既報の通り、MSIがゲーミングノートPCのラインアップを一新し、18.4型の大画面SLIモデルから14型のモバイルゲーミングモデルまで6シリーズを発表した(→ラインアップ詳細)。
最大の見どころは、Pascal世代のGPUであるGeForce GTX 10シリーズを搭載した点。これまでNVIDIAのモバイルプラットフォーム向けのGPUは型番末尾に「M」が付加されてきたが、GTX 10シリーズでは無印になり、GTX 1080および1060はベースクロックが抑えられているものの、デスクトップ版と仕様はほぼ同等。MSIはGTX 1080(モバイル)を搭載したノートは前世代のGTX 980を搭載したシステムに比べてグラフィック性能が40%向上、GTX 1060(モバイル)とGTX 970の比較でも同様に40%以上の性能向上をうたう。
また、新GPUの投入に合わせて120Hz駆動のパネルを搭載したモデル(GT73VR 6RF Titan Pro)を用意しているのも目を引く。GTX 1080の強力なグラフィックス性能により、ノートPCでも4K画質でゲームを楽しめるだけでなく、十分なフレームレートによりFPSのような競技性の高い(動きの激しい)ゲームタイトルもブレのない快適なプレイを実現するという。「Pascal世代のGPUを搭載したノートは、パフォーマンス重視のニーズも画質重視のニーズにも応えられる」(エヌビディアの谷口氏)。
一方、強力なGPUを搭載する分、電力供給回りや冷却機構のために、いちから設計し直したモデルも多い。例えば、GTX 1080をSLIで搭載する最上位モデル「GT83VR Titan SLI」は、29枚の羽根を持つファンを2基と23枚の羽根を持つファンを1基、計3基のファンを15本のヒートパイプでつなぎ、放熱効率を従来比の33%引き上げた新型冷却機構(Cooler Boost Titan)を採用、さらに安定した電源供給のために330ワットACアダプタを2つ使う設計になっている(GTX 1070 SLI搭載モデルは230ワット×2)。
また、GTX 1060を搭載する17.3型モデル「GS73VR Stealth Pro」と15.6型「GS63VR Stealth Pro」も、新GPUに刷新しつつ、さらなる薄型化を実現。冷却機構は、41枚羽根のファン2基と37枚羽根のファン1基、5本のヒートパイプで構成されたCooler Boost Trinityの採用により、十分な放熱性能を確保したという。台湾MSIでプロダクトマネージャーを務めるワン・ウィニー氏は「キーボード面と底面の吸気スリットを従来より広げ、薄くなったボディでもよく冷えるようにし、ヒザの上に置いて使っても熱くないように底面にシートを貼った。今回非常に薄いファンを使っているが、ノイズ自体も従来に比べて抑えている」と自信を見せる。
設立30周年を迎えたMSIは、同日新製品発表会を開催し、本社のSteven Chen氏(MSI NB Channel Sales Division Senior Regional Sales Director)が登壇。「過去5年間でPCを取り巻く環境は大きく変化し、スマホやタブレットなどのデバイスの登場によって従来のPC市場を侵食しているが、その一方で高い性能を持つ製品は需要が伸び、2ケタ成長をしている」と指摘。「その中でMSIの製品は、ゲーミングノートPC市場全体で20%近いシェアを獲得しており、世界ナンバーワンのゲーミングPC企業になった」とアピールした。
PC市場は停滞傾向にあるものの、ゲームというカテゴリで見るならば、ゲーミングノートPCはコンソールゲーム機を上回る「最も急成長しているプラットフォーム」(谷口氏)だ。また、今後ゲームタイトルのVR(ヴァーチャルリアリティ)対応が進めば、高いグラフィックス性能を求めてPCの需要はさらに伸びると予測される。
発表会にはHTCのJack Tong氏(North Asia President)がゲストとして招かれ、6月から国内販売を開始したVR HMD「HTC Vive」の好調ぶりを伝えるとともに、今回MSIが発表したGeForce GTX 10シリーズ搭載ノートはVRに最適なプラットフォームになるはずだ、とエールを送った。
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