据え置きと同じ書き味を追求「Wacom MobileStudio Pro」をプロが触った感想は

» 2016年11月22日 06時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
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 8192段階の筆圧検知と追求された書き味は、ポケモンカードゲームのイラストを手掛ける有田満弘氏も納得の仕上がりだった。

 11月18日から発売となるワコムのPC内蔵液晶ペンタブレット「Wacom MobileStudio Pro」。発売前日のメディア向けに行われた説明会で、歴代のワコム製品を愛用してきたイラストレーターの有田満弘氏とワコム開発担当の稲田祐一氏がWacom MobileStudio Proを使ってみた感想や設計思想を語った。また、製品のタッチアンドトライも可能だったので製品写真とともに紹介する。

Wacom MobileStudio Proを試用する有田満弘氏
Wacom MobileStudio Proの13.3型(左)と15.6型(右)

従来比4倍の筆圧検知は触るとはっきりとした違い

 Wacom MobileStudio Proと、12月に発売となる「Wacom Cintiq Pro」はともに筆圧検知の段階が従来の2048段階から8192段階と4倍に進化を遂げている。

 この点について有田氏は「正直、前の2048段階のセンサーで十分だと思っていましたが、触ってみるとペン先の太さの変化や線を引いた時の追従性などはっきりと分かるレベルに違いがありました」とその書き味の良さを語る。

 8192段階の筆圧検知を可能にしたのは新しく開発された「Wacom Pro Pen 2」だ。Wacom Pro Pen 2は筆圧の他、ディスプレイ端でのペンの正確さや傾き検知を向上したという。Pro Pen 2が使えるのは現在Wacom MobileStudio ProとWacom Cintiq Proのみだが、一方で従来のペンは今回の2製品で今まで通り使用可能だ(筆圧は2048段階となる)。

従来のペンから筆圧検知段階の他、レイテンシや個体差の問題も改善したという「Wacom Pro Pen 2」

 また、従来のペンには同じ製品に同じ筆設定をしても書き味が変わってしまうという個体差の問題があったが、今回のPro Pen 2ではこの問題も改善したという。

 ペンを動かしてから画面上で実際に線が描画されるまでのレイテンシ(遅延)は、ペンの性能向上やハードウェア・ソフトウェアの組み合わせによって半分程度まで短縮したという。

ハイエンドモデルは3DCG制作向け 3Dスキャンできるカメラを搭載

 13.3型のハイエンドモデルである「DTH-1320H」と15.6型のハイエンドモデル「DTH-1620H」は3DCG制作向けの機能として、現実のオブジェクトを撮影して3Dデータを取り込むIntel RealSense対応3Dカメラを背面に搭載した。

ハイエンドモデルは3Dデータを取り込むIntel RealSense対応3Dカメラを背面に搭載

 13.3型のグラフィックス性能はCPU内蔵の「Intel Iris 550」となるが、15.6型にはNVIDIAの「Quadro M1000M」を搭載する。

 「3DCG制作ソフトってなかなか安定しないのですが、Quadroを搭載するということで動作の安定を期待できます。ソフト起動中にバグが出たとしても、GPU由来の不安が除外できるのは大きいです」(有田氏)

同じ製品をどこで使っても同じように使えるというコンセプト

 開発担当の稲田氏はWacom MobileStudio Proについて「今まで据え置きで使っていた性能をそのまま外に持ち出せる、ということをコンセプトとしています。その実現のためにエンジニアが一丸となり、クリエイターの皆さまに再度感動を与えたいという思いで作りました」と、開発にかけた思いを語った。

 スペックを見ていくと、CPUは全モデルで第6世代Core i5/i7シリーズ、メモリは最大16GB、ストレージは最大512GBとなっており、充実した内容になっている。画面の解像度は13.3型モデルがWQHD(2560×1440ピクセル)、15.6型モデルが4K(3840×2160ピクセル)となる。

Wacom MobileStudio Pro全モデルのスペック表

 4Kである15.6型モデルの高精細さはもちろんだが、ディスプレイの表面がアンチグレアに加工されているのもあり、WQHDの13.3型も1ピクセルの視認が難しいほど細かく感じた。

USBポートはType-Cのみ

 USBポートをType-Cのみに振り切ったのも注目したいポイントだ。3つのUSB Type-Cポートはデータ転送の他、映像出力と電源供給も兼ねている。3つのポートの用途としては、1つ目は電源供給、2つ目は外部ディスプレイへ映像出力、3つ目でその他周辺機器と接続といった具合だ。

搭載するUSBポートはType-C×3

 接続したいディスプレイがType-Cからの入力に対応していない場合は、「Wacom Link」というUSB Type-Cからmini DisplayPort+USB Type-Aに変換するアダプターを使用する。

 しばらくは変換アダプターが手放せなくなりそうだが、USB Type-Cポートのみと割り切ったMacBookや新しいMacBook Proなどに合わせ、Type-C対応の製品も今後増えていくだろう。


 本体の重量に関して、「他社の薄型ノートPCに比べれば重いのですが……」と製品担当者が話していたが、13.3型で約1.4kg、15.6型で約2kgというのは決して重すぎるという重量ではないだろう。ワコムの液晶タブレット「Cintiq」とそれに見合うPCを持ち運ぶことと比べればよっぽど軽い。

 筆圧検知のペンが使えるマイクロソフトの「Surface」シリーズやAppleの「iPad Pro」と比べれば確かに重量では負ける。しかしPC・タブレットの付加価値としてペン機能を持つそれらと、書き味を第一に追求したWacom MobileStudio Proでは目指すものが違うのは明白だ。

 その書き味が気になる方は、量販店の店頭などで触ってみてはいかがだろうか。

左側面には電源キーの他、ボリュームボタン、画面回転ロック、オーディオジャック、SDメモリーカードスロットがある両側面には逆Rのへこみがあり、ボタンを間違えて押さないように設計されている 左側面には電源キーの他、ボリュームボタン、画面回転ロック、オーディオジャック、SDメモリーカードスロットがある(左)、両側面には逆Rのへこみがあり、ボタンを間違えて押さないように設計されている(右)

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