「ThinkPad 25」のキーボードを打って「過去」「未来」に思いを寄せる(3/3 ページ)

» 2017年11月11日 06時30分 公開
[井上翔,ITmedia]
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5年前までのキーボードを“復刻” パームレストの処理も変更

 振り返りが若干長くなってしまったが、ここからが本題。ThinkPad 25のキーボードはどうなのだろうか。

 ThinkPad 25は日本未発売の「ThinkPad T470」をベースに開発された。UEFI(BIOS)やデバイスドライバーもベース機種と共通化されている。

 キーボードは、ベース機種の6列アイソレーションキーボードから2009年に登場した「EscキーとDeleteキーが巨大な7列キーボード」に変更されている。

 見た目はまさしく、T400s〜T420sまでのキーボードそのもの。独立したミュートボタン、ボリュームボタンやマイクミュートボタンも付いている。Fnキーのコンビネーション機能も、当時を極力再現している。ただ、ThinkVantageボタンはさすがに付いていない。

 しかし、このキーボードの金型はベース機種に合わせて新規に起こしたもの。日本向けモデルについては、特別に日本語配列となっている。たった“1000台”のために、新規に金型から日本語キーボードを作るということに正直驚きを禁じ得ない。

 もっと言うと、このキーボードは単に「復刻」したわけではない。キーボードバックライトも付いている。オン(弱・強)とオフの切り替えは、Fnキー+Spaceキー……ではなく、昔の「ThinkLight」と同じFnキー+Page Upキーで行う。暗がりでも、キーボードの対角線上のキーを押せばキーボードが光る。

ThinkPad 25の日本語キーボード ThinkPad 25の日本語キーボード。たった1000台のためだけに金型から作ったもので、キーボードバックライトも内蔵している

 実は、ThinkPad 25はパームレストも少しカスタマイズしている。

 現行のThinkPadのパームレストは、方向キーの下部の彫り込みが直線となっている。それに対し、ThinkPad 25ではT400s〜T420sまでのパームレストと同様に曲線的な彫り込みを入れている。

 これも懐かしさを感じる部分といえる。

パームレストもカスタマイズ パームレストの方向キー回りの処理も、T400s〜T420sのものを復刻

懐かしい「押し心地」 懐かしい「キャップ」

 先述の通り、ThinkPad 25のキーボードは新たに金型から起こした“新作”である。

 そこで不安になるのが、その「打鍵感」だ。配列やキー形状を似せても、肝心のキーの打ちごこちが再現されていないとなると、悲しいことになってしまう。

 この点について心配は不要だ。押し・引きの感覚、底打ち感など、T400s〜T420sのキーボードを知っている人なら、間違いなく「これだよ、これ!」と思える素晴らしいものに仕上がっている。

 しかも、標準のTrackPointキャップがざらつきのある「クラシックドーム」相当のものなので、それが好きな人なら懐かしい操作感を得られる。「オレは『ソフトドーム(現行の標準形状)』がいい!」「真ん中がへこんでいる『ソフトリム』が好きなんじゃ!」という人には、本体に交換用のキャップが付属しているので安心だ。

 ただし、ThinkPad 25のTrackPointキャップは「ロープロファイル」タイプで、別売の交換用キャップがソフトドームタイプのみとなる。つまり、現時点ではクラシックドームとソフトリムのキャップは本体に付属しているもの限りとなってしまう。クラシックドーム派とソフトリム派の人は、この点に十分注意しよう。

ロープロファイルのクラシックドーム ThinkPad 25のTrackPointキャップは、ざらつきのある「クラシックドーム」が標準。このモデルのために作られたものだ
替えのキャップ 本体には「クラシックドーム」「ソフトドーム」「ソフトリム」の替えキャップが1個ずつ付属する。ただし、現時点ではソフトドーム以外は別売していないので注意(画像は公式サイトから引用)

 ここしばらく6列キーボードのThinkPadを使っていたせいか、使い始めた当初はThinkPad 25のキー配列に戸惑ってしまった。しかし、身体に配列がしみついていたせいか、すぐに問題なくタッチタイピングできるようになった。

 7列キーボードは、現行の6列キーボードに対してキーの「誤爆」がぐんと減るというメリットがある。具体的には以下のような誤爆を減らせる。

  • 右Altキーまたは右Ctrlキーを押したつもりが「PrintScreen」
  • 方向キーを押したつもりが「PageUp」「PageDown」
  • Endキーを押したつもりが「Insert」
システムキー回り 7列キーボードが7列であるゆえんであるシステムキー回り。ここを省かず用意することで誤操作を抑えられる

 また、現行のキーボードにはない「アプリケーションキー」があることも素晴らしい。アプリケーションキーはマウスの右クリックで出てくる「コンテキストメニュー」を出すためのキーで、筆者も7列キーボードのThinkPadを使っている時は多用していた。

 これの復活で、コンテキストメニューを多用する人は作業が間違いなく楽になるはずだ。ただし、右Altキーまたは右Ctrlキーを押したつもりが「アプリケーションキー」という「誤爆」も復活してしまうのだが……。この点は「痛しかゆし」といえる。

アプリケーションキー回り 現行のThinkPadのキーボードにはない「アプリケーションキー」も復活。コンテキストメニューを多用(≒右クリックを多用)する人は、操作性が向上するはず

甲乙付けがたい新旧ThinkPadキーボード 理想は「選べる未来」

 ThinkPad 25をしばらく使って、自分の使い方では7列キーボードの方が作業効率が良いということを改めて痛感した。方向キーとPage Up/Page Downキー、EndキーとInsertキーがそれぞれ離れた場所にあるということは、カーソル移動の多い筆者にとってメリットが非常に大きい。

 だからといって、現行の6列キーボードがダメという訳ではない。個人的には、キーの形状や打鍵感は今使っているThinkPad X1 Carbon(第5世代)の方が好みである。

 これは個人的な思いだが、7列キーボードをThinkPad 25だけで終わらせるのは非常にもったいないと感じる。キーボードをCRU(ユーザー交換可能部品)として着脱できるモデルについては、将来的にキーボードを「6列アイソレーション」と「7列クラシック」から選択できるようになると理想なのではなかろうか。そうすれば、キーボードに対するさまざまな「思い」にも対応できる。

 もっとも、この「理想」は非常に難しい話でもある。キーボード(特に日本語キーボード)は、コストのかかる部品の1つだからだ。でも、繰り返しだが、復活させた7列キーボードをこのモデル限りにするのは非常にもったいないと思う。

 何らかの形で、ThinkPadユーザーのキーボードの「選択肢」を増やせないものか……。良いアイデアはないものか……?

 ThinkPad 25に触れたことで、ノートPCのキーボードについてあれこれ考える時間が再び増えてしまったようである。

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