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AIをクラウドからエッジへ Microsoft開発者イベント「Build 2018」を読み解く鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/4 ページ)

» 2018年05月10日 17時30分 公開

 Build 2018初日の基調講演において「Windows」、さらにいえば「PC」というキーワードがほとんど出なかったことは、3月に大規模な組織改編を発表して「Windowsの名前を冠する独立した事業部を廃止」したMicrosoftの最近のPCに対するスタンスを象徴している、という声もある。

 実際にはWindowsやOfficeに関する話題は2日目のジョー・ベルフィオーレ氏の基調講演で取り扱われているのだが、もともとWindows 8の開発者向け情報提供のためにPDC(Professional Developers Conference)などの開発者会議を統合してスタートした「Build」カンファレンスでのWindowsのプライオリティ低下は、時代の節目を感じさせるものだ。

「Amazon Alexa」と「Cortana」連携機能は限定βの段階

 さて、そんなBuild 2018初日の基調講演において、数少ない「クライアントPCとしてのWindows」の話題として紹介されたのが「Amazon Alexa」と「Cortana」、2つの音声アシスタントの連携機能だ。

 この連携機能は、2017年8月末にAmazon.comとMicrosoftの2社が電撃発表し、同年内の提供を予告していた。だが、年が明けても両社からの音沙汰はなく、2018年1月開催のCESではAlexa搭載PCが多数発表され、その存在価値に疑問符が付く事態にまでなった。

 メールやスケジュールなどの個人情報を持たないAlexaと、PC以外のデバイスへの搭載が心もとないCortanaは相性のいいカップルとみられていたが、実働デモストレーションを経てようやく評価が可能な段階に到達した。両者の連携手順は事前の予告通りで、「Open Cortana(またはAlexa)」で相互呼び出しが可能になる。

 とはいえ、まだ限定βの段階で一般公開しておらず、正式なサービスインの時期についてもコメントしていない。当面は力不足感のあるCortanaのスキル開発を促進するために開発者向けに部分開放を行い、折を見て正式リリースという手順を踏むようだ。

Build 2018 2017年夏に電撃発表されたAmazon.comとの提携によるAlexaとCortanaの連携。MicrosoftでCortanaチーム担当ジェネラルマネジャーのメーガン・ソーンダース氏が、Amazon EchoでCortanaを呼び出すデモを実施した
Build 2018 PC上でCortanaを操作するAmazon.comのAlexa担当シニアバイスプレジデントのトム・テイラー氏
Build 2018 ソーンダース氏がEcho上のCortana経由で送信したメールをPCで受信したテイラー氏が、今度はPC上でAlexaを呼び出してアポイントの場所検索を依頼している

生産性向上ツールとしてのWindowsやPC活用も

 音声アシスタントだけでなく、企業での生産性向上ツールとしてのWindowsやPCの活用にも少し触れている。

 Cognitive Servicesの応用だが、会議において参加者を自動認識し、発言内容を自動的にテキスト化して要点を抽出するツールを紹介した。リアルタイム翻訳も可能で、世界中の離れた場所との会議やTeamsを含むツールを活用した連携も簡単に行える。

Build 2018 Microsoftの最新技術を使った会議の例。PCだけでなく「Surface Hub」やHoloLensを組み合わせてプロジェクトの解説を行う
Build 2018 会議はカメラを通した画像認識と音声認識による自動テキスト起こしと要点の抽出、同時通訳と、言語や聴覚障害がある人が混ざっていても問題なく進行できる仕掛けが用意されている

 またWindows 10の新アプリ「Your Phone」のプレビューも発表した。このアプリを使うことで、近くにあるAndroidおよびiOSのデバイスをケーブルで接続することなく、PCと連携できるようになる。Android・iOSデバイスに届いた通知のポップアップや、SMSの確認と返信、写真のドラッグ&ドロップでのPC保存などが、連携したPC上で簡単に行えるようだ。

Build 2018 新たに提供される「Your Phone」アプリ。手持ちの携帯電話をケーブル接続なしに操作可能な仕組みで、通知や、SMSの共有や編集、画像ファイルのドラッグ&ドロップによるPCとの転送などが簡単に行える

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