NVIDIAから登場したGeForce GTX 1080は、新世代のアーキテクチャ「Pascal」(GP104)を採用し、製造プロセスの微細化を進めたGPUだ。
GeForce GTX 1080の特徴をまとめていこう。Pascalが前世代と大きく異るのは、製造プロセスだ。2世代前の「Kepler」から用いられていた28nmプロセスに対し、Pascalでは16nm FinFETプロセスを初採用する。微細化のメリットによってGeForce GTX 1080は72億のトランジスタを搭載する。同セグメントのGeForce GTX 980から20億トランジスタの増加だ。そして上位セグメントのGeForce GTX 980 Tiの80億トランジスタにも迫る。CUDAコア数で見ると、GeForce GTX 1080は2560基、GeForce GTX 980は2048基、GeForce GTX 980 Tiは2816基だ。こちらも上位セグメントのGeForce GTX 980 Tiに迫る。
こうしたトランジスタ数の増加に加え、GeForce GTX 1080は、GPUクロックが定格1607MHz、ブーストクロックが1733MHzと高い設定だ。GeForce GTX 980は1126/1216MHz、GeForce GTX 980 Tiは1000/1075MHzだったから、1.5倍前後の引き上げになる。GeForce GTX 1080は、CUDAコア数ではGeForce GTX 980 TiやGeForce GTX TITAN Xに及ばないが、これらにあと一歩のところまでCUDAコア数を増やし、GPUクロックを大幅に引き上げたことでそれらを上回るパフォーマンスを得ることになる。
続いてメモリについて見ていこう。まず、GeForce GTX 1080のメモリバス幅については、GeForce GTX 980と同様のポジショニングで256bitに抑えられている。ただし、GeForce GTX 1080では採用するメモリがGDDR5から「GDDR5X」へと変わった。GeForce GTX 1070は従来のGDDR5となる。
GDDR5Xは、GDDR5の延長線上にある技術であり、4月にNVIDIAが開催した「GTC」(GPU Technology Conference)で公開された「Tesla P100」で採用される新規格「HBM2」とは異なる。
ただし、GDDR5と比べるとコストを抑えつつ、より高クロックで動作するのがGDDR5Xの特徴だ。GDDR5Xは10GHz相当。GDDR5はGeForce GTX 980で7GHz相当だった。同じメモリバス幅でGDDR5を採用するGeForce GTX 980のメモリ帯域幅は224GB/sec、384bitでGDDR5を採用するGeForce GTX 980 Tiは336.5GB/sec(7GHz相当)、そしてGeForce GTX 1080はよりGeForce GTX 980 Tiに近い320GB/secの帯域を持つ。加えて、データ圧縮転送機能がMaxwell世代から向上し、帯域をより有効活用できる点でもパフォーマンスの向上を見込んでいる。
製品名 | GeForce GTX 1080 | GeForce GTX 980 | GeForce GTX 980 Ti |
---|---|---|---|
コードネーム | GP104 | GM204 | GM200 |
GPC | 4 | 4 | 6 |
SM | 40 | 16 | 22 |
CUDA Core | 2560 | 2048 | 2816 |
テクスチャユニット | 160 | 128 | 176 |
ROPユニット | 64 | 64 | 96 |
GPUクロック(MHz) | 1607 | 1126 | 1000 |
Boost Clock(MHz) | 1733 | 1216 | 1075 |
テクスチャフィルレート(GTexels/sec) | 257.1 | 144.1 | 176 |
メモリ(Gbps) | 10 | 7 | 7 |
メモリ接続バス幅(bit) | 256 | 256 | 384 |
メモリ帯域幅(GB/sec) | 320 | 224 | 336.5 |
メモリタイプ | GDDR5X | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ容量(MB) | 8192 | 4096 | 6144 |
最大消費電力(TDP:W) | 180 | 165 | 250 |
補助電源レイアウト | 8 | 6+6 | 8+6 |
トランジスタ数(億) | 72 | 52 | 80 |
プロセス(nm) | 16nm FinFET(TSMC) | 28 | 28 |
TDPに関しては、GeForce GTX 1080は180Wとなった。GeForce GTX 980の165Wからは15Wほど高くなっている。ただし、15W差であれば、GeForce GTX 980からアップグレードする場合も、より大出力の電源に買い換えるほどではない。システムをざっくり100Wと見積もって合計280W、2倍にして550〜600Wクラスでまかなえる。
一方で、おもしろいのが補助電源コネクタのレイアウトだ。GeForce GTX 980では6ピン2基だったのに対し、GeForce GTX 1080では8ピン1基となった。どちらも計算上、供給可能な電力は225Wだが、ケーブル1本で済むのは便利だ。そして昨今のATX電源なら、ほとんどが8ピン(あるいは6+2ピン)に対応している。もっとも、オリジナル基板モデルではこの限りではない。
ほか、GeForce GTX 1080では、VRディスプレイの時代を見据えた機能が追加されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.