日本最強の囲碁AI「DeepZenGo」対プロ棋士軍団、AIがわずかな差で勝利ニコニコ超会議2017

» 2017年04月29日 18時18分 公開
[井上輝一ITmedia]

 ドワンゴが主催する「ニコニコ超会議」(4月29〜30日、千葉・幕張メッセ)で、日本最強の囲碁AI「DeepZenGo」とトップ棋士チームの対局が行われた。トップ棋士側は、高尾紳路名人、三谷哲也七段、大橋拓文六段3人の合議制。

 ルールは互先(コミ6目半)、一番勝負、棋士側が黒番、DeepZenGoが白番で、結果はDeepZenGoの3目半勝ちとなった。

DeepZenGoに棋士3人が合議制で挑んだ

 DeepZenGoは米Googleの「AlphaGo」を上回る性能を目指した囲碁用AI。囲碁ソフト「Zen」開発チームのチーフプログラマー・尾島陽児さんを中心に、AIを専門に研究する東京大学・松尾研究室が協力して開発している。2016年11月には趙治勲(ちょうちくん)名誉名人との三番勝負が行われ、通算2勝1敗で趙名誉名人が勝利している。

 序盤は棋士3人に加え、棋士たちが示した候補手からニコニコ生放送の投票機能で視聴者も参加し、得票数の多い手を打つ場面も見られた。

 会場では登壇者や観客にDeepZenGo自身の形勢判断が常に開示されていて、序盤15手までは白53:黒47でほぼ互角だったが、手が進むにつれて徐々に黒(棋士)側の数字上の形勢が悪くなる。左上のシチョウ当たりを意識して天元付近に手を入れていったが、対局後に「ここがちょっとむちゃだったかな」と高尾名人は振り返った。

左上のシチョウ当たりを意識して天元付近に手を入れていった

 中盤に差し掛かり、DeepZenGoの形勢判断は白73:黒27。棋士たちは「そんなに悪くないのでは」とDeepZenGoの判断に疑問を持っていた。さらに右上の白石2目を取れたことで「これは勝ったのではないか」という空気も流れたが、DeepZenGoの形勢判断は変わらなかった。

 終盤に入っても変わらないDeepZenGoの判断に対し、棋士たちは「盤面上は勝っていそうですが……」と漏らす。この頃に形勢は白94:黒6まで傾く。

白94:黒6終盤の盤面 終盤の盤面。これをDeepZenGoは「ほぼ勝ち」と判断した

 終局して整地した結果、盤面上は白34目、黒37目で確かに棋士側が勝っていたが、ここにコミが加算されるため、白40目半、黒37目となりDeepZenGoの勝利となった。

白40目半、黒37目となりDeepZenGoの勝利

 対局後、高尾名人は「DeepZenGoの形勢判断が人間より優れていたということだと思います。全く敵わないとは考えていないので、またチャレンジしたいです」と再戦を希望していた。

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