2016年2月にデジタルアーツが発表した調査によると、10歳から18歳までの未成年者のスマートフォン所有率は、前回調査(2015年6月)の67.3%から3.3 ポイント増加し、70.6%と7割を突破しました。スマホやタブレット利用の低年齢化により、子供のコンテンツ閲覧制限の必要性は高まっている状況です。
にもかかわらず、情報やアプリの利用に制限をかける「フィルタリング」機能の全体使用率は、52.3%とようやく半数を超えた程度。年代別のフィルタリング使用状況を見ても、小学生51.0%、中学生57.3%、高校生48.4%とどの年代も5割前後にとどまっています。
つまり残りの半数近くは、親がスマホを買い与えているにもかかわらず、まったく制限をかけずに利用させているということ。アダルトサイトの架空請求詐欺や、出会い系アプリでのトラブルなど、度々問題が警鐘されているにもかかわらず、です。
機能制限の重要性が高まるなか、Appleは2015年から保護者向けのセミナーをApple Storeで開催しています。セミナーはストアで開催されるキッズキャンプに子供が参加している間、同伴者向けに同ストア内で提供しているもの。
8月10日にはApple Store表参道で開催され、子供たちがiMovieで映像作品を制作している隣のテーブルで、9名の保護者が「iPhoneやiPadを使う子供の親が覚えておくべき設定」について学びました。
Appleは障がい者向けの補助機能を標準搭載するなど、誰もが安心して使える製品作りに力を入れています。iOSの「ペアレンタルコントロール」(機能制限)や「ファミリー共有」機能も、子供たちが健全に端末を使えるための取り組みの一つ。特に年齢による閲覧制限が厳しいと言われる欧米での評価が高く、教育現場でもApple製品の導入が進んでいます。
セミナーではまず「ファミリー共有」機能が紹介されました。保護者(管理者)と子供のApple IDをひも付けることで、iTunes、iBooks、App Storeから購入したコンテンツやAppleの様々なサービスを、家族内で簡単に共有できる機能です。
例えば、親が購入した映画や音楽を子供のiPhoneで楽しんだり、写真やカレンダー、位置情報などを家族全員で共有したり。それぞれの持つデータやコンテンツを、家族でまるっとシェアするイメージです。とはいえ家族に知られたくない購入情報は、アイテムを個別に選んで非表示にできるのでご安心を。
特筆すべきは、有料コンテンツの支払い決定権を保護者に持たせ、親のiPhoneやiPad上で承認できる機能が備わっている点。子供がアプリの購入やゲーム内の課金などをしようとすると、保護者の端末へ購入リクエストが届きます。あとはどんな内容か確認し、親が承認または拒否を選べるため、課金トラブルを未然に防げるようになっています。
「そもそもアプリをダウンロードさせたくない」というときは、「ペアレンタルコントロール」を設定しましょう。まず子供用端末の「設定」の「一般」から「機能制限」を選び、「機能制限を設定」をタップ。機能制限を設定・変更するためのパスコードを作成します。
制限内容はアプリのダウンロードのほか、アプリ内課金、Siri、カメラなど多数。特に保護者が神経質になるのはWebサイトの閲覧だそうですが、Safari自体をホーム画面から消す設定から、「Yahoo!キッズ」などの子供向けサイトだけにアクセスできる設定まで、細かく条件を決めることができます。このあたりは子供と相談しつつ、どんな設定があるか自身でも勉強しながら、安全に使えるよう変えていく必要があります。
セミナーで印象的だったのは、「iPhoneの使い方を制限するだけでなく、子供にどう使ってほしいかを考えよう」というストアスタッフからのメッセージでした。「使い方を制限しすぎるのもよくありません。Appleはセキュリティにかなり力を入れているので、親御さんも設定を利用して安全を提供しつつ、子供たちにiPhoneやiPadで何をやってほしいのか考えてみてください」と締め、1時間のセミナーは終了しました。
適切な環境を与えることで、子供のクリエイティビティは爆発します。子供の可能性を最大限に伸ばすため、親御さんもお盆休みはiPhoneの機能制限について学んでみてはいかがでしょうか。
具体的な設定方法や使い方の詳細は、アップル公式サイトの「ファミリー共有」、「機能制限」のページをご覧ください。
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