さて、3DMarkのFire Strike実行時に、GPU-Zからログを計測したので、そのデータを紹介しよう。まずはGPU温度。GPU温度の上昇傾向に関しては、GeForce GTX 1080はGeForce GTX 980とほぼ同じだ。GeForce GTX 1080の最大温度は72度、980も72度、980 Tiのみ83度となった。
続いてファン回転数。GeForce GTX 1080は、多くのシーンで3枚のカードのうち最も回転数が高かった。ただし、動作音についてはGeForce GTX 980よりも静かだったのが印象的だ。
次はVDDC。GPU Boostが変わったことで、何かグラフに表れないかと期待をしたが、そこまで特徴的なグラフにはならなかった。しかし、GeForce GTX 980や980 Tiよりも低い電圧で駆動しているようである。これで高クロックを実現しているのだから、16nm FinFETはかなり優れたプロセスと言えるのではないだろうか。
最後はGPUクロック。こちらも、GeForce GTX 1080のGPUクロックの高さは分かる。とはいえ特に特徴的なものではないので参考程度に。
それでは最後に消費電力を計測しておこう。これもGeForce GTX 1080は優秀な値を示している。まずアイドル時の消費電力は、GeForce GTX 980 Tiが最も大きく、GeForce GTX 980、GeForce GTX 1080と続く。
GeForce GTX 1080は唯一50Wを下回り、GeForce GTX 980 Tiとは7.5W差、GeForce GTX 980とは4.5Wの差を付けた。続く高負荷時では、GeForce GTX 980 Tiがどうしても大きく337.3W、これに対しGeForce GTX 980とGeForce GTX 1080は260W前後でセグメントの違いを感じさせる。いちおうGeForce GTX 1080のほうが980よりも3.7Wほど高かったが、ゲームパフォーマンスを考慮すれば性能電力比の優秀さがよく分かる。GeForce GTX 980 Tiクラスのパフォーマンスを、より出力の小さな電源でまかなえる。グラフィックスカード単体で見ると割高なので、こうしたところでコストを削減できることはメリットかもしれない。
ここまで見てきたとおり、GeForce GTX 1080は、従来ひとつ上のクラスだったGeForce GTX 980 Ti以上のパフォーマンスを、同クラスのGeForce GTX 980並みの消費電力で実現している。
プロセスの微細化によって実現したトランジスタの増強や高クロック化、省電力化、そして新アーキテクチャ。全てが重なった今回は、パフォーマンス向上では“アタリ”である。ただし、リフレッシュモデル回と異なり価格は高めだ。
CPUやGPUではハイエンドモデルの価格の向上が最近の傾向としてある。もちろん、それ相応の技術や性能向上があるわけだが、GeForce GTX 1080がGTX 980 Tiとほぼ価格差のない現状、実質的にはハイエンドユーザーがエンスージアスト向け製品に飛びついている格好だ。もちろん、それだけの魅力はある。しかし、GeForce GTX 1080の上も控えていることは想像できる。「Ti」や「TITAN」クラスの製品はまだアナウンスされていない。ここが現状の大きな悩みどころと言える。
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