な差をつけている。

 これらの機能は、NASそのものに組み込まれている場合もあれば、アプリの追加によって実現できる場合もある。例えばAmazon S3にバックアップを行いたい場合、Synologyの製品では「Hyper Backup」というアプリを組み込む必要があるが、QNAPでは標準機能「バックアップマネージャ」内にあるバックアップ先の一つとして選択できる。

 Dropboxとのデータ同期に関しては、ASUSTORの製品では「Dropbox」という名前通りの専用アプリを用意しているが、Synologyの製品では「CloudSync」というアプリで同期を実現する。このように、統合アプリにクラウドサービスとの連携機能を内包しているケースが少なくないので、アプリ名だけを見て判断するのではなく、注意深く探したほうがいいだろう。

 また、同じクラウドサービスに対応しているからといって各メーカーの製品が全て同等の機能を使えるというわけではない。例えばデータ同期の方向は「双方向」「NASからクラウド」「クラウドからNAS」の三つが考えられるが、この全てに対応する場合もあれば、双方向の同期しか選べない場合もある。

 他にも同期対象を選択する機能や特定のファイルだけ転送するフィルタリング機能など、意外な差があるので、利用が必須となるクラウドサービスについては事前にチェックしておくことをおすすめする。

クラウドサービスごとに専用アプリを用意している場合もあれば、複数のクラウドサービスとの接続を一つのアプリでまかなっている場合、さらにアプリではなくOS自体が特定のクラウドサービスと接続できる場合もある。これはASUSTORのOneDrive専用アプリ「DataSync for Microsoft OneDrive」だ
同じクラウドサービスに対応していても、オプションの項目は各社によって差がある。同期方向を指定できなかったり、あらかじめ指定したフォルダしか同期の対象に設定できないこともある
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