GeForce GTX 1080性能検証高くない?(1/4 ページ)

» 2016年07月14日 11時49分 公開
[石川ひさよしITmedia]

全てが新しいGTX 1080

 NVIDIAから登場したGeForce GTX 1080は、新世代のアーキテクチャ「Pascal」(GP104)を採用し、製造プロセスの微細化を進めたGPUだ。


 GeForce GTX 1080の特徴をまとめていこう。Pascalが前世代と大きく異るのは、製造プロセスだ。2世代前の「Kepler」から用いられていた28nmプロセスに対し、Pascalでは16nm FinFETプロセスを初採用する。微細化のメリットによってGeForce GTX 1080は72億のトランジスタを搭載する。同セグメントのGeForce GTX 980から20億トランジスタの増加だ。そして上位セグメントのGeForce GTX 980 Tiの80億トランジスタにも迫る。CUDAコア数で見ると、GeForce GTX 1080は2560基、GeForce GTX 980は2048基、GeForce GTX 980 Tiは2816基だ。こちらも上位セグメントのGeForce GTX 980 Tiに迫る。

 こうしたトランジスタ数の増加に加え、GeForce GTX 1080は、GPUクロックが定格1607MHz、ブーストクロックが1733MHzと高い設定だ。GeForce GTX 980は1126/1216MHz、GeForce GTX 980 Tiは1000/1075MHzだったから、1.5倍前後の引き上げになる。GeForce GTX 1080は、CUDAコア数ではGeForce GTX 980 TiやGeForce GTX TITAN Xに及ばないが、これらにあと一歩のところまでCUDAコア数を増やし、GPUクロックを大幅に引き上げたことでそれらを上回るパフォーマンスを得ることになる。

 続いてメモリについて見ていこう。まず、GeForce GTX 1080のメモリバス幅については、GeForce GTX 980と同様のポジショニングで256bitに抑えられている。ただし、GeForce GTX 1080では採用するメモリがGDDR5から「GDDR5X」へと変わった。GeForce GTX 1070は従来のGDDR5となる。

 GDDR5Xは、GDDR5の延長線上にある技術であり、4月にNVIDIAが開催した「GTC」(GPU Technology Conference)で公開された「Tesla P100」で採用される新規格「HBM2」とは異なる。

 ただし、GDDR5と比べるとコストを抑えつつ、より高クロックで動作するのがGDDR5Xの特徴だ。GDDR5Xは10GHz相当。GDDR5はGeForce GTX 980で7GHz相当だった。同じメモリバス幅でGDDR5を採用するGeForce GTX 980のメモリ帯域幅は224GB/sec、384bitでGDDR5を採用するGeForce GTX 980 Tiは336.5GB/sec(7GHz相当)、そしてGeForce GTX 1080はよりGeForce GTX 980 Tiに近い320GB/secの帯域を持つ。加えて、データ圧縮転送機能がMaxwell世代から向上し、帯域をより有効活用できる点でもパフォーマンスの向上を見込んでいる。

製品名 GeForce GTX 1080 GeForce GTX 980 GeForce GTX 980 Ti
コードネーム GP104 GM204 GM200
GPC 4 4 6
SM 40 16 22
CUDA Core 2560 2048 2816
テクスチャユニット 160 128 176
ROPユニット 64 64 96
GPUクロック(MHz) 1607 1126 1000
Boost Clock(MHz) 1733 1216 1075
テクスチャフィルレート(GTexels/sec) 257.1 144.1 176
メモリ(Gbps) 10 7 7
メモリ接続バス幅(bit) 256 256 384
メモリ帯域幅(GB/sec) 320 224 336.5
メモリタイプ GDDR5X GDDR5 GDDR5
メモリ容量(MB) 8192 4096 6144
最大消費電力(TDP:W) 180 165 250
補助電源レイアウト 8 6+6 8+6
トランジスタ数(億) 72 52 80
プロセス(nm) 16nm FinFET(TSMC) 28 28

GPU-Zから見たGeForce GTX 1080

 TDPに関しては、GeForce GTX 1080は180Wとなった。GeForce GTX 980の165Wからは15Wほど高くなっている。ただし、15W差であれば、GeForce GTX 980からアップグレードする場合も、より大出力の電源に買い換えるほどではない。システムをざっくり100Wと見積もって合計280W、2倍にして550〜600Wクラスでまかなえる。

 一方で、おもしろいのが補助電源コネクタのレイアウトだ。GeForce GTX 980では6ピン2基だったのに対し、GeForce GTX 1080では8ピン1基となった。どちらも計算上、供給可能な電力は225Wだが、ケーブル1本で済むのは便利だ。そして昨今のATX電源なら、ほとんどが8ピン(あるいは6+2ピン)に対応している。もっとも、オリジナル基板モデルではこの限りではない。

 ほか、GeForce GTX 1080では、VRディスプレイの時代を見据えた機能が追加されている。

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