最後に、もう1つ去るものの紹介だ。
2017年10月には米Microsoftのジョー・ベルフィオーレ氏が「Windows 10 Mobile」について、事実上の終了宣言をしたことが話題となった。サポート自体は今後も継続するものの、新機能の開発はされないなど、同プラットフォームは既に既存顧客のみを対象としたメンテナンスフェーズへと突入している。
こうした中、かつてWindows 10 Mobile(Windows Phone)デバイスを機内搭乗クルーへと大量展開して話題となった米デルタ航空は、プラットフォーム変更の準備を進めている。同社は2018年4月以降に2万3000人以上のキャビンアテンダントと1万4000名以上のパイロットを対象として、「Lumia 1520」と「Surface Pro」を、「iPhone 7 Plus」と「10.5インチiPad Pro」に置き換える計画だという。Mac OS Kenが報じた。
米連邦航空局(FAA)が規制を緩和し、従来の紙によるフライトマニュアルからタブレットなどの電子書籍リーダーへの置き換えが2011年に可能になってから、軽量化や効率化を見込んで、次々と航空業界での電子化が進んできた背景がある。客室業務の効率化のため、スマートフォンを導入する機運もあり、デルタ航空ではWindowsプラットフォームでのデバイス導入が2014年に行われていた。
もともとデルタが合併吸収する前のノースウエスト航空時代からMicrosoftとの関係は深く、これが同社製品導入のきっかけという見方もあった。だが今回、一気にApple製品の導入が進み、こうした導入第1世代でのリプレースが印象付けられる形となった。Microsoftのモバイル戦略変更もこれと無縁ではないだろう。
The Inquierによれば、本件におけるMicrosoftの公式回答は「ハードウェアの更新サイクルにおいて、10.5インチのフォームファクタが電子フライトバッグのサイズにフィットする形で標準化されたことが原因」だという。
また、デルタ航空は「Dynamics」や「Office 365」などソフトウェアの利用において引き続きMicrosoftの顧客であり、ハードウェアからクラウドへとシフトしつつあるMicrosoftの戦略変更を反映した結果とも言える。
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