Cortanaスピーカーが来て、Kinectは去る 2017年秋のWindowsエコシステム更新鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2017年11月01日 09時00分 公開

「Kinect」が7年を経て生産終了へ

 次は去るものの話題だ。米Microsoftは10月25日、3Dモーションセンサー「Kinect」の生産を終了したことを明らかにした。

Kinect 生産終了となった「Kinect」

 2010年にゲーム向けインタフェースの「Kinect for Xbox 360」としてデビューしたKinectは、深度センサーを用いたモーションコントロールという斬新さに興味を抱いたデベロッパーらによってさまざまなハッキング手法が編み出され、2012年にはPC向けに焦点距離やハードウェアを調整した「Kinect for Windows」がリリースされた。

 もともと、Kinect for Xbox 360は原価と販売価格がほぼ拮抗する赤字状態のビジネスで始まり、この問題が解消される機会をうかがってのPC版のリリースだったようだ。

Kinect 2010年6月にE3のプレイベントで「Kinect for Xbox 360」のデモを披露する、Microsoftクリエイティブディレクターのクドウ・ツノダ氏

 米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、Microsoft公式の数字としてKinectの販売台数は約3500万台だったという。前述のようにハッカーらによる研究開発対象として活用された時期も長く、実際筆者もKinectを使ったさまざまな研究開発成果のデモを目撃している。

 一方で、2013年にはKinectの基幹技術だった深度センサーの仕組みを提供するイスラエル企業のPrimeSenseが米Appleに買収された。この時点でMicrosoftは、既に最新のKinectでPrimeSenseとは異なる技術を採用していたが、2015年にはKinectの販売縮小が始まっており、度々フェードアウト説がささやかれていた。そして最終的に今回の報道により、MicrosoftのKinectビジネス終了が公式に認められたわけだ。

 とはいえ、Kinectがこの業界で果たした役割は大きい。モーションセンシングの機能はWindows 10標準機能の「Windows Hello」における顔認証へと応用されることになり、Kinect開発に携わっていたアレックス・キップマン氏はその技術を応用した「Microsoft HoloLens」やWindows MRで大きな注目を浴びることになった。

 AppleがPrimeSenseを買収したことからも分かるように、この時期からスマートフォンなどの小型デバイスにおけるモーションセンシングや深度センサーの活用が進み、恐らくは同社の最新製品「iPhone X」にもその技術の一端が活用されているだろう。

 関係者の話によれば、iPhone Xに搭載された顔認証機能「Face ID」(ロミオとジュリエットで構成される)の基幹技術は、もともと虹彩認証を主眼に開発されたものだが、その応用技術としてKinectなどにも用いられているモーションセンシングの仕組みと機械学習機構を組み合わせることで、従来と比較しても精度の高い顔認証を実現しているとのことだ。

 多くの足跡を残し、先駆者は静かにフェードアウトしていく。

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