現在、企業のクライアントPCはほとんどがWindows 7搭載機だ。一部企業やシステムでWindows 8.1への乗り換えが進んでいるケースもあるが、これから移行を始めるならばWindows 10しか選択肢はない。
旧世代の資産を抱えていたり、コストの問題に直面したりと、OSの乗り換えに時間がかかる企業であっても、現在利用しているWindows 7搭載クライアントPCのサポート期間やシステムの運用年数を考慮すれば、2020年1月のWindows 7延長サポート終了を前にした2018年から2019年にWindows 10への移行を完了するのが理想となる。
Gartnerが発表した最新の調査報告によれば、グローバルで企業の約3分の2が1年以内にWindows 10への移行を完了し、大企業の85%が2017年末までにWindows 10の展開をスタートさせる計画があるという。
このデータが意味するのは、大企業の多くが2017年中にWindows 10の展開計画をスタートさせ、そのうち3分の2ほどが1年以内の移行完了を見込んでいるということだ。2019年には、多くの大企業がWindows 10への移行を完了させるとみている。
実際、Windows 7からWindows 10への移行を進めている大組織もある。2016年初頭には米国防総省が1年以内に管轄の400万台のデバイスをWindows 10にアップグレードする計画があることを明らかにした他、最近では2017年6月にMicrosoftのビジネスパートナーでもあるAccentureが2018年までに従業員40万人のPCをWindows 10にアップグレードすることを表明した。
国内でも日本マイクロソフトが、昭和シェル石油、ソフトバンクテクノロジー、イオンといった大企業での導入事例を直近で報告している。
これらの動きは、前述したWannaCryやPetyaの騒動と直接リンクするものではないが、2020年1月にWindows 7の延長サポートが終了することを考えれば、セキュリティ対応を最優先すべき大組織が率先して動くことには大きな意味がある。
Microsoftの調査報告によれば、現在企業で動作している資産(アプリケーション等)の95%はWindows 10に移行してもそのまま問題なく利用が可能とのことで、実質的にこの残り5%程度を企業がどう判断しているかという部分にかかっている。
Windows 10の導入を推進するこれらの企業は移行作業を単に負担と捉えるだけでなく、セキュリティ対策など今後のリスクを勘案したうえで判断し、計画的に移行を進めているのだろう。
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