AMDの最新GPU「Radeon RX 480」まとめPolarisの狙いは?(2/2 ページ)

» 2016年06月29日 22時00分 公開
[本間文ITmedia]
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次世代VR環境を見据えたVR機能強化

 Polarisでは、AMD独自のVR技術「Liquid VR」もアップデートされた。まず、VRヘッドマウントディスプレイの接眼レンズの歪みを逆補正するために、描画エリアをいくつかのビューポートに分割する、NVIDIAのLens Matched Shading と同様の機能をAMDもAPIレベルで実装した。

 ただし、AMDの実装方法は、NVIDIAがジオメトリエンジンにSimultaneous Multi Projection機能をハードウェア実装したのとは異なり、ソフトウェア実装となる。これは、GCNアーキテクチャが非同期コンピューティング処理に強く、ソフトウェアレベルでも十分パフォーマンスを稼げると判断したためと思われる。また、AMDは次世代VR環境では、アイトラッキングによる視線の行方に応じて、メインの高解像度レンダリングの領域を動的にシフトする機能にも対応するという。

AMD独自のVR対応API「LiquidVR」もPolarisの投入にあわせて強化

NVIDIA同様、AMDも複数のビューポートを割り当てられるようAPIを拡張。将来的にアイトラッキング(視線追従)の利用も念頭においた拡張だ

 サウンド機能についても、ゲーム空間の壁や天井、障害物といったオブジェクトの特性にあわせ、音の反響や吸収を物理演算して、よりリアルなサウンド表現を可能にするTrueAudio Nextをサポートする。

 AMDはかつて、Hawaii世代(Radeon R9 290など)で、オーディオ用のDSPをGPUに統合し、TrueAudio機能を実装したが、Polaris世代では、これらのオーディオ処理も、CUを利用して実現するように変更している。このため、VRやオーディオ処理のように、汎用コンピューティング処理に一定のGPUパワーを必要とするアプリケーションやゲームでは、一定量のCUを汎用コンピューティング処理にあらかじめ割り当てるCompute Unit Reservation機能もサポートする。

 その一方で、GPUのリソースを、より効率的に使うべく、グラフィックス処理と汎用コンピューティング処理のバランスを動的に切り替え、Oculus Riftにおける非同期タイムワープ(Asynchronous Time Warp)のような、優先度が高い処理を最優先で処理できるようにCUを割り当てるQuick ResponseQueueもサポートするなど、APIレベルでは大幅な強化が施されている。

物理演算を用いることで、リアルなサウンド表現を実現するTrueAudio Nextに対応

最優先しなければならない汎用コンピューティング処理などを、最優先で動的にCUを割り当てられるようにするQuick Response Queueにも対応

 AMDが公開したパフォーマンスデータでは、DirectX 12ゲームでは、1440pの解像度であればGeForce GTX 970を上回るパフォーマンスを見せることになっている。しかし、AMD、NVIDIAとも新アーキテクチャGPUを投入したことにより、従来製品の値崩れが始まっている状況では、Radeon RX 480の成功は、日本市場独特の初値や、他の地域より高めの販売価格が、どれだけ早く落ち着くかにかかっていると言えるかもしれない。

 また、AMDは、Radeon RX 480と同時に、その下位モデルとなるRadeon RX 470や同RX 460を発表しながら、その市場投入時期や価格、スペックの詳細は明らかにしていないことも気になるところだ。

Radeon RX 480は、NVIDIAのGeForce GTX 970を対抗製品に位置付ける

AMDのRadeon RX 480レビューアーズガイドに掲載されたGeForce GTX 970とのパフォーマンス比較。DirectX 12やVRでは、GTX 970を上回るパフォーマンスを示すとアピール。その一方で、DirectX 11ゲームでは、GTX 970よりも劣る結果も多く見られる

Polaris 11チップを採用するRadeon RX 460のブロックダイヤグラム

AMDが公開しているRadeon RX 470の主な仕様

AMDが公開しているRadeon RX 460の主な仕様

Radeon RX 460のデモシステム

AMD関係者からの情報を追加したRadeon RX 400シリーズの基本仕様
型番 Radeon RX 480 Radeon RX 470 Radeon RX 460
開発コードネーム Polaris 10 Polaris 11
GPUアーキテクチャ 第4世代GCN
製造プロセス GLOBAL FOUNDRIES 14nm FinFET
ダイサイズ 234平方mm 124平方mm
Compute Unite(CU)数 36 32 14
ストリーミングプロセッサ数 2304 2048 896
浮動小数点演算性能 5TFLOPS以上 4TFLOPS以上 2TFLOPS以上
メモリサイズ 8GB/4GB 4GB 2GB
メモリインターフェース 256bit GDDR5 128bit GDDR5
最大消費電力 150W 110W 75W
補助電源コネクタ 6ピン×1
HDMI 2.0b
Display Port 1.3 HBR3 / 1.4 HDR対応

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